みかん小説
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"優しい教室で震える息子" 第7話

だ。

インターホンのち、きく息を吸い込んだ。 指先がたく震えていた。 何をどう切りせばいいのか、自分でも定まっていなかった。 だが、このに会わなければ、何も始まらないことだけは確信していた。

ピンポーンと、るい子音が鳴った。

『はい、どちら様でしょう』 「あ……突然すみません。組の、野蓮の母です」

インターホンの向こうで、瞬の沈黙があった。 息を呑むような、微かな気配。

『……蓮君のお母さん? あ、ちょっと待ってくださいね、今けます』

数秒、玄関のいドアがゆっくりといた。 現れた浅井織さんは、ベージュのニットにエプロン姿で、私を見るなり、驚きと……そしてどこか、腫れ物に触るような、極端に柔らかい笑みを浮かべた。

野さん、どうされたんですか? 今は蓮君、学をお休みされたって悠から聞いて……体調はいかがですか?」

その表、その声音。 今朝、職員で武田先が見せたものと、寸分違わず同じだった。 過剰なまでの優しさと、その裏にある、底れない違

「突然押しかけて申し訳ありません、浅井さん。しだけ、お話ししたいことがあって……ち話で構いませんので」 「まあ、そんなところで何ですから。どうぞ、がってください。ちょうどお茶を淹れたところだったんです」

断る隙も与えず、浅井さんは私をリビングへと招き入れた。

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綺麗に片付いた内には、アロマの甘いりが漂っていた。壁には悠君が描いた絵画や、サッカーの表彰状が誇らしげに飾られている。

勧められた革張りのソファに浅く腰掛けると、すぐにハーブティーのカップがされた。

「それで……改まって、どういったご用件ですか? 何か、悠が蓮君にご迷惑でも?」

浅井さんは首を傾げ、配そうに眉をの字にした。

私はバッグから、あのひまわりの封筒を取りした。 そして、そのから枚——付、浅井悠君の名かれた円のレシートを抜き取り、ローテーブルのにそっと置いた。

「これについて、お伺いしたいんです」

浅井さんの線が、テーブルの片に落ちた。 その瞬、彼女の瞳の奥が微かに揺れた。 だが、揺や狼狽ではなかった。 そこに浮かんだのは、「ああ、そのことか」という、く、慈に満ちた納得のだった。

浅井さんはふっと息を吐き、困ったように微笑んだ。

「まあ……野さん、蓮君から見せてもらったんですか? あの子、几帳面だから取っておいたのね」 「見せてもらったのではありません。蓮のランドセルの底から、私が見つけました。全部で、枚ありました」

私の言葉に、浅井さんはしだけ目を丸くしたが、すぐに慈母のような柔らかな表に戻った。

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枚……。そう、もうそんなになるのね。みんな、本当によく頑張ったわねえ」

背筋に、ざらりとした悪寒がった。 「よく頑張った」?

「浅井さん」 私は声をく保ち、テーブルのに両を置いた。 「これは何ですか。なぜ、悠君が蓮の費を払っているんですか?」

浅井さんはティーカップにを添え、ゆっくりと私を見つめた。 その目には、侮蔑も敵も微もなかった。 あるのは、ただ純粋な、どこまでも純粋で傲な「同」だった。

野さん。そんなに構えないでください。おのことなら、本当に気にしなくていいんですよ」 「……え?」 「悠もね、自分のお遣いのからんでしたんです。『蓮君がべられなくなったらだから、僕が今のご飯をプレゼントするんだ』って。男の子って、普段は乱暴ですけど、こういうは本当に優しいのよね。だから、返なんてとんでもない。お互い様なんですから」

言葉がなかった。 お互い様? んでした?

「浅井さん、が分かりません。なぜ蓮が『べられなくなる』んですか? 費を滞納していません。のエラーで度だけ引き落とせなかっただけです。には、子供の費を払えない理由なんて何もありません」

私が語気をめて言い放つと、浅井さんは困ったように眉をひそめ、そっと私のに自分のねてきた。

そのたい皮膚の触に、反射に鳥肌がった。

野さん……がらなくてもいいんですよ」

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