"診察室に入れなかった私" 第1話
「佐藤さん、本当にこのままでいいんですか?」
カーテンの向こうから聞こえてきた神医師の声は、ひどくく、え切っていました。
超音波検査のジェルが、お腹のでぬるりと広がります。 黒のモニターので、妊娠週目になる私たちの赤ちゃんが、さな臓を健気にかしていました。ドク、ドク、ドクと、規則正しい拍が静かな診察に響いています。
いつもなら、この診察台のすぐ隣に夫の健がっているはずでした。 「千、たくない? 先、うちの妻、え性なんです」 そう言って、護師さんよりも先にブランケットの端をえ、私のを包み込むように握りしめる。 それが、これまでの健の決まったち位置でした。
けれど今、健はここにはいません。 病院の駐に着いた直、会社から本の話が入り、どうしても抜けられないシステムトラブルだと言って、青ざめた顔でをげてっていったからです。 「ごめんな、千。すぐに戻るから。診察、延期できそうならしてもいいからね」 そう配そうに私の肩を抱いた健を、私は「丈夫よ、もうヶなんだからで受けられるわ」と笑って送りしました。
妊娠してから今まで、健が同席しなかった産検は度もありませんでした。 だからこそ、私は医師ときりになった診察のこの空気に、言いれぬ違を覚えていたのです。
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「あの……先、何か問題があるんでしょうか?」
私が恐る恐る尋ねると、神医師は器具を置き、乾いたで私のお腹のジェルを拭き取りました。 その作にはいつもの穏やかさがなく、どこか事務で、確な苛ちすら混ざっているように見えました。
「をえて、の子に座ってください」
言われるがままに支度をえ、くなったお腹を支えながら回転子に腰をろしました。 神医師は鏡のブリッジを指先で押しげ、デスクのに置かれたカルテ用のパソコンから線をさないまま、ポツリと言いました。
「佐藤さん。回の糖耐量検査の再検査結果と、胎盤の血流評価について、ご自でどう考えていらっしゃいますか?」
「えっ……」
私は虚を突かれたように目を見きました。
「どう考えている、とは……? 私、回の結果は特に異常なしと聞いていましたけれど。事制限の指示もていないので、これまで通り野菜の活を続けています」
「異常なし?」
神医師が、初めて私の顔を正面から見据えました。 その瞳の奥にあるい猜疑と呆れの混ざったに、私の背筋がぞくりと粟ちました。
「先の頃、妊娠週の健診にお伝えしましたよね。血糖値の推移が境界型を超えており、放置すれば巨児や妊娠血圧症候群、最悪のは常位胎盤期剥のリスクがねがると。
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インスリン導入を含めた専来の受診、それから胎児の肺成熟を促すステロイドの予防投与について、管理入院を野に入れて話しおうと提案したはずです」
臓が、トクンと嫌な音をててねました。
「入院……? インスリン……? そんな話、度も……」
「とぼけないでください」
医師の声が、段くなりました。
「あなたのご庭の事や、薬を使いたくないという自然派のお考えをごなしに否定するつもりはありません。ですが、医療の現では限界があります。母体の全だけでなく、胎児の命がかかっているんですよ。それなのに、ここヶで回も、こちらの提案を頑なに突っぱねておいて……今になって『聞いていない』は通りません」
「待ってください! 突っぱねたって、私がですか!?」
わず子からちがりそうになり、腹部にツンとした痛みがって息を呑みました。 護師さんが配そうに私の背にを添えます。 私のあまりの揺ぶりに、神医師の表にわずかな戸惑いがりました。
医師は無言でマウスを握り、カチカチと音をてて画面を操作すると、ディスプレイをぐっと私の方へと回転させました。
「これを見てください」
液晶画面に表示された子カルテの画面。 そこには、過回の診察履歴がびっしりと記録されていました。
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