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"社長夫人と平社員の妻" 第6話

「主は、現でお世話になっております」 私がたく応じると、邦彦の額からボタボタと汗が吹きした。

「それで……株主名簿を、過の記録まで含めてすべて確認いたしました。あなたが……先代社のたったのご息女で、全株式の割を握っておられる株主であられると……」 「ええ、そうです」 「内にも、事を問いただしました! 先の婦会で、平社員の妻に恥をかかせてやったと自げに話していた相が……あなただったと!」

邦彦の隣で、麗華の顔から瞬にして血の気が引いていくのが見えた。 麗華は震える唇をわななかせ、絶望の混じった目を泳がせながら叫んだ。 「だ、だってらなかったのよ! あんな、あんな物のカーディガンを着てな暮らしをしている女が、会社の株主だなんて、誰がうわけ!?」

「黙れッ!!」 邦彦の号が夜のに響き渡った。 「おが髪を引っ掴み、奴隷と呼んで嘲笑った相が、私の首を瞬で刎ねることのできる最のオーナーなんだぞ!!」

麗華は息を呑み、魚のようにをパクパクとかしたが、声にならなかった。 私はえ切った線で、崩れ落ちそうなを見ろした。

「お引き取りください。お話があるなら、すべて株主総会ので伺います。会社のがどこへ消えたのかも、そこでに晒していただきますので」

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麗華があの宴会で笑いばした言葉を、もうにする必などなかった。 歯は、すでに酷に、そして確実に回り始めていた。

私がドアを静かに閉めると、たいから、麗華を罵倒する邦彦の声と、取り乱した音が、夜の彼方へとざかっていった。

邦彦が夜更けにへ泣きついてきてから、数の夕方のことだった。 私は、授業と放課クラブを終えた娘を迎えるため、の正の歩っていた。 茜に染まり始めた空から、たいが吹きりてくる。

の周囲には、同じように子供の帰りを待つ保護者たちが、々集まって輪を作っていた。そのくは、夫の会社の社宅にむ社員の妻たちだった。 その保護者の輪を乱暴に割り裂くようにして、甲いヒールの音を響かせながら、麗華がづいてきた。 いつもなら取り巻きたちを引き連れ、女王のように優雅に歩く彼女だったが、今のその取りには、隠しようのない焦燥と乱れが滲みていた。

「あなた……!」 私のに仁王ちになり、息を切らせる麗華。 「主にあんな恐ろしい面を送りつけて、体何のつもりなの!?」

の保護者たちの線が、斉に私たちへと向けられる。 私は眉かさず、静かに告げた。 「もうすぐ子供たちがてきます。

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ここではお話しできません」

「とぼけないでよ!」 麗華は半歩踏み込み、持っていたブランドバッグの持ちをギリギリと音をてて握りしめた。 「株を持っているからって、庭をめちゃくちゃにする気!? 恥をりなさいよ!」 「恥をるべきなのは、どちらでしょうか」 「あんな婦会の席でのちょっとした冗談で、主の会社のことまで持ちすなんて、器がさすぎるんじゃないの!?」

麗華の声は切り声をげて周囲に響き渡っていたが、その語尾は恐怖で細かく震えていた。 虚勢を張らなければ、今にも膝から崩れ落ちてしまいそうなのが、に取るように分かる。

「お答えすべきことは、すべて総会のに用してあります」 「体、らなかったんだから仕方がないじゃない! あんな平社員の妻みたいなな格好で、毎しく暮らしているあなたが悪いのよ! 普通、そんなの分かるわけがないじゃない! ねえ、そうでしょう!?」

麗華は同を求めるように、背にいた取り巻きの妻たちを振り返った。 「ねえ、あなたたちもそううでしょう!? ちょっと、何とか言ってやりなさいよ!」

しかし――。 麗華が振り返った先にいた妻たちの反応は、彼女の予とはまったく異なるものだった。 招集通は、すでに会社の全役員と株主たちに発送されていた。そして、『現社の解任議案』が提され、その請求者が現の平社員・の妻であり、先代の遺産を継いだ株主であるという噂は、社宅を通じて妻たちのにも瞬くれ渡っていたのだ。

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