"締め出された新社長" 第2話
先にってていいよ」
「失礼します!」
さらにその分、型トラックがの横付けスペースに滑り込んできた。 りてきたのは、提携している製会社からを運んできた注の配送ドライバーだ。彼は慣れたつきで、守窓の横にある注用の臨カードリーダーに、ペラペラの使い捨てタグをかざした。
ピッ。
緑のランプ。ガシャンとくシャッター。
掃除のパートも通れる。 入社カのも通れる。 部者であるはずの配送トラックの運転すら通れる。
この会社で唯、に入れないのは、今就任したはずのしい社だけだった。
の奥がカッとくなった。 たい朝のが頬を打っているというのに、首筋から汗が流れるのが分かった。 屈辱と、わけのわからない混乱が胃のあたりを締め付ける。
私はスマートフォンを取りし、総務経理部の坂井の番号を押した。 坂井は父が柳印刷をちげた頃からの最古参で、実質な会社の庫番であり、禁システムの管理者でもある。
回目のコールの、坂井のしかすれた声が聞こえた。
『はい、柳印刷、坂井です』
「坂井さん、私です。柳です」
『あ……社。おはようございます』
その声には、奇妙なためらいが含まれていた。いつものような事務でなトーンではなく、どこか気まずそうに線を泳がせているような響きだ。
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「いま、通用のにいるんですがね。昨もらったカードキーが通らないんです。回試しましたが全部エラーになる。松代さんや藤沢さんのカードは正常にいている。私の権限データの登録、漏れていませんか? 至急、隔か何かで解除してもらえませんか」
私はできるだけを抑え、努めて静に言った。社が初から払いをらっているなど、笑い話にもならない。 だが、受話器の向こうの坂井は、すぐに「申し訳ありません」とは言わなかった。 ただ苦しい沈黙が、秒、秒と流れた。
「坂井さん? 聞こえていますか?」
『……聞こえております、社』
坂井はさく息を吸い、それから、絞りすような声で言った。
『権限の登録漏れでは、ありません』
「……え?」
『システムのエラーでもありません。カードの磁気も正常です』
「なら、どうしてかないんですか。私がに入れない理由がないでしょう」
『昨の夕方……業務終、社から直接指示を受けました。「直のカードの入館権限は、全て止にしておけ」と。私がシステムから削除いたしました』
を鈍器で殴られたような衝撃だった。 目のにあるガラス扉が、急に歪んで見えた。
「父さんが……? なぜです。私は今から代表ですよ? 昨、引き継ぎの登記類にも実印を押したはずだ。社員のであれだけ挨拶をしておいて、締めすなんてどういうことですか」
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『理由は……私からは申しげられません。「本から連絡があっても、絶対にへ入れるな。鍵も渡すな」と、厳命されております』
「坂井さん、あなたね……!」
『申し訳ありません。ですが社の指示は絶対です。それが、この会社のの掟でしたから』
坂井はそれだけ言うと、逃げるように話を切ってしまった。 ツーツーという無質な切断音がにこびりつく。
私は震える指で、父の携帯話の番号をタップした。
『おかけになった話は、波の届かない所にあるか、源が入っていないため……』
械なアナウンス。 次に実の固定話を鳴らした。回目のコールで、母がた。
『はい、柳でございます』
「母さん、直だ。父さんはそこにいるか!?」
『あら、直? お父さんなら、今朝のにかけてったわよ。ほら、々から言ってたじゃない。退職したら伊豆の磯でい切り黒鯛を釣るんだって。釣具式担いで、でっちゃったわよ。週は戻らないって』
「週……!? 会社はどうするんだよ! 私のカードが止められてるんだ! 会社に入れないんだよ!」
『ええ? そんなこと言われても、私にはのことはさっぱり分からないわよ。お父さん、携帯も置いていったしねえ。「しばらく誰とも話したくない」って言ってたわよ。じゃあね、朝のドラマが始まるから』
カチャリ、と受話器が置かれた。
私はスマートフォンの画面を凝したまま、言葉を失った。
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