"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第23話
ただ、私たちは2とも違っていたんです」
以のようににヒステリーを起こす姿はない。
自分が全てを失ったことを受け入れたの、静かな覚悟があった。
美代子は静かに言う。
「本に謝りにきたいなら、あなた1でってきてください。でもそこに、浩司やエミさんを巻き込まないで」
義父が鳴りつける。
「バカなことを言うな。10万の包みもなしにどうやってをげるんだ」
美代子はゆっくりと首を横に振った。
「おがないと謝れないなら、もう縁を切るしかありません」
義父が目を剥く。
「何だと?」
美代子ははっきりと言う。
「おでしか繋がっていない親戚なんて、もういりません。私はこれ以息子夫婦に嫌われたくないんです」
美代子の言葉に、義父は完全に言葉を失った。
彼にとって妻は、常に自分のろに隠れ、自分の顔をてるための付属物でしかなかったはずだ。
その妻から、確な拒絶を突きつけられたのだ。
義父は顔を真っ赤にしてちがった。
「お、俺に逆らうのか。この俺に!」
りに任せた売り言葉に買い言葉。
「そんなにこの俺が気に入らないなら、おもてけ!」
いつもの義父なら、ここで美代子が泣いて謝り、私を見捨てないでとすがりついてくるのを待っていただろう。
しかし美代子は顔1つ変えずに答えた。
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「わかりました」
義父は目を丸くした。
「ああ?」
美代子はきっぱりと言う。
「、役所で婚届をもらってきます。私の荷物はしずつ片付けますから」
義父の顔から、瞬でりのが消えった。
代わりに浮かんだのは純粋な驚愕と、自分の言葉が引き起こした現実への恐怖だった。
義父の声がずる。
「おい、冗談だろう」
美代子は静かに、しかし決定な声で告げた。
「冗談ではありません。あなたは自分の体面を守るためなら、息子も嫁も、そして妻の私も簡単に切り捨てるです」
彼女はく息を吐く。
「これからのい老、あなたの見栄のためだけにきるのはもう疲れました」
リビングに、くたい沈黙が落ちた。
義父はち尽くしたままをパクパクとかしているが、もはや何の言葉もてこない。
自分の絶対な権力が実は誰にも通用しないだったことに、今更気づいたのだ。
という虚像。
それにしがみついていた老の、あまりにも惨めな結末だった。
浩司が私の背にそっとを当てた。
「きましょう。エミさん」
私が頷く。
「ええ」
私たちは今度こそ、義実の玄関へ向かって歩きした。
美代子は私たちを追うことはせず、ただ静かにリビングにとどまっていた。
義父の声はもう聞こえなかった。
に乗り込むと、浩司はエンジンをかけるにきく呼吸をした。
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ハンドルを握りしめながら浩司が呟く。
「親父、本当に1になっちまうな」
私が尋ねる。
「お母さん本気だとう?」
浩司はゆっくりと頷いた。
「本気だろうな」
彼は窓のを見る。
「あの母さんが親父に面と向かってあんなこと言うなんて、今まで1度もなかった」
逆の変化。
私の財布を巡るさな争いは、最終にいびつなバランスで成りっていた1つの庭を完全に崩壊させた。
しかし私は議と、罪悪をじなかった。
私が壊したのではない。
彼らが自分たちので築きげた嘘のが、自らのみに耐えきれずに崩れ落ちただけだ。
そしてその崩壊の過程で、夫の浩司は確かな自をに入れた。
それが私にとっては、何よりも価値のある結果だったのだ。
お正の件から2週が過ぎた。
週末の夜、私たちのマンションに義妹の苗ちゃんがやってきた。
「お兄ちゃん、エミさん、夜分にごめんね」
リビングに通された苗ちゃんは、ひどく疲れた顔をしていた。
温かいお茶をすと、彼女は両で湯呑みを包み込むようにしてため息をついた。
「お母さん、本当にをちゃった」
その言葉に、浩司が目を丸くした。
「マジか。親父止めなかったのか?」
苗ちゃんは呆れ果てた声で言った。
「止めるどころか、てけるものならてってみろって鳴ったらしいよ」
苗ちゃんはお茶をすする。
「それでお母さんは本当に荷物をまとめて、役所で婚届をもらってきたの」
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