"顔合わせのすっぽかしと五通の裏切り" 第3話
しかし、学ががり、学、と成していくにつれて、周囲の、特に異性の線がしずつ、だが確実に歪んだを帯びていくのをじるようになったのだ。
「紗栄ちゃんのって、会社経営してるんだろ? じゃあ相当な持ちじゃん」 「何か困ったことがあったら何でも言ってよ。助けてあげるからさ。その代わり、今度お父さんにうちの親の仕事のこと、よろしく頼んでくれない?」
づいてくる男性たちのくは、私というそのものを見ているのではなかった。私の背にある父の財産や、会社のコネクション、甘い汁を吸えるばかりをあからさまに利用しようとしていたのだ。告めいた言葉を囁いてくる相も、し踏み込んで話をしてみれば、最には事業への資や就職の便宜をねだるようなが透けて見えた。
そうした経験を何度もねるうちに、私のには分い氷の壁ができあがっていった。 男性に対する根い信。誰も私自をしてはくれないという絶望。
「きっと私は、本当の恋になんて縁がないを送るのね……」
学を卒業し、都内の般企業で働き始めてからも、私は男性からのアプローチを極度に警戒し、自ら周囲に壁を作ってきていた。休にで過ごす部で、ため息をつくことが常になっていた。
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だが、そんなだった私の々に、劇な変化が訪れたのは、今から約半のことだった。 学代からの親しい友が、「本当に優しくて、誠実ながいるから」と、にの男性を紹介してくれたのだ。それが、弘との会いだった。
指定された落ち着いた雰囲気のカフェで待っている、私の胸は期待よりも警戒でいっぱいだった。 (どうせこのも、私の実がお持ちだとったら、態度を変えて利用しようとするに決まっている……) そんな諦めにも似たいを抱えながら、私は引きつりそうなぎこちない笑顔を張り付けて、現れた弘と対面した。
だが、私の予は、最初の数分であっさりと覆されることになった。 席に着いた弘は、穏やかで柔な笑顔を浮かべると、私の目を真っ直ぐに見つめながら、ゆったりとした調で話し始めたのだ。
「初めまして、弘です。……紗栄さんみたいな素敵な方とお会いすることができて、本当に栄です」
嫌のない、透き通った瞳。 あからさまなお世辞ではなく、からの敬を込めたようなその言葉に、私はを突かれ、し拍子抜けしてしまうほどだった。けれど、その温かな差しのおかげで、私の張り詰めていた肩の力が、すうっと抜けていくのをじた。
「私なんて、どこにでもいるような普通の女ですよ。
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……でも、そんなに言っていただけて、ありがとうございます」
私がわず本音混じりの笑顔を返すと、弘は嬉しそうに目を細めた。 そこからの会話は、驚くほどスムーズだった。お互いの仕事の苦労話や、休の過ごし方、趣の映画や音楽の話など、話題が途切れることはなかった。
会話の自然な流れので、私は探るように、父が企業の社をしているという事実をにしてみた。これまで会ってきた男性たちなら、この瞬に目を輝かせ、のめりになっていついてきたはずだった。 しかし、弘の反応はまったく違っていた。
「へえ、お父様、会社を経営されているんですね。責任がくて変なお仕事ですね」
彼はそうく相槌を打っただけで、会社の規模や資産についてく詮索してくる様子は微もなかった。ただの「族のプロフィールのつ」として、淡々と受け止めただけだったのだ。 その無欲で自然な態度に、私はどれほど堵したことだろう。
弘は常に穏やかに接してくれ、私の拙い話にも真剣にを傾け、折ユーモアを交えた冗談で私を笑わせてくれた。 肩きや柄ではなく、私というそのものを見て、切に扱ってくれている――。 今までに会ったことのない誠実な男性のに、私の凍りついていたは急速に溶かされ、私はあっというに弘の魅力に惹かれていった。
それから私たちは、週末ごとに事や映画のデートをねるようになった。
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