みかん小説
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"優しい教室で震える息子" 第4話

『〇〇緑が丘 費当納入受領

印字された文字を読んだ瞬、私のに疑問符が浮かんだ。 費当納入受領

緑が丘費は、全児童、指定された座からの毎引き落としのはずだ。 あたり円、額にして約百円。 座の残などで引き落とせなかった庭にのみ、袋が渡され、事務で現と引き換えにこの受領が発される仕組みになっている。

だが、は共働きで、活に困窮したことなどない。 費の引き落とし座には常に与が振り込まれており、残など起こるはずがなかった。

付は、今額欄には、はっきりと印字されていた。

370円』 『受領印 緑が丘事務

なぜ、蓮がこんなものを持っているのか? 何かの違いで度だけ現納入したことがあったのだろうか?

だが、疑問はそれだけでは終わらなかった。 のレシートを裏返した、私の臓がきくねた。

裏面の央に、鉛で、几帳面な跡の文字がかれていたのだ。

『418席番号1番 浅井悠

その名の横には、販のさなカエルのイラストのスタンプが、ぽんと赤く押されていた。

浅井悠。 武田先が言っていた、蓮の隣の席の子だ。

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「……何、これ」

声が漏れた。 私は震える指で、枚目のレシートを引き抜いた。

『419費当納入受領 370円』 裏面:『席番号2番 飯田蒼太』 のスタンプ。

枚目。 『420費当納入受領 370円』 裏面:『席番号3番 川咲良』 のスタンプ。

枚目。 『421費当納入受領 370円』 裏面:『席番号4番 伊藤』 チェックマーク。

枚、また枚と捲るが、止まらなくなった。 をめくるカサカサという乾いた音が、静かな子供部に異様にきく響く。

番、番、番……。 付は平の登も欠かすことなく、順番に刻まれていた。 名は、すべて違う子供の跡だった。丸文字の女の子の字、乱暴にき殴られた男の子の字、丁寧にマス目からはみさないようにかれた字。 そして、そのすべての名の横に、確認印のようなスタンプやサインが添えられている。

学期終業式まで。 そして、学期が始まってからの分。

私はに正座し、狂ったようにレシートを数えげた。

……。

全部で、枚あった。

枚。

組の児童数は、蓮を含めてだ。 蓮を除いた、全員の数。

席番号番から、番まで。 蓮の番号である番だけを綺麗にばして、組の徒全員の名が、完璧なローテーションで並んでいた。

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「蓮君の今の分」 「蓮君へ、美しくべてね」 「9/4 代納済み」

レシートの余に、き添えられたさなメッセージが、私の界を歪ませた。

で、バラバラだったピースが急速に、けれど最もおぞましい形で組みわさっていく。

徒ので、蓮の費だけが、座から引き落とされていない? いや、違う。 座からは、毎きちんと引き落とされているはずだ。 それなのに、学の事務には、毎円の現が持ち込まれていた。

誰によって? 蓮のクラスメイトたちによって。

の子供たちが、回ずつ、自分の遣いなのか親からもらったおなのかを持ち寄り、輪番制で、蓮の費を「肩代わり」していたのだ。

も欠かさずに。

『蓮君はね、今、うちのクラスでされていると言ってもいいくらいなんですよ』

武田先の弾んだ声が、の奥で々しく蘇った。

されている? これが?

私の背に、どっと汗が噴きした。 これは施しだ。 それも、子供たちがいつきでやった回限りの親切ではない。 席番号順に当番を決め、スタンプを押し、誰がいつ支払ったかを管理する——極めて組織で、制度化された「支援」のシステムだ。

円という、子供にとっては決してくない額。 駄菓子で豪遊でき、ガチャガチャを回せるはずの遣いを、の子供たちが蓮のために拠し続けていた。

なぜ? どうしてが? どうして蓮が、クラス全員から施しを受けなければならないのか?

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