"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第2話
ところが画面が暗転した数秒、別の映像が始まった。写真館の暗だった。信吾が計主の瀬と向きい、机のには町の図面が広げられている。暗の壁計は午分を指していた。
信吾は録画に気づかず、「それを町のに見せたら、の位置を変えた理由が分かる」と言った。瀬は、黙っていればの借を肩代わりすると答えた。そこへ誰かが扉をけ、カメラがきく揺れた。
映像はそこで途切れている。父が午に瀬とでかけたという証言と、午分にで録画された映像は両しない。
由美は止した画面の端に、さない袖を見つけた。誰かが撮していた。しかもそれは、族のであの、カメラの使い方を父から教わったばかりの由美自の制に見えた。
由美が最初に覚えた写真館の匂いは、現像液ではなく、朝に千鶴が沸かす麦茶の匂いだった。学へくにを通り抜けると、父はいつも客の名を声にして封筒へいていた。名を取り違えれば、のに度の写真を別のへ渡してしまうからだと言った。父がいなくなったあと、千鶴は同じように名を読みげて仕事を続けた。由美はその声を聞くのがつらく、現像所へ就職してからは昼のに居しなくなった。
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テープのケースには、父の字で《運会・健太》とある。千鶴は、度もきせずに棚へ戻していた。の棚に置き続けたのは、見つけてほしかったからか。それとも隠し所を決める力さえ残らなかったからか。由美は問いただすに、箱の埃と粘着ラベルの浮いた角を写真に撮った。古いテープの磁気はくなる。野坂に複製を頼むと、彼は再を繰り返すたび傷むから原本にはもう触りすぎないよう言った。
健太は録画の音を聞いて、父がゴール直に「転んだところまで」と言った笑い方を真似した。由美も瞬笑い、それから自分が笑ったことに驚いた。母ので父の名をすと空気がくなるため、では、運会のことさえ話しにくかった。映像に声が残っていると、しいのに普通の午があったと分かる。由美は父のいたを取り戻したいのか、父がった理由をりたいのか、自分でもまだ区別できなかった。
鏡の袖を見せたとき、千鶴は最初に《誰》ではなく《どこから》と尋ねた。由美がの棚と答えると、母は写真館の鍵が部のにも渡っていた頃をいすように黙った。美佐はの祭りから週に来ており、父がでも暗の戸をけられた。計の瀬も、写真館とのの共同倉庫の鍵を持っていた。
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戸をけたと撮したが同じとは限らない。由美は鏡のだけで母を疑ったことを、帳の冒にき残した。
郵便受けのは、学習帳を破ったようない罫線入りだった。由美は差の字を父の字と見比べた。父は《》の最の線をくく癖があり、脅すような文章にはそれがない。らない誰かがテープを見たとっている。健太は玄関の鍵を替えようと言った。由美も賛成した。映像の謎を解くことと、今夜全に眠ることは、別々に考える必があった。
父がいなくなったあと、由美は学の作文に「運会」を選べなかった。同級が父母の作った弁当や族の声援をいているのを見ると、庭でカメラを構えた信吾の姿より、夜に空いたままだった暗の戸をいした。あのの映像を見たのは、を片づける今回が初めてだった。
健太は違う記憶を持っていた。運会では位だったことが悔しく、父が自分の転びかけた姿をに見せるのを嫌がっていた。信吾が失踪したあとも、撮ってもらった映像を見たいとは度も言わなかった。由美は弟が平気だとい込み、健太は姉が父を待たないだとい込み、は同じでそれぞれ別の喪失を抱えた。
テープを発見した夜、野坂へ話するに由美は映像を巻き戻した。
信吾がをる、カメラは千鶴へ渡されていた。千鶴が試しに撮った数秒のに、信吾が由美のを軽く撫でる面がある。
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