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"顔合わせのすっぽかしと五通の裏切り" 第5話

だが、両わせの予定が正式に決まってから、わずか数のことだった。 婚約が決まってから初めてとなる、週末のデートのの朝。

待ちわせ所の駅のカフェのテラス席で、私はめていく茶のカップを見つめていた。 約束の操作、分と過ぎても、弘は現れなかった。 これまでの彼なら、仕事や交通関の乱れでわずか分遅れるだけでも、必ず事に「し遅れそう、ごめんね」と丁寧なメッセージを入れてくれていたはずだった。 だが、今は何の連絡もない。

分が経過した頃、私のは限界に達していた。 (まさか、途で事故にでも遭ったんじゃないかしら……!?)

胸騒ぎを覚えながら、私は震える指で弘の番号をタップし、に当てた。 コール音が数回鳴った、荒々しく通話が繋がった。

「もしもし! 弘!? 今どこにいるの? 何かあったの? 丈夫!?」

私が切迫した声で矢継ぎに問いかけると、受話器の向こうから返ってきたのは、私の配をっ端微砕する、信じがたい罵声だった。

『チッ……うるさいなあ! し遅れてるくらいで、いちいち急かして話してくるなよ!』

「え……?」

を疑った。今まで度も聞いたことのない、底の悪い苛ちを含んだ声。 弘はさらに、吐き捨てるように言葉を続けた。

『もうすぐ着くんだから、しく座って待ってろよ!』

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ガチャン、とに通話が切断された。 ツーツーと鳴る受話器を握りしめたまま、私は呆然と固まっていた。 (体、どうしちゃったの……? あんな乱暴な話し方をするじゃなかったのに……)

それから、カフェに現れた弘は、謝罪の言葉をにするどころか、気だるそうに私の向かいの席にドカッと腰をろした。 私は恐る恐る、彼の嫌を伺うように線を向けた。

「あの……弘。私、何からせるようなこと、しちゃったかな……?」

すると弘は、底面倒くさそうに片眉を吊りげ、メニュー表に目を落としながらで笑った。

「別に何もしてねえよ。おは余計なこと考えないで、黙って俺に従っていればいいんだよ」

横柄で、尊な態度。 まるで自分が絶対な王様であり、私がそれに傅く従者であるかのようなぶりに、私は背筋が寒くなるのを覚えた。 あの会った頃の、穏やかでで、私を尊してくれていた紳士の姿は、体どこへ消えてしまったのだろう。

だが、悪はそれだけに留まらなかった。 そのを境に、弘の態度は坂を転がり落ちるように悪化していった。

そののデートでも、分やの遅刻は当たりになった。連絡すら寄こさない。 ひどいには、待ちわせ所に私が到着してから「今、ダルいからナシで」と、なメッセージ本でドタキャンされることすら頻発した。

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あまりの理尽さに耐えかねた私は、ある話で、できるだけ彼のプライドを刺激しないよう、言葉を選んでやんわりと苦言を呈した。

「弘、お願いだから、遅れるは事に連絡を入れてほしいの。それに、約束をキャンセルするなら、せめてのうちに教えてくれないかな……?」

しかし、私の控えめな懇願に対し、弘骨に逆した。

『うるさいなあ! おはこれから俺の嫁になるんだから、の文句を言わずに、黙って俺に尽くしておけばいいんだよ! 俺に指図するな!』

鳴りつけられ、私はそれ以、言葉を返すことができなくなってしまった。 顔わせの取りが決まり、結婚という堀が埋まった途端に始まった、急激なモラハラ。 (このまま、本当にこのと結婚してしまっていいのだろうか……?) 私のに、どす黒いと迷いが渦巻き始めていた。

私の抱える苦悩と戸惑いは、らずらずのうちに、顔や態度にも滲みてしまっていたのだろう。 あるの夜、実のリビングで、ぼんやりとめたお茶を啜っていた私のに、父が静かに歩み寄ってきた。 父は私の向かいの子を引いて腰掛けると、配そうに私の顔を覗き込んできた。

「紗栄、どうした? 何かあったのか?」

普段は無な父が、珍しくストレートにを込めて尋ねてきた。

私は父に余計な配をかけたくないといういと、誰かにこの苦しみを吐きしたいといういので激しく揺れいた。

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