みかん小説
本棚

"五人の元彼と三万一千円" 第8話

がりの、定規で引いたように几帳面なボールペンの跡。

佐々健太。

サークルの部で、事の翌番最初に声をかけてくれた。そして、私が最初に「恩義」から付きい、で窒息させてしまった相

引をほどき、袋を引きす。

からは、ピン札の万円札が枚、千円札が枚、そして百円玉が枚と、円玉が枚入った透袋がてきた。

私がにATMから振り込んだのと、全く同じ額。

そして、幣の隙から、つ折りにされたさない便箋が枚、滑り落ちた。

が……入っている」

俊平が呟いた。

私は恐る恐る、その便箋をいた。

『千里へ。

結婚おめでとう。サークルの共通のLINEグループで、君が今、横浜で式を挙げることをりました。

突然こんなものが座に振り込まれていて、本当に驚いたよ。円。通帳の数字を見た瞬のあの暗い部景がフラッシュバックした。

千里、君はずっと、あのを「借」だとっていたんだな。

俺たちがバイト代を削って集めたあのを、君はもの、自分を縛り付ける鎖にしていたんだな。

付きっていた頃、君がラーメン杯の代まで円単位で割り勘にしようとしていた理由が、今になってようやく分かったよ。俺はあの、「なんでこんなにを許してくれないんだろう」

広告

と苛っていただけだった。君が俺に対して、ずっと「返済」を続けていたなんて、これっぽっちも気づけなかった。

でもな、千里。

俺はあの、困り果てて泣きそうになっていたサークルの輩を助けたかっただけだ。

君の好を買うためにしたんじゃない。君を支配するためにを集めたんじゃない。

俺たちのにあったは、確かに苦しいことばかりだったかもしれない。でも、俺が好きだったのは、必を向こうとしていた君自であって、あのとは何の関係もなかった。

頼むから、俺たちの過を、ただの「銭の貸借関係」にき換えないでくれ。

このは受け取れない。君がこれを受け取ってくれないと、俺があの、君を助けたいとった純粋な気持ちまで、汚い押し売りにされてしまう気がするんだ。

さんと、幸せになってくれ。もう度と、自分の価値をで計算するなよ。

佐々健太』

文字が、涙で滲んで読めなくなった。

の端を掴む私の指先が、激しく震えていた。

「……汚い押し売り、か」

俊平がく呟いた。

彼は通目ののし袋にを伸ばした。丸っこい、どこかの抜けた跡。

亮介。

いつもサークルのムードメーカーで、私を笑わせようと必にくだらない冗談を言っていた

には、同じ額の現と、いイラストの描かれた箋が入っていた。

広告

『千里ちゃんへ!

結婚式、今だよね? おめでとう!

振込見てビビったわ! なんだよこの端数、相変わらず千里ちゃんらしい几帳面さだなって、嫁と緒に笑っちゃったよ。あ、俺、子供がまれてさ、いま児のパパやってます。

読んで、胸が痛くなった。

千里ちゃん、まだあの事のこと気にしてたの?

俺がしたのなんて、たった万円ちょっとだぜ? パチンコで晩でスるようなだよ。そんなもののために、も申し訳なさを抱えてたなんて、バカだよおは。

俺が千里ちゃんに告したのはさ、健太と別れて落ち込んでるおを守りたかったからだよ。はあったかもしれないけど、「を貸したから付きえ」なんてったこと、に誓って度もない。

このは突き返す! 俺の遣いにするにはすぎるし、嫁に見つかったら「何この元カノからの々しい精算」ってられるからな(笑)。

居のでも買いなよ。ルンバとかさ。

さんを事にして、今度こそ肩の力抜いてきろよな!

亮介』

通目。藤田拓

理屈っぽくて、いつもし斜に構えていた、理学部の同級

乱暴に引き裂かれたルーズリーフの切れ端に、万い文章だけが殴りきされていた。

『振込、確認した。

正直、吐き気がした。

君は最まで、僕を「債権者」

としてしか見ていなかったんだな。

僕たちが付きっていたあの半、君は僕の部に来るたびに、スーパーのレシートの額をきっちり半分置いていった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: