"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第1話
その、商には駅から続くアーケードを作る話があり、主たちは事のらせが載る回覧板を待っていた。信吾の写真館には、成式を撮った客の写真と、予定の写真が同じ壁に掛かっていた。千鶴は「の壁を掲示板にしないで」と言ったが、信吾は町のが自分のの位置をらないまま署名するのが気になったのだと答えた。由美は当、そのやり取りを夫婦のさな喧嘩だとっていた。
運会のはとはえないほど暑く、敷物のまで庭の砂が入り込んだ。千鶴の作った卵焼きを健太が急いでべ、喉につまらせかけた。父はカメラを置いて筒を差しした。由美はそのとき、父がいなくなったらのにどんな空ができるか像もしなかった。映像に残るこの面が、あとで何度も再されることもらなかった。
父を呼びに来た魚は、息を切らし、のから腕を振っていた。父は話を聞いてから、度だけ庭を振り返った。健太の午の演目はもう終わっている。由美は帰りにカメラを持つのが嫌で「自分で運んでよ」と言い、父は「まで頼む」と笑った。、由美はその最のやり取りを何度もい返す。ただ、父が言ったのはたったそれだけだった。い械を頼む声のに、失踪を予告する言葉はなかった。
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夜、警察がへ来たとき、由美は階の階段で聞きをてた。千鶴は写真用の封筒を抱え、父は仕事を途で放りすではない、と繰り返した。警察官はき先をらないか、最論はなかったかと尋ねた。現箱が空だと分かると、質問の順番が変わった。由美はそのとき初めて、おがなくなったは、探されるではなく疑われるにもなるのだとった。
「父ちゃん、今の、撮れた?」
昭62の、埼玉県の郊にある学で、歳の沢健太は徒競のゴールから、庭の端につ父へを振った。父の信吾は商の写真を営み、買ったばかりの庭用ビデオカメラを肩に載せていた。の仕事用に使うつもりだったが、このは息子がる姿を最初に撮ると約束していた。
「撮れたぞ。転んだところまでな」
「転んでないよ」
信吾は笑い、ファインダーから目をした。妻の千鶴は庭の敷物に弁当を広げている。学の娘、由美は父のカメラを恥ずかしがりながらも、弟に渡す麦茶を持ってきた。どこにでもある運会の昼休みだった。
午過ぎ、写真に急ぎの客が来たと商の魚がらせに来た。からへ発する族の証写真を、今に仕げてほしいという。信吾はビデオカメラを由美へ渡し、夕方までに戻ると言ってをた。
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由美は午半に母とへ戻り、戸にまっていた美佐の自転を見た。いカメラを彼女に渡してから弟と階へがった。
その夜、父は子どもたちのには帰らなかった。写真の暗では引き伸ばしの源が入ったままになっており、主たちの預かりを入れた現箱から百万円がなくなっていた。戸棚にはの権利証を入れていた封筒もなかった。商では数かから、きなを通す計画を見越したの売買がみ、信吾のにも買いが訪ねていた。
警察は、信吾が現を持って姿を消したと考えた。隣の計主、瀬義男は、信吾が午に産業者とでかけたと証言した。千鶴は夫が族を捨てるはずはないと言い続けたが、の帳簿には借入があり、保険料も滞っていた。運会から帰った由美と健太は、カメラを抱えたまま暗いで待った。
の平成、商の再発が決まり、沢写真館は取り壊されることになった。千鶴はを守りながらパートで働き、由美は内の現像所に勤めている。写真館の奥の棚を片づけると、運会の映像が入ったビデオテープがてきた。
健太はもうで、自分のる姿など見たくないと言った。それでも由美は、しいデッキへテープを入れた。
ゴールで転びかけた弟、父の笑い声、弁当をべる母が映る。信吾が学をたところで録画は止まっていた。
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