"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第6話
信吾はさな仕事にも賃を払ったが、祭りの撮では美佐自の写真も撮らせた。を継ぐのは男だと周囲に言われていたころ、父は「見る目は性別じゃ決まらない」と笑っていた。
横浜のへくと、美佐は映像を見なくてもどの面か説できた。信吾は瀬が来るにカメラを暗の棚へ置き、論を撮るよう美佐に頼んだ。美佐は曇りガラスの向こうから操作し、鏡にが映ったのだという。
「なぜ父はあなたに頼んだの」
「の週、瀬さんと役所のが図面を持ってへ来た。信吾さんは写真で数字を調べようとしていたけど、で相をするのが怖かった。私にも、何かあれば由美ちゃんのお母さんに渡してくれと言った」
映像の最、瀬のに入って来たは、務を営む青、藤崎正孝だった。彼は写真館の裏にある貸舗を借り、が写真館を通るとって移転を迫られていた。父の話を聞きに来たはずだと美佐は言う。
ところが美佐が暗からると、信吾も藤崎もいなかった。瀬は、で役所へったと説した。美佐は信じず、翌朝、千鶴へ映像を渡した。千鶴は、テープを受け取りながら「には見せないで」と頼んだ。美佐は度だけ交番へ話したが、族がテープを持っていると告げると、まず族へ提を求めるよう言われ、話を切った。
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由美は、美佐に責任がないとは言わなかった。それでも、代だった彼女が主とその妻と元の力者のでち尽くした姿を像できた。千鶴は、その点で父の失踪について何かをっていた。
失踪当のことをるは、みな同じ「午」を別の形で覚えていた。魚の矢野は運会の正午に弁当を売り切ったことを覚え、午に信吾を呼んだことは認めた。だが、急ぎの証写真を頼んだ客の名を聞かれると、袋を畳むが止まった。客から直接頼まれたのではない。瀬に「へ伝えてくれ」と言われただけだった。
「娘があので働いてた。仕事を運んでやるつもりで、俺も考えなかった」
矢野は信吾の失踪、瀬に問いただしたという。瀬は、その客はもう国したと答えた。矢野はそれ以聞かなかった。娘の美佐まで疑われるのが嫌だったのだ。由美は帳面に《客のは未確認》といた。嘘をついたのは誰かを決めるに、伝言がどこから来たか確かめなければならなかった。
父の仕事には、運会のの予約台帳が残っていた。午、《証写真、》という欄に太い鉛の文字がある。受け渡し欄は空。フィルムの使用記録にも分の増加はない。急な客を実に、父を学から呼び戻したのだろう。瀬が午に父をへ乗せたと言った刻は、母と子が学をるしだ。
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族の目の届かないを選んだことだけは分かった。
由美は台帳の頁を見ながら、父が学からへ急いだを歩いた。歩を渡ると計の板が見える。休の午でもはいており、先では報にわせて計が斉に鳴った。にもあの音はあった。自分が運会の帰りに聞いた鐘と、父がに乗ったとされた刻を結びつけようとして、由美はち止まった。鐘を聞いたことは確かでも、刻は覚えていない。誰かの作った刻へ記憶を寄せれば、父の捜索をまた違う方向へ導いてしまう。
台帳を持って交番に相談すると、配の巡査が当の方届にかれた説を読んだ。《主、経営振によりの能性》。根拠の欄には瀬の証言と現のがある。巡査はその点が変わるなら調べ直せると言った。ただし父が自分で姿を消した能性までなくなるわけではない。「同じが、連れされても、そのあと自分で逃げることはある」。由美はその言葉を帳に記した。どちらか方だけを信じるのは、父にもう度会ってからにしようとった。
横浜から戻った由美は、母を責めるに藤崎の方を調べた。藤崎は写真館のを通る計画が正式に決まった、務を閉めていた。所は隣県へ移り、その先は分からない。
業界団体の名簿から、今は建築資材会社で配送の仕事をしていると分かった。
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