みかん小説
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"顔合わせのすっぽかしと五通の裏切り" 第2話

父は話をに押し当てたまま、さらに厳な調で追及を続けた。

「さっき紗栄からも聞かれていただろう。おは本当に、紗栄がそこへかない理由に当たりがないのか? ……正直に言ったらどうなんだ」

父の々しい問いかけに対し、弘は自ら真実を状するだろうか。私は隣で父の横顔を見つめながら、臓が鐘を打つのをじていた。 だが、スピーカーから返ってきたのは、相変わらずの保と嘘だった。

「お、お父さんまで、何を言ってるんですか……? お、俺は本当に、何もしてませんから……当たりなんて、あるはずがありませんよ……」

その往際の悪い、震える声を聞いた瞬、私は胸の奥底で何かがたくえ切っていくのを確信した。この男は、どこまでも自分を偽り、逃げ切るつもりなのだ。 私は父の腕にそっとを添え、静かに頷きながら呟いた。

「ねえ、お父さん。……もう、はっきり言ってあげた方がいいんじゃないかしら」

私の言葉を聞いた父は、く頷くと、受話器の向こうの弘へ向けて、決定撃を言い渡した。

「とぼけても無駄だ。お辺調査は、顔わせのからすべて済んでいるんだよ。……おには、紗栄のに、恋もいるじゃないか」

その言葉こそが、先ほど私が父から突きつけられた、弘に関する戦慄すべき事実だった。

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受話器の向こうから、ヒュッと息を呑む音が聞こえ、続いて引きつったような乾いた笑いが漏れしてきた。

「え……? あ、あはは……や、やだなあ、お父さん……何を言ってるんですか? そ、そんなわけないじゃないですか……!」

に否定しようとする弘の声はずり、激しく震えていた。直接顔を見ていなくても、話の向こうでや汗を滝のように流し、顔面を蒼にしている彼の姿が容易に像できた。 父はさらに語気をめ、逃げを塞ぐように言い放つ。

「嘘をつくんじゃない! 辺調査はすべて済んでいると言ったのが分からないのか!」

「う、うわあ……! そ、そんなのでたらめですよ! ひどい言いがかりだ!」

父に決定な証拠のを突きつけられ、弘は完全に静さを失って取り乱したのだろう。受話器越しに、けないほど甲い泣き声をげながら、見苦しく潔を訴えかけてきた。

「さ、紗栄! お父さんの言ってることは全部嘘だ! おは俺の婚約者なんだから、俺を信じてくれるよな!? な、頼むよ、紗栄ぇ……!」

震える声で懇願してくるその泣き叫びを聞いた瞬、私のでわずかに燻っていた彼へのけも、着も、すべてが氷のようにたくめ切っていった。 私は父に線を送り、静かにを差しした。

「お父さん、話を返してくれる?」

父は無言で頷き、私にスマートフォンを渡した。

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私は端末をに当てると、の欠片も含まない、氷点の声で静かに告げた。

「……あなたの言うことなんて、何つ信じられないわ。婚約の話は、完全ににさせてもらうわね」

私の言葉に対し、弘が何かを叫ぼうとしたが、私はそれを待たずに通話終の赤いボタンを親指で押し込んだ。 ツーツーという無質な切断音が響く。 こうして、私のきく狂わせかけた男との関係は、決定な破綻を迎えたのだった。 だが、ここに至るまでには、張り巡らされたいくつもの嘘と、私の盲目な過ちの歴史がしていた。

私の名は紗栄。今歳になる。 父は、この域で従業員数名を抱える精密械加企業を経営する社だった。

昔気質で真面目、職叩きげの誠実な父は、朝くから夜遅くまでバリバリと仕事をこなし、会社を堅実に成させてきた。そして母は、そんな父をながら支え、無駄遣いを切せずに堅実に計を管理していた。の血の滲むような努力のおかげで、私は幼い頃から何自由のない活を送り、おのことで苦労した記憶は度もなかった。

だが――「社の令嬢」という板は、私のに幸福ばかりをもたらしたわけではなかった。 むしろ、私を最もく苦しめたのは、男性との関係だった。

幼稚園やの頃は、周りの子供たちも無邪気で、私のが裕福であることなど誰も気に留めていなかった。

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