"死刑執行直前、1匹の犬が見つけた「8年前の嘘」" 第6話
命令した男
9分を元の位置に戻すと、廊は別の所になったように見えた。
裁判で何度も見せられた映像では、途でのきが途切れ、次の面ではい煙が漂っていた。直は、その途切れたので2を殺し、をつけたことにされていた。
けれど、そこには直ではないが映っていた。
2147分。橘と野寺が類を見ながら廊を歩く。2が会議へ入ると、ほどなくして別の男が現れた。
鷹宮亮介だった。
ニュースの画面より若いが、顔を隠してはいなかった。扉のでを止め、廊の両側を見てから、2と同じ部へ入った。
結は机の縁へを置いた。
「関わっていないって、言っていましたよね」
技術者は再を止めずに続けた。
しばらくして、鷹宮が会議からてきた。入るときには着ていた着を脱ぎ、腕にまとめて持っている。廊の端にっていた須藤へ何かを渡すと、顔をづけて話した。
音声はなかった。須藤が何度もうなずき、受け取ったものを抱えて反対方向へ歩く様子だけが残っていた。
やがて扉の部から煙が流れした。
その面にも、直はいなかった。
技術者が、別のカメラの記録へ切り替えた。提されていなかった裏側の映像だった。須藤が元に残した記録には、廊以のカメラのデータも含まれていた。
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2152分、のシャツを着た直が裏へづいてきた。
袖をまくり、いつも使っていた具鞄を持っている。扉をけたところでち止まり、顔をげた。から流れす煙に気づくと、具鞄を面へ置き、建物へ入っていった。
結は息を詰めた。逮捕されてからの直ばかりを見てきたせいで、仕事をしている姿がにいものにじられた。
画面のの直は29歳で、結がっている歩き方をしていた。
「このあと、通報しているんです」
結が言うと、浦がうなずいた。
「相沢さんの話による通報は、元の記録にもあります。自分でをつけてから通報した、と解釈されていました」
具鞄は置かれたままだった。結は画面を止めてもらい、煙の向こうへ消える直の背を見た。
助けようとしたことまで、犯らしいに読み替えられていた。
浦は必な面を理し、須藤に確認する質問をまとめた。そのの面談には須藤の弁護士が同席し、結も本の承を得て加わった。
須藤は固定されたをベッドのに伸ばし、タブレットの映像を見た。鷹宮が会議に入る面になると、目を閉じかけた。
「見てください」
浦が言った。
「あなたが残していた記録です。ここで何があったのか、説してください」
須藤は自分の弁護士を見た。
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弁護士は何かを代わりに答えることはせず、し待ってから、話せることを正確に話すよう促した。
「橘さんたちは、会社ののことを調べていたんです」
須藤は毛布の縫い目を指でつまんだ。
「亮介さんが、自分で使ったを別の名目で会社に払わせていた。野寺さんが帳簿をそろえて、橘さんと緒にへすつもりだった。あの夜は、その話をするために会っていた」
「あなたは、何をするよう頼まれましたか」
「をづけるなと。会議のまわりを空けておけ、と」
会議から戻ってきた鷹宮は、災に見せると須藤に告げたという。直を呼び、設備の異常があると伝えるよう命じた。
「相沢なら夜でも来る。故障だと言えば、現を見る。そう言われました」
結は鞄の持ちからをした。
直の几帳面さをっていた。泊まりの仕事でなくても話を切れず、警報が気になるとかけていった。その性格を、須藤たちは利用したのだ。
「それで、来た直を犯にしたんですか」
須藤は結を見ずにうなずいた。
「入館した刻は、あとから私がした覧表を変えました。映像も、部を抜いて渡した」
「なぜ全部消さずに、残したんですか」
浦の問いに、須藤は唇を湿らせた。
「全部なくなれば、私だけのせいにされるとった。亮介さんが映っているものを持っていれば、切られないとったんです」
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そのもを受け取り、仕事を与えられた。退職したあとも顧問という名目で関係は続いた。
ところが鷹宮が社になると、古い資料を引き渡せと言われた。顧問契約も終えるという。須藤は初めて、自分がいなくなれば鷹宮を困らせるがいなくなることを恐れた。
「私が何か話すに、終わらせるつもりだとった。それで先に連絡を」
「直がぬに、ではなかったんですね」
結が言うと、須藤の指が止まった。
浦はそのを慰めの言葉で埋めず、話を映像へ戻した。鷹宮から須藤へ渡されたものを拡すると、紺の布の袖が見えた。
「これは何ですか」
「相沢の作業着です。予備の着を、ロッカーから」
「あなたがしたんですね」
須藤はうなずいた。
その着は、元の事件で直の関与を示す物証の1つとされたものだった。直は、そのは着ていなかったと主張していた。
須藤は、鷹宮に命じられて仕方なく運んだのだと続けた。
浦が再位置をへ戻した。
2143分。廊の奥から須藤が現れ、畳んだ紺の着を抱えて、会議のへ運んでいた。
その4分に、橘と野寺は廊を歩いている。
「もう度、聞きます」
浦は画面を須藤へ向け直した。
「その作業着を用したのは、2がくなるですね」
須藤は毛布を握り、をいたが、言葉がなかった。
「事件が起きたあと、初めて命令されたという説では、順番がいません」
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