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"消された母親席" 第5話

それが、ささくれっていた代のしだけ癒してくれる。

しかし、その優しさが結果に、代に誤った決をさせてしまうことになる。

「まだ丈夫。もうしだけ耐えよう」という、母親としてのしい決を。

はまだ、これから起こる劇をらなかった。

そして、運命の結婚式まで残りと迫った。

の打ちわせの、千の言葉は、ついにとしての礼節のラインを完全に踏み越えた。

は、番にそう切りした。

「お義母さん、結婚式のスピーチの件なんですけど」

代は、母親としての言を、息子夫婦への祝福と列席者への謝を述べるものだと当然のように考えていた。

そのためにここ数、夜なべをしてスピーチの原稿を考え、何度も練習をねてきたのだ。

代は、微笑みながら千に答えた。

「ええ、もちろん。母親として、を込めてご挨拶させていただきますわ」

は、代の言葉をまるで邪魔な虫でも払うかのように片で制した。

「あ、いえ、そういうことではなくて」

そして千は、何の躊躇もなく酷な事実を告げる。

「お義母さんには、スピーチしていただかなくて結構ですので」

が止まった。

代のが真っになる。

今、このは何と言ったのだろうか。

代は、震える声で必がった。

「で、でも、母親として言くらいは……」

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は、ややかな線を代に向けたまま言い放った。

「ですから、必ないんです」

は、底うんざりしたという表を隠そうともせずに続けた。

「正直に言いますね。お義母さんのお話って、いつもくて点が分からなくて、つまらないじゃないですか」

代は言葉を失い、ただ呆然と千の顔を見つめた。

は、さらに残酷な言葉をねていく。

「私たちの度のれの台なんです。そんな退屈な話で、ゲストの方々をしらけさせたくないんですよ。の無駄になりますから」

母親としての最限の役割すら、完全に否定された瞬だった。

代の唇が震え、何か反論しようとするが、声にならない。

代は助けを求め、祈るような気持ちで息子の優太に線を送った。

頼む、優太。おから「そんなことはない」と言ってくれ。

「お母さんのスピーチが聞きたい」と、言だけでも。

しかし、優太は目を伏せたまま、母親のをえぐるような無慈な言葉をにした。

「母さん、千が言うならそうなんだろう。それに、プロの司会者にお任せした方がスムーズでいいじゃないか」

優太はまたしても、いともたやすく妻の方についた。

その目には、母親の絶望などまるで映っていないかのようだ。

そして優太は、さらに追い打ちをかける言を放った。

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代のを永に癒えないほどく傷つける、決定言だった。

「それにさ、母さんって昔からで話すのだっただろう。俺たち、恥ずかしいいしたくないんだよ」

恥ずかしい。

その言葉が鋭利なガラスの破片となって、代の鼓膜から突き刺さった。

臓をめちゃくちゃに引き裂かれたような痛みがる。

夫の剛は「にも限度がある」と言った。

しかし代はまだ、息子の台を壊したくないというで、この屈辱すらみ込もうとしていた。

その母親としての最の優しさが、もなく訪れる最悪の事態を招く引きとなってしまうこと。

この代は、まだる由もなかったのだ。

「俺たち、恥ずかしいいしたくないんだよ」

息子のから放たれたその言葉は、物理な質量を伴って代の胸を激しく殴りつけたかのようだった。

呼吸が止まり、界がぐにゃりと歪む。

周囲の音がのいていき、自分の臓の音だけが夜空にきく、規則にの奥で鳴り響いていた。

恥ずかしい。私が、恥ずかしい。

この子のためにの全てを捧げてきた。

この私が、息子の母親であるというただそれだけのことが、息子にとって恥だというのか。

代ので信じてきた世界の全てが、ガラガラと音をてて崩れ落ちていく。

目のでは、千が満げな笑みを浮かべていた。

彼女の計画通りといったところだろうか。

代というを、自分たちの完璧な結婚式から、つまたつと丁寧に、そして残酷に排除していく。

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