"昭和五十一年、消えた父の声を十八年後に聞いた" 第3話
父がへ持ち帰ったのは、別の枚だった能性がい。
元局員の名簿から、当夜ミキサーを担当した榎本俊郎を探した。榎本は県内で器を営み、最初は「昔の放送事故など覚えていない」と言った。奈津美が声を聞かせると、表を変えた。録音の「読むな」と言った物は当の放送部、芳雄だと認めたが、自分は副調におり、そのの来事を見ていないという。
「お父さんは葉を持ってた。さんも追った。私は曲を流せと言われたが、針を落とすに話が鳴った。送信所から無音だと鳴られて、交通報のテープを入れた」
局の裏をたがどこへったか、榎本はらない。ただ、孝は自転ではなく、局の継へ乗った。を運転したのはではない。集落から番組へ葉を運んでいた臨職員、歳の坂巻澄子だったという。警察記録に彼女の名はなかった。
奈津美が坂巻の所を尋ねると、榎本は帳の奥から黄ばんだ写真をした。放送局の局記で、父と若い職員たちが並んでいる。端につ澄子の顔だけ、鋭い刃物で切り取られていた。写真の裏には父の字で《千代の娘》とかれていた。
父の料袋には分がつかずで残っていた。子はそれを警察へ見せたが、百万円があれば料を置いていくこともあると言われた。
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、奈津美が袋をくと、細の裏に父の字で《奈津美・林学、隆・靴》と支予定がかれていた。を持って逃げるらしくない、とで主張することはできない。それでも父がその週末までの計を考えていた事実として、族の資料に加えた。
県の修理記録を調べる過程で、奈津美は継所がのたび止まり、技師がをったことをった。現修理という名目が完全に架空に見えても、常な故障があったため局員は疑わなかったのだ。はしない施設を作ったのではなく、本当に修理のある所へ偽の支を混ぜた。帳簿の嘘は、誰もらない話より、皆が半分っている話のへ置かれていた。
昭の百万円は、文具の族が何も暮らせるほどの額ではないにしても、方局の々の資にはかった。毛ラジオでは広告主から現で集し、料も封筒で渡すことが残っていた。経理の庫をける鍵は局と吉井が持ち、印鑑箱は昼、机の引きしに置かれていた。が父の印を使えたことは、特別な技術ではなく、職の緩い管理を利用したものだった。
吉井はを数えたとき、帯封の番号を納簿の裏へいたという。正式な会計順ではなく、以万円して責められたためを守る癖になっていた。
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古い簿冊の背表をすと、その数字が残っていた。数週、が局へ戻した万円の幣番号と部が致する。百万円を父が全部持ちったのなら、が同じ束の札を戻せる理由はない。
奈津美はこの発見をすぐ局へらせず、吉井の陳述と緒に警察へ提した。沢が閉局資料を仕分けるで、正を疑う帳簿だけ抜き取っているという職員の話もあったからだ。資料館は寄贈契約に基づき、箱ごとの搬番号を付けた。父の潔を証するために、局のすべてを敵と見なすのではなく、残す仕事へ協力する現職員も守る必があった。
父の失踪と同になくなった百万円は、局の運転資とされていた。奈津美が閉局資料の帳簿を確認すると、現納簿では午、《継所修理費・相沢替》として百万円が支されている。受領印は父の印鑑だが、孝の与記録では印鑑を経理へ預ける習慣があった。集や交通費の受領へ毎回押すためだった。印があるだけで本がを受け取ったとは言えない。
修理先とされた継所は、ダム建設に伴い翌移転している。当の事会社は解散していたが、県の波管理資料には修理報告が残る。に故障はなく、の落で壊れた部品も保証修理だった。
百万円の現を持参する必はなかった。
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