みかん小説
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"一万八千円の伝票" 第25話

ご自の個資産だけでなく、ご親族や、消費者融からもを掻き集め、攫千を狙って勝負にられたのです」

レストランの空気が、ピシリと凍りついた。が目を見く。

「……しかし、その投資案件は、に拠点を置く極めて巧妙な実体のない投資詐欺グループによる罠でした。さんは集めたをすべて失い、夜にして巨額の債務を背負うことになったのです。その額……およそ、千万円」

「ご、千万円……!?」

の顔から、さっと血の気が引いていった。 千万円――先ほどがロビーで私に突きつけてきた、あの架空の借用額と、完全に致していた。

「え……? 嘘でしょ……? 支配、あなた、借まみれだったの……!?」

がすがるように問い詰めるが、は俯いたまま、刻みに震えるだけで言も答えられない。

「ホテルを売ったおで私にブランドのバッグを買ってくれるって……! 将来は私と緒にしい会社をげるって……全部、約束したじゃないのよッ!」

の絶叫が内に霊した。 は突如として子を蹴ててがり、狂ったように鳴りつけた。

「うるさいッ! おのようなの悪い女、適当に利用して駒に使っただけだッ! おがフロントで客から巻きげてきた端のおかげで、俺は毎の法な利息をなんとか払い延ばせていたんだよ! しは謝しろッ!」

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その醜悪極まりない罵声に、は息を呑み、子にへたり込んだ。 され、特別扱いされていると信じ切っていたれな先の、惨めすぎる結末だった。

私はややかに見据え、静かにいた。

「……つまり、あなたがホテルの売を着し始めたのは、自分のな投資の失敗で作った千万円の借を穴埋めするためだったのですね。そして、客から巻きげる銭だけでは利息の返済すら追いつかなくなり、最はこのホテルそのものを資に売りばして、借括返済して逃を図ろうとした……」

支配はもはや反論する気力すら失い、肩で荒い息をしながら、力なく子に座り直した。

「……そうだ。その通りだよ! あの、俺は完全に追い詰められていたんだ!」

彼は自嘲するように、自暴自棄に笑った。

「そんなに……あの健の野郎が急して、あんたが病気で倒れて、俺にすべての権限が転がり込んできた! 庫には毎、現が入ってくる……最初は、ちょっと借りるだけのつもりだった! 株を取り返して、ですぐに戻せばいいと……! だが、を染めたら、もう戻りなんてできるわけがなかったんだよ!」

「だからと言って……お客様を騙し、傷つけ、従業員を脅迫して具のように使うことが許されるとでもっているのですか!」

私の凛としたに、は顔を歪め、憎悪に満ちた目を向けてきた。

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「許されるわけがないことくらい、分かっているさ! だが、にどうしろって言うんだ! のオーナーはなぁ、『お客様のために』だの『誠』だの綺麗事ばかり言って、毎ヘコヘコげて、タダ働き同然のことばかりしていた! あんなやり方を続けていたら、どうせこのホテルは潰れていたんだよ! 俺をこんな目に遭わせたのは、あのバカ正直な健のせいだッ!」

は己の罪から目を背けるため、なおもき夫の誠実さを攻撃し、罵り続けた。

「……まだ、そんなことを言っているのですか」

私はバッグの奥から、夫の古い万を取りした。 そして、胸のポケットから、冊の古びた、角の擦り切れたさな帳を取りし、ガラステーブルの央に静かに置いた。

「これは……夫の健が、き始めた『お客様おもてなしノート』です」

その言葉に、厨から歩みてきた松島板が、ハッと息を呑んだ。

「……将の、あのノートですか……? まだ、残っていたのですか……」

「ええ。夫は、くなる夜まで、毎晩欠かさずこれに記録をつけていましたから」

私はおしむように、ノートの黄ばんだページをゆっくりとめくった。 そこには、何にもわたってこの宿を訪れてくださった、無数のお客様の名と、細やかな好みが、夫の温かいき文字でびっしりとき記されていた。

『田様:お茶はしぬるめを好まれる。

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