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"祖母は十二年年賀状を書いてない" 第17話

など、最初からこの世のどこにもいなかったのだ。 目のにいるのは、ただの、壊れかけた、では排泄すらままならない老いた肉体だった。

「……お母さん」

私ががった。 が震えていたが、奥歯を噛み締めて祖母の元へ歩み寄った。

「茜、寄っちゃ駄目よ、が……」

母がわず制止の声をあげた。 私はその言葉を無して、祖母のと尿で汚れた背に、両を回した。

「おばあちゃん、おこう。着替えようね」

「……茜、すまないねぇ、けないねぇ……」

抱き起こした祖母の体は、驚くほど軽かった。 骨と皮ばかりになった肩。 背骨のごつごつとした触。 孫にお遣いを握らせてくれた、あの温かくてきかったおばあちゃんのは、今やたく干からびて、私の首にすがるように震えていた。

へ連れてき、ぬるいシャワーで汚れを洗い流す、祖母はずっと申し訳なさそうにさくなっていた。 タンスからしい着とズボンを引っ張りし、着替えさせる。 母は、脱所の入りでおろおろとち尽くしているだけだった。 濡れたタオルを枚渡すことすら、どこか恐る恐るで、まるで得体のれない危険物に触れるかのようなつきだった。

祖母を寝の布団に寝かせ、背をさすって呼吸が落ち着くのを待った。 部ると、居では男伯父さんがスマートフォンで必に何かを検索していた。

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「……内の料老ホームだ。即入居できるところを探す。万……いや、百万か。なら俺と恵子で面すればなんとかなるだろう。施設に入れれば、プロが見てくれるんだから母さんにとってもそれが番いいはずだ」

伯父さんは、自分に言い聞かせるようにで言った。 で解決できるなら、それに越したことはない。 それが、都会で成功した男の、最のプライドであり防策だった。

「兄さん、そんな簡単に入れないよ」

叔父さんが、めた声で言った。

「特養(特別養護老ホーム)は介護3以で、崎でも百待ちだ。民料老ホームだって、入居の健康診断や元引き受けの続きで、何週もかかる。今から誰が母さんの飯を作るんだ? 誰が今夜、の元の番をするんだよ」

伯父さんの指が、画面のでピタリと止まった。

「それは……、今夜くらいはおが……」

「俺は今夜、淳子と話さなきゃならねえ」 叔父さんはきっぱりと拒絶した。

「母さんの面倒を見るために、俺は自分の女をこれ以追い詰めるわけにはいかねえんだよ。……兄さん、姉さん。今夜はのうちのどちらかが、ここに泊まってくれ」

母が息を詰まらせた。

「わ、私、はパートのシフトが入ってるのよ。それに着替えも持ってきてないし……」

「俺だっての朝番で、横浜で取引先との役員会議があるんだ!」

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互いに押し付けう声。 その見苦しいやり取りを、私はたいりとともに見つめていた。

「私が残るよ」

私の声に、斉に振り返った。

「茜……?」

「私、休暇が溜まってる。今週いっぱい、ここに残る」

「あんた、仕事はどうするのよ!」母が声を尖らせた。

「リモートでできる仕事はパソコンでやる。できない分は休みを取る。……お母さんたちがやらないなら、私がやるしかないでしょう。おばあちゃんを今夜、でこのに置いとく気?」

はぐうの音もないように線を落とした。

「その代わり」

私は円卓のの通帳と鍵を指差した。

男伯父さん、お母さん。今週に、今の具体なスケジュールと費用分担を決めて。施設を探すにしても、デイサービスを増やすにしても、の責任として、子供であるが全部決めて。淳子叔母さんには、ミリも頼らないで」

母は唇を噛み、伯父さんは無言で頷くしかなかった。

そのからのは、私ので、最も過酷で、最も々しいとなった。

に起き、祖母を起こしてトイレへ誘導する。 「ない」と言い張る祖母を宥め、便座に座らせる。 朝噌汁を作り、処方された種類の薬を粒ずつ確認してませる。 祖母は嫌がいいは「茜、ありがとうね」と微笑むが、嫌が悪くなると「あんた誰だい、私の財布をどこへやった」

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