"義母の合鍵が入らない" 第10話
そこには、過の来事が、箇条きで然と記されていました。
『〇:結婚式。義母のな主張により、希望していた式をキャンセル。義母のが経営する互助会の式へ変更。差額のキャンセル料万円は由の独代の貯から補填。健の発言「に度のことなんだから、母さんをばせてやろう」』
『〇:への婚旅。発夜、義母から「邪気で細い」と話。健が独断で旅をキャンセル。週の休暇、義実のむしりと買いしに従事。健の発言「旅なんていつでもける。親孝だとってくれ」』
『〇:妊娠初期の流産(妊娠週)。自宅療養、義母が鍵を使って無断侵入。寝に入り込み「体をやすからよ。仕事ばかりしてるから赤ちゃんが逃げたのね」と発言。健の発言「母さんも悪気があって言ったんじゃない。配して根菜の煮物を作ってきてくれたんだから、お礼くらい言え」』
『〇:由の昇祝い。自宅での夕を予定していたが、義母が突然来訪。「女が気に昇なんてすると男の運気を吸い取る」と発言。健は笑って受け流し、由にビールを運ばせる』
『〇:義母による鍵の接収、私物の無断廃棄、宅配便の封、およびウォールナット机のベランダ投棄。
広告
健の発言「たかが机だろ。しして笑っていれば、誰も傷つかずに済んだ」』
健の線が、のを激しくき来していました。 スクロールするように文字を追うにつれて、彼の顔から急速に血の気が引いていくのが分かりました。
「な、なんだよこれ……。こんな昔のことまで、全部メモしてたのかよ……。湿じゃないか……」
健のがかすかに震えていました。 彼は責めてるような言葉をにしながらも、その声にはらかな揺が混じっていました。
「湿?」
私はさく息を吐き、健の目をまっすぐに見つめました。
「ええ、そう見えるかもしれないわね。でも健さん、これが私のよ。あなたが『何事もなく平穏に過ぎた』とっている々の、これが裏側の記録よ」
「由、俺は……そんなつもりじゃ……」
「わかってるわ。あなたには悪気なんてないのよ。お義母さんにも悪気はない。お義母さんはただ、自分が産んで育てた息子をいつまでも支配して、このの本当の女主でいたいだけ。そしてあなたは、母親の嫌という嵐から逃げるために、番くにいる私を盾にして、私の尊厳を差しし続けてきただけよ」
私の声は、驚くほど澄んでいました。 りも、憎しみも、涙も混じっていませんでした。 ただ、病院の医師が患者に病状を宣告するような、残酷なまでの正確さで言葉を紡ぎました。
広告
「悪かったのは、私よ」
「……え?」
「私が悪かったの。結婚すれば、あなたが私をパートナーとして守ってくれると勘違いしていた。のしい庭を作るんだと信じ込んでいた。でも違ったわ。私はただ、あなたとお義母さんが築きげてきた共依の部に、都のいい政婦として招き入れられただけだったのよ」
「そんなことない! 俺は由をしてる! 族だとってるよ!」
健が必に叫びました。 その言葉に、私は今初めて、かすかに元を歪めました。
「してる? あなたが守りたかったのは私じゃないわ。あなたが守りたかったのは、『母親とも波をてず、妻にも逃げられない、物わかりのいい優しい自分』という保だけでしょ」
健の呼吸が止まりました。 痛いところを突かれた子供のように、彼の目が泳ぎました。
「あなたが言う『庭の平』の代は、いつも私ので支払われていたのよ。私の、私のプライド、私の切な机、私の流産したのしみ……全部、私がでみ込むことで、あなたたちの平は維持されていたの。でもね、健さん。もう支払うものは何も残っていないわ。私のは、もう滴も搾り取れないくらい干からびてしまったの」
私はちがりました。 そして、部の隅の段ボール箱を指差しました。
「だから、私は退するわ。
このは、あなたとお義母さんのものよ。鍵も、蔵庫も、具の配置も、全部お義母さんの好きなようにすればいい。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
