"昭和五十一年、消えた父の声を十八年後に聞いた" 第6話
力ずくで押し込んだ証拠ではない。父親だと名乗る内田の言葉を信じ、母へ会えるとってに残ったのだろう。奈津美は《連れられた》ではなく、《目を偽って乗させた能性》と帳へいた。
榎本の陳述を取る際、奈津美は母にも同席を求めなかった。子が顔を見れば、榎本は族への謝罪ばかり話し、放送で見た順序が曖昧になるかもしれない。塩田と弁護士がち会い、刻表と録音をつずつ照した。榎本が記憶を直した部分には訂正線を引き、最初の誤った説も消さずに残した。
内田幸は昭当歳で、県の川発課に所属していた。ダム建設の補償交渉で集落へ何度も入り、民台帳との名義を調べている。千代が娘を産んだ昭には町役の若い職員だった。静によれば、千代と結婚を約束した青こそ内田だったが、彼は司の娘との縁談を選び、千代との関係を否定した。
千代の届には、災害当に現で姿を見た証がいる。は父親、もうは役職員の内田。千代がをたとりながら、彼はの確認へ署名したことになる。未婚の母を守るためという族の説だけではりない。内田にとって、千代がきて戻れば、自分が父親であることと虚偽の証言が同にらかになる。
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奈津美は内田の現を調べた。彼は県を退職、ダム周辺の観発会社で専務を務め、数に臓病でくなっていた。妻は健だが、突然訪ねて古い関係を問いただすに、公な記録を揃える必がある。奈津美は県の発資料を閲覧し、昭の公用運簿を見つけた。内田は午から翌朝まで、《民説》のためを使用している。
説会の催記録はなかった。運転者の欄は空で、距は県庁との往復よりい。途の毛ラジオと、川沿いの旧を回ればほぼ致する距だった。奈津美は数字だけで経を断定せず、当の油所と通記録を探した。速の料票のような記録は残らない般だったが、公用の燃料伝票に午分、局くの油所名がある。
油所を営んでいた老は、県の黒いセダンを覚えていた。夜放送の局員がよく煙を買いに来るで、事件に警察からも聞かれた。ただし質問は孝が京方面へで逃げたかどうかで、県のについては尋ねられなかったという。老は部座席に若い女性がいたと話した。女性は泣いておらず、窓越しに何度も局の方を振り返っていた。
運転席の男は内田ではなく、局の放送部、だった。
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内田は助席に座っていた。は平成元にくなっている。奈津美は、テープで父に「読むな」と言った物と、公用を運転した物が同じだと確認した。は局の契約を守るため内田に協力したのか、それとも百万円と別の利害があったのか。経理のはが持ちしている。父を黙らせ、失踪させるがに分かれてした。
榎本へもう度会うと、彼は閉の器でシャッターを半分ろした。と内田が古くからりいだったこと、局が県の広報契約を失えば社員の料を払えなかったことを話した。の夕方、は榎本へ「今夜のの葉はばせ」と命じた。孝が従わなかったため、放送にスタジオへ入った。その、継を追ったのではなく、澄子をに乗せて先に局をたという。
「では、父は誰と継に乗ったんですか」
榎本はく黙った。父はで運転席に座り、局をた。澄子は既に県のに乗せられていた。榎本がに話した《澄子が継を運転した》という説は、から警察へそう言うよう命じられた内容だった。
奈津美は録音を止めず、「今度は警察にも同じことを話せますか」と尋ねた。榎本はすぐには頷かなかった。器の経営は局の仕事で支えられ、には恩もある。
それでも閉局資料に嘘を残したままを畳むのは嫌だと言い、翌、陳述を作るため奈津美と資料館へ来た。
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