"消えた写真屋の父が残した一本のビデオ" 第9話
現像液ではなく、改修のときの壁材だとタツが言った。由美は触るに棚の内側を写真に撮り、番号札、蝶番、板の傷も写した。父のネガを見つけたびで順番を誤れば、あとから誰がいつ箱を入れたのか証しにくくなる。現像所で失敗した写真の原因を記録する習慣が、ここでは役にった。
タツが数えた現のには、連続した番号の万円札が枚あった。飯田が調査費を集めたにでろした札だという。飯田の当の払戻伝票も残っていた。の噂では、父が調査費を持ちっての借を返したことになっている。由美は通帳の数字を照し、借入の返済が父の失踪よりであることも確認した。券の番号だけで無実を証できるわけではないが、がどこで、誰のために保管されていたかを説できた。
ネガの包みにはもうつ、青いボールペンでいた文字があった。《複写は美佐に》。父は自分が撮ったものをで握り続けようとしたわけではない。危険をじた瞬まで、誰かへ渡すつもりで準備していた。そのあと、何が父を変えたのか。由美は包みを戻し、千鶴にも見せた。千鶴は文字を指でなぞろうとして止めた。「私には、預けなかったのね」。由美には答えられなかった。
タツは銭湯の脱所を掃除しながら、信吾が運会の朝に来た様子をいした。
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、濡れていない靴のまま裏を訪ね、棚を段だけ借りたいと言ったという。「ここの誰かが困ったら、これをすから」と笑っていたが、声はかった。タツは理由を聞かず、鍵の付いた棚を貸した。
「何を預けたからなかったから、警察へは話さなかった。預かり物の控えは番台の帳簿に残したけれど。でも、戻ってこないと聞いた夜、棚をけるべきだったかもしれないね」
由美は、タツがも責めを背負っているのを見た。預け物を勝に調べなかった判断も、の客から受けた信頼を守るためだった。何かをらないことが罪になるとは限らない。なくとも父は、いざというとき帳簿を読めば棚へ辿り着くようにしていた。
現は湿りを避けるため、油で包まれていた。由美とタツは番台の隣で万円札の枚数を数え、幣の番号を記録した。千鶴もそのに呼び、ので箱を再封した。父がで調べて危険に遭ったことをった今、由美は証拠と責任をの族だけで抱え込むつもりはなかった。
飯田たち主へらせるに、由美は使途の万円も確かめた。写真館の薬品、現像、刻を写し込むための計を買った領収が帳簿に挟まっていた。父は町ののを自分の借へ充てていない。このさな事実を積みねて初めて、父への疑いを町から消せるとった。
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銭湯の女将、浜田タツは代になっても番台に座っていた。信吾が写真館の材を預けたことは覚えていないが、浴の改修でした古い脱棚を裏の倉庫に残していた。閉めたあと見せてもらうと、最段の札番号だけ、扉の内側の板がしかった。
板をすと、い属の箱がてきた。には現が百万円、封筒に入った測量写真のネガ、そして信吾のメモがある。残り万円は、資料を調べるため写真の経費として使ったと記されていた。
メモには《原本が消えても、これだけは残る》とある。信吾は自分がから連れされる能性を考え、現とネガのをかさずタツに預けた。改修の際も預かり物を捨てないよう、タツが棚ごと倉庫へ移した。
由美は、偶然だけで事件が解けたと考えたくなかった。父が帳簿に支を残したのは、のを預かっていたがで追えるようにするためだ。番号は運会の、健太が付けたゼッケンと同じだった。父は子どもの番号なら由美がいすと期待していたのかもしれない。
ネガは、の交通量を調べたの写真だけではなかった。瀬と役の係、藤崎が写真館の裏からる姿も映っている。は図面を持ち、まだ公表の変更案を見ていた。
撮は父の失踪の。
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