"締め出された新社長" 第3話
伊豆。釣り。週戻らない。 そして私のカードは止。
完全な計画犯だった。 父は昨、社員たちので「これからは直の代だ。若い力で会社を引っ張っていってほしい」と涙ぐみながら語っていた。あれは全部、ただの芝居だったというのか。 息子に会社を継がせると見せかけて、初に恥をかかせ、社内から追放するつもりなのか。
「ふざけるな……!」
りで奥歯がガチガチと音をてた。 だが、通用ので鳴り散らしているわけにもいかなかった。 はすでに分。そろそろ、現の職たちや営業の連が勤してくる帯だ。 社がので締めされ、オロオロしている姿を部に見られるわけにはいかない。
私は踵を返し、の向かいにある古びた喫茶「鳥」へとに向かった。 昭の面を残すそのは、朝からいており、柳印刷の正面玄関と通用、そしてのガラス窓が望できる位置にあった。
カウベルの音を鳴らしてに入り、番窓際のボックス席に座る。 スポーツ聞を広げた老が数いるだけの暗い内で、私はいブレンドコーヒーを注文した。
テーブルのに置かれたコーヒーからは湯気がちっていたが、もむ気になれなかった。 窓のを見つめる。 半を過ぎると、社員たちが々々、会社へと吸い込まれていくのが見えた。
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の奥田が、仏頂面でカードをかざして入っていく。 営業部の神が、話をに当てながらで通用を抜けていく。 彼らは誰も、向かいの喫茶から社が自分たちを見つめていることなど気づいていない。
午。 いつもなら、父が玄関をくぐるだった。 父が社すると、の空気が変する。職たちは背筋を伸ばし、営業は類をえ、社内全体に本のピンと張り詰めたワイヤーが通る。 だが今、そのはとうに過ぎていた。
分。 の階にある事務の窓に、が激しくき交うのが見えた。 何かが起きている。 双鏡などなくても、ガラス越しに漂う異様なざわめきが、通りのこちら側にまで伝わってくるようだった。
半。 本来なら、会議で私の就任記朝礼が始まっているはずのだ。 だが、の械はく気配を見せない。いつもならく唸りをげているはずのオフセット輪転の音が、まったく響いてこないのだ。
私はたまらず、神に話をかけようとスマートフォンを握りしめた。 だが、そのを止めた。 話して何と言う? 「私は今、向かいの喫茶にいるが、どうして朝礼が始まらないんだ」とでも言うのか? そんなみっともない真似ができるはずがなかった。
を回った頃だった。
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喫茶のドアがき、カウベルが鳴った。 入ってきたのは、首をすくめ、寒そうに肩を丸めた坂井だった。 彼は員に目礼することもなく、まっすぐに私の座る席へと歩み寄ってきた。
「……ここにおられるといました」
坂井は私の向かいの席に、浅く腰をろした。 には、コンビニのビニール袋と、茶い角2の封筒が握られていた。
「坂井さん」
私の声は、自分でも驚くほどく沈んでいた。
「説してください。これは体、どういう嫌がらせなんですか。父は私を試しているんですか? 社の器があるかどうか、ので喚き散らすか試したとでも言うんですか」
坂井は何も言わず、テーブルのに茶の封筒を置いた。 表には、父の荒々しい、圧のい文字でこうかれていた。
『直へ』
「先代から、昨の夕方に預かりました。『直が騒ぎしたら渡せ。騒がなくても、を過ぎたら向かいの喫茶にいるはずだから持ってけ』と」
私は封筒をひったくるようにして破いた。 からてきたのは、便箋枚にびっしりとかれた父の遺言のようなだった。
『直。 がかなくて、さぞ恥をかいたことだろう。 り狂って坂井を鳴りつけ、今頃はこのを睨みつけているはずだ。
おは「なぜだ」とっている。 俺がおを信用していないから、こんな真似をするのだとっているだろう。
だが、逆だ。 俺はおを社にした。
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