"「会計は嫁」の還暦祝いと18万6740円" 第25話
おが迎えにって、お父さんが許してやるから帰ってこいと伝えてくれ」
どこまでも自分の非を認めない男だった。
自分が困り果てているのに、あくまで許してやるというからので、しかも自分ではなく息子を使いりにしようとしている。
浩司は静かに、しかしたく言い放った。
「断る」
義父が反論する。
「な、何だと?」
浩司は事実を告げる。
「母さんはをやしてなんかいない。役所で分割の相談をしてるんだ」
話の向こうで、義父が息をのけぞらした。
「本気で婚する気だ。テーブルのの緑の。見たんだろ?」
義父がパニックを起こしたように声を荒げた。
「あんなもの、ただの脅しだ!」
彼は言い訳を並べる。
「俺のでわせてやってきたんだぞ。1できていけるわけがない」
浩司は義父の逃げを完全に塞いだ。
「親父のじゃない。夫婦の共財産だ。法律で半分持ってかれるんだよ」
浩司は続ける。
「迎えに来て欲しいなら、親父が自分でをげにけ。俺にあの女へ座しろというのか」
浩司はる。
「座しろとは言ってない。自分の非を認めろと言ってるんだ」
浩司はスマートフォンに向かって、最通告を突きつけた。
「俺もエミも、もう親父のメンツのための具じゃない。母さんも同じだ」
彼は言い捨てる。
「自分のが壊れかけてるのに、まだ見栄を張るなら好きにしろ」
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浩司は通話を切った。
義父からの反論は必なかった。
浩司はスマートフォンをテーブルに置き、両で顔を覆った。
「けねえな」
彼は苦しげに言う。
「親父、自分がどれだけ滑稽なことを言ってるか全く分かってない」
私は蔵庫から麦茶を取りし、グラスに注いだ。
「世体だけできてきただからね」
私は麦茶を置く。
「のの現実より、からの見られ方が全てだった。でもその側のはもう誰も残っていない」
浩司は麦茶を受け取り、気にみ干した。
「ああ」
本からも見放され、妻にも逃げられ、息子にも見捨てられた。
残ったのはゴミだらけのと、誰にも自できないプライドだけだ。
逆の変化。
義父という絶対なの権力は、完全にに落ちた。
彼がこれまで振りかざしていた暴力なまでの圧力は、周囲の々が忖度して受け入れていたからこそ成していたに過ぎない。
妻が従をやめ、息子が従属を辞めた瞬、その力はただの虚無へと変わったのだ。
翌のポストに、通の封筒が入っていた。
差は田美代子。
姑からだった。
宛名は私と浩司の連名になっている。
リビングで浩司と緒に封を切ると、には1枚の便箋が入っていた。
綺麗で落ち着いた字だった。
「浩司さん、エミさんへ。急にをて、配をかけてごめんなさい」
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私は黙って便箋の文字を追う。
「苗から私の所を聞いているといます。今私はまれて初めて、自分だけの部で、自分だけの責任で活しています」
は続く。
「スーパーで1分の材を買い、自分の分だけ料理を作り、自分で洗う。誰かの顔を伺うこともなく、誰かの見栄のために嘘をつくこともない」
彼女の致は力い。
「それがこんなに静かで穏やかなものだとは、りませんでした」
そして、私への言葉があった。
「エミさん。あなたが私に教えてくれたことのが、今ならはっきりと分かります」
私は目を潤ませて読んだ。
「誰かに自分のの会計を任せてはいけない。自分のおで、自分のでつこと。それがとして、として当たりのことだったのですね」
の終盤。
「お父さんとはこれから話しいをします。どんな結論になるかはまだ分かりませんが、もう2度とあそこへは戻りません」
美代子の決は固い。
「あなたたちの負担になるようなことは決してしないので、してください。今まで本当にごめんなさい。そして、ありがとう」
を読み終え、私はさく息を吐いた。
胸の奥にあった姑に対する暗くたいが、しだけ溶けていくのをじた。
姑はただの悪役ではなかった。
彼女もまた、古い価値観と見栄という病に侵され、自分自を見失っていた被害者だったのだ。
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