"妻の手術翌朝、七通の解約通知" 第6話
「……」
「それらの通はね、直さん。私が仕掛けた嫌がらせじゃないわ。あなたが、見ないふりをして誰かに押し付け続けてきた庭の維持コストが、私のが止まったせいで、斉に化されただけよ」
を殴られたような衝撃だった。
の奥で、キーンという音の鳴りが鳴り響いていた。
だが、私のプライドが、その事実を素直に受け入れることを拒絶した。ここで彼女の言い分を全面に認めてしまえば、これまでの私の、の黒柱として族を養ってきたという自負が、根底から崩れってしまう。
「……だとしてもだ!」
私は掠れた声を絞りし、必に反論を試みた。
「言言ってくれればよかったじゃないか! 期が迫ってるとか、おができないなら俺がやるとか、やりようがあったはずだ! なんで何も言わずに黙って期限切れにさせるんだ!」
「言ったわよ」
真由美は即座に、たく言い放った。
「週、リビングで言ったわ。『直さん、お父さんのデイサービスの更類、そろそろ本の印鑑とあなたの署名が必だからいて』って。あなた、何て答えたか覚えてる?」
記憶の蓋が、乱暴にこじけられる。
週。闘の妥結状況と期末の売予測に追われ、夜過ぎに酔状態で帰宅した夜だ。ネクタイをし、缶ハイボールをんでいた私の目のに、真由美が確かに数枚の類を差ししてきた。
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あの、私は何と言ったか。
『あー、今それどころじゃないんだよ。疲れて帰ってきてるのに、の細かい雑務まで俺に押し付けるなよ。そういうのはおの仕事だろ。適当にうまくやっといてくれ』
言句違わず、自分の声が脳裏に蘇った。
私の喉が、引き攣るように鳴った。言葉に詰まる私を見て、真由美はわずかに目を細めた。
「覚えてるのね。『適当にうまくやっとけ』。それがあなたのした指示よ。だから私は、私自の判断で適当に処理したの。私の管轄ではないあなたのや、あなたの実の介護続きは、もう私の仕事の範囲からそう、ってね」
「それは……あのは仕事がて込んでいて……」
「仕事は、あなただけがしているものじゃないわ」
真由美は遮るように言った。
「私も週に、パートにていた。事も、健太の学のPTAも、あなたの実の通院の付き添いも全部やりながらね。でもあなたは度だって、私が平にどれだけの役所やを回っているか、気にしたことすらなかったでしょう? 『誰のおかげで飯がえてるんだ』って、をけばそう言っていたものね」
反論の言葉が見つからなかった。
病の沈黙が、鉛のようにくのしかかってくる。
だが、焦燥は消えなかった。午には役員会がある。このまま会社に戻れば、もめられず、カードも使えず、実の母親からは再び狂乱の話がかかってくるのだ。
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活が、社会が、音をてて崩壊していく。
「……分かったよ」
私は苛ちを誤魔化すように乱暴に息を吐き、帳とペンを取りした。
「悪かった。俺が悪かったよ。おに任せきりにしていたことは認める」
先だけの謝罪をで告げ、私は努めて事務な声を作った。
「するに、続きをやり直せばいいんだろう。今どき、ネットで完結しないシステムなんてないはずだ。各サービスのログインIDとパスワードを教えろ。俺が今すぐスマホからアクセスして、全部オンラインで再申請する。それで解決だろ」
現代のIT社会だ。アプリやウェブサイトからポチポチとボタンを押していけば、の数料は取られても、数分で元通りになるはずだ。げさに「の労苦」を語る妻に対し、内で「したことのない作業を誇に言っているだけだ」と毒づいていた。
しかし、私の言葉を聞いた真由美の瞳に浮かんだのは、りではなく、底れないれみのだった。
「IDとパスワード?」
「ああ。おが控えてるノートか何かがあるだろ」
「直さん、本当に……何つ分かっていないのね」
真由美はさくため息をつき、首を横に振った。
「管理組の駐契約に、ウェブサイトなんてないわよ。規定の申請に実印を押して、曜と曜の午にしかかない管理事務の窓に、本が民票の現物を持って直接かなきゃいけないの。
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