締め出された新社長
父から印刷会社を継ぎ、代表取締役として誰よりも早く出社した初日の朝、私のカードキーだけが赤く点滅して通用口が開かなかった。清掃員や入社三カ月の新人、配送トラックが次々と通過していく中、古参の会計は「先代の指示で権限を削除した」と告げる。社内では判断を下せる者がおらず、営業と現場の怒号が響き合い、輪転機が完全に停止した。私は閉ざされたガラス扉の脇にパイプ椅子を置き、冷たい缶コーヒーを握りしめた。職場逆転|人生逆転|怒り|親子関係|修羅場3.5万字5 0 -
完結第24話
妻の手術翌朝、七通の解約通知
妻が胆嚢ポリープの手術で入院した日、私は仕事を優先し「自分で処理しろ」と見舞いを断った。だが翌朝、私の携帯にマンションの駐車場、クレジットカード、父のデイサービスを含む七通の解約通知が立て続けに届く。カードは店頭で弾かれ、ビルのゲート前で立ち往生した私は、妻の報復を確信して病室のドアを乱暴に開けた。点滴に繋がれた妻は、今すぐ元に戻せと詰め寄る私の目の前で、スマートフォンの画面を静かに伏せた。怒り|夫婦|介護|修羅場3.7万字5 0 -
完結第23話
十八年ぶりの切符「次は三人で来い」
「二度と敷居を跨ぐな」――十八年前、父・源蔵の激しい怒声を背に村を飛び出した美雪。母の葬儀すら拒絶し、東京で夫の高一、息子の蒼太と平穏な家庭を築きながらも、心の奥に深い罪悪感を抱え続けていた。 ある秋の日、頑固一徹だった父が倒れたとの報せが届く。恐る恐る帰郷した美雪を迎えたのは、小さく老いさらばえた父の姿だった。互いに素直になれぬまま病室で交わしたわずかな言葉。だが、生家から持ち帰らされた重い桐箱と古いボストンバッグを開けた瞬間、美雪の息は止まる。 そこには、出金記録ゼロのまま膨れ上がった美雪名義の通帳と、十三年前の日付が記された「高一君へ」という父の手紙が眠っていた。父が十八年間隠し通してきた、想像を絶する真実とは――。真実|修羅場3.5万字5 0 -
完結第18話
ゴミ箱の隣に座る学年一位
学年1位を守り続けてきた娘が、二学期に入ると突然一番後ろの席に移動させられ、学級委員長も外された。何か処分を受けたのかと学校へ詰め寄る私に、娘は「この席でいいの」とだけ言い、何も説明しようとしない。納得できないまま迎えた参観日、教室の後ろに立つ私は、娘の隣にぽつんと置かれた空っぽの机に気づいた。誰の席なのかと問い詰める私に、担任は教室の隅を見つめ、「娘さんが残してくれと頼んできたんです」と静かに告げた。怒り|真実|孤獨|親子関係|修羅場2.8万字5 0 -
完結第18話
診察室に入れなかった私
妊娠七ヶ月、甲斐甲斐しく尽くす夫の言葉に従い、私は毎回待合室で温かい茶を飲んで待っていた。「異常なし」と笑う夫を疑ったことはない。だが夫が仕事で不在となり、初めて一人で診察室に入ると、医師は冷徹な面持ちで私を見据えた。向けられたパソコンの画面には、私が頑なに治療を拒み、夫が必死に説得したという記録が三回連続で並んでいた。その三回とも、私は一度も診察室に足を踏み入れていない。裡切られた|夫婦|裡の顔|修羅場2.8万字5 0 -
完結第25話
一度も抱かれなかった娘
出産翌日に姿を消した妻の代わりに、私は男手一つで娘を育ててきた。「母親は抱っこも拒んで逃げた」と言い聞かせ続けて五年。カルテの保管期限が切れ、産院に呼び出された私の前に置かれたのは、妻が失踪直前に提出した母子同室申請書と一枚のガーゼだった。申請書の最下段には私の拒否印が押されており、持ち帰った鞄からこぼれ落ちた布を拾い上げた五歳の娘は、ピンクの刺繍を指でなぞりながら私を見上げた。夫婦|真相|行方不明|親子関係3.8万字5 0