"ゴミ箱の隣に座る学年一位" 第8話
背で、カチャリと再び鍵が回る音がしました。 その乾いた音が、私と娘のにある見えない境界線を、完全に決定づけたようでした。
翌朝、は私と言葉を交わすことなく、朝にもをつけずに登していきました。 テーブルのに残された、え切ったトーストと目玉焼き。 私は、静まり返ったダイニングで、帳をきました。
「佐伯」という名。 どうしても、突き止めなければならない。
私はパートの勤を遅らせてもらい、以からPTA活で顔見りだった、同じクラスの役員をしている保護者に話をかけました。 探りを入れられていると悟られないよう、できるだけ世話を装って。
「あ、です。いつもお世話になってます。あのね、ちょっとクラスの連絡網のことで確認したいことがあって……ほら、席替えがあったでしょう? うちののくに、佐伯さんっていうお子さん、いらっしゃったかしらとって」
話の向こうで、相の息がわずかに詰まるのが分かりました。
「……佐伯さん? ああ……佐伯真優(さえき まゆ)さんのこと?」 「ええ、その子。最、あまりお見かけしないような気がして」 「さん、らなかったの? 佐伯さん、学期の頃から、もう半く度も学に来てないのよ」 「度も……?」 「ええ。完全な登。理由はよく分からないんだけど、ほら、桜ヶ丘って学だから、授業のスピードがものすごく速いじゃない? 最初のの連休けの実力テストで躓いてから、ぷつんと糸が切れちゃったみたいで……教に入ろうとすると過呼吸を起こすようになっちゃったらしいのよ」
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相の母親は、の幸を噂話として消費する特の、軽な声で続けました。
「保健登すらできてないみたいよ。もう誰もあの子の顔なんて覚えてないわ。『組の幽霊』なんて呼ぶ徒もいるくらいで。ほら、学にやいるでしょう? ついていけなくなって消えちゃう子。学側もね、あまり公にはしたくないみたいで、保護者会でも名すらさないのよ」
臓が嫌な音をてて波打ちました。
登。 半も学に来ていない徒。 あの教のろの、埃をかぶった誰もいない机。 あれは、その「佐伯真優」という徒の机だったのです。
「じゃあ……あの席は」 「本来ならね、休みがけた点で、教務部が席を片付けるはずだったのよ。だって来ないんだもの。スペースの邪魔だし、の徒の士気にも関わるでしょう? でも、なぜか残ってるのよね。議よねえ」
話を切った、私ののは激しい混乱とりで埋め尽くされていました。
なぜ? なぜが、そんな「ついていけなくなって脱落した徒」に関わらなければならないのか。 勉についていけなくなったのは、その佐伯という子の自己責任ではないか。 努力がりなかったか、この学のレベルにっていなかっただけのこと。 それなのに、なぜ学トップのが、自分の席を犠牲にしてまで、その子の机を守らなければならないのか。
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ボイスレコーダー。きのノート。 は、自分が特講習を受けるを削って、来もしない徒のために授業を録音し、解説ノートをいていた。 お遣いを切り崩してまで。
「馬鹿げてる……」
わず声が漏れました。 そんな無駄な同で、自分の未来をドブに捨てるなんて、到底許されるはずがありませんでした。
曜の放課、私は桜ヶ丘の正からしれた、バスのにを潜めていました。 を尾するためでした。
母親が実の娘をつけるなんて、狂気の汰だと自分でも分かっていました。 それでも、のから真実を聞きすことができない以、自分の目で確かめるしかありませんでした。
午半、から徒たちがまばらにてきました。 そのに、ブレザーの襟を正し、そうな通学カバンを肩にかけたの姿がありました。 は駅へ向かう通りとは反対の、郊へ向かうバスの留所へと歩いていきました。
やってきたバスに、が乗り込みます。 私はすぐに、ろにしていた個タクシーにび乗り、運転に告げました。
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