"ゴミ箱の隣に座る学年一位" 第7話
本棚には難関の赤本や英語の辞が背表を揃えて並び、ベッドのには埃つ落ちていません。 私は机の横に置かれた通学カバンを引き寄せ、ファスナーをけました。
罪悪がなかったわけではありません。 子どものプライバシーを侵害する親の姿なんて、客観に見れば見苦しいに決まっています。 それでも、娘が転落していくのを黙って見ていることなどできませんでした。
教科やノートをつずつ取りし、ポケットの隅々まで指を入れました。 からてきたのは、数枚の奇妙なレシートでした。
つは、駅の文具で買われた「型ボイスレコーダー」の領収。額は万千円。 のお遣いでは、数ヶ分を切り崩さなければ買えない額でした。 もうつは、コンビニのレシート。放課の帯に、惣菜パンとパックのジュース、そして単乾池がパック買われていました。
ボイスレコーダー? なぜそんなものをが持っているのか。 授業の録音? でも、学では子器の使用は厳しく制限されているはずでした。
さらにカバンの奥を探ると、番底から、さな茶封筒がてきました。 封はされていませんでした。を覗くと、つ折りにされたが数枚入っていました。
それは、で配られる「学期考査の模擬過問題」
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と、の丁寧な字でかれた「解答と解説」のきノートのコピーでした。 ページの端には、付箋が貼られており、こうかれていました。
『佐伯さんへ。 数学の4番は、の過問と題傾向が似てるよ。 解き方のコツをボイスレコーダーのファイル3に入れておいたから、 気が向いたら、分だけでも聞いてみてね。 焦らなくて丈夫だから。 』
「佐伯……?」
その名に見覚えはありませんでした。 から度も聞いたことのない名字でした。
その、机の引きしに目が留まりました。 番の、文具が入っているはずの引きしです。 何気なくをかけて引こうとしましたが、ガタリとさな音がして、ビクともしませんでした。
鍵がかかっていました。
あの学習机のさな鍵穴。学の頃に机を買って以来、度も使ったことのなかった鍵が、しっかりと回されていました。 何かを、私から決定に隠している。
「……何してるの、お母さん」
背から落ちてきた声に、私は臓が止まるほどねがりました。
振り返ると、濡れた髪にタオルを巻いたが、ドアの隙にっていました。 その表には、りすらありませんでした。 ただ、どこまでもたく、どこまでもい軽蔑のをたたえた瞳が、私を射抜いていました。
私はに持っていた茶封筒を隠すこともできず、引きしのにち尽くしました。
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「、これ……これは何なの? 特講習を辞退したって、学からが来たわよ! それに、このボイスレコーダーとノートは……佐伯さんって、体誰なの!?」
は濡れたタオルをゆっくりと肩にろしました。 そして、部のへと静かに歩みをめると、私のから茶封筒を、音もなく奪い取りました。
「の部を勝に漁るなんて、最だね」 「親に向かって最とは何ですか! あなたが勝なことばかりするからでしょう! 特講習を辞めて、こんな誰かも分からない子のためにノートをいて……あなた、自分のが分かっているの!? あなたのお父さんがくなってから、私がどれだけのいで……!」 「お父さんを盾にしないで!」
が、まれて初めて、私の言葉を激しい声で遮りました。 その細い肩が、激しくしていました。
「お父さんは、私に番になれなんて度も言わなかった!『が元気で、笑ってくれてたらそれでいい』って、そう言ってた! お父さんの記憶を自分の都のいいように塗り替えて、私を縛り付けているのは……お母さん、あなたじゃない!」
私の頬が、平打ちをらったようにくなりました。 声がませんでした。 あの子のから「あなた」と呼ばれた衝撃に、元が崩れ落ちそうでした。
「ていって」
はドアを指差しました。
「私の部からていって。
これ以、私の邪魔をしないで」
私は何も言えず、よろめくようにして娘の部をました。
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