みかん小説
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"「この子は俺の子じゃない」" 第18話

と言ったあと、トイレで吐いたの涙。

全部、全部、この空っぽの子宮ので腐敗していたしみのすべてを、私は夜がけるまで吐きし続けた。

誰も、抱きしめてはくれなかった。 健太も、母も、葵もいない。 暗で、私はただで、自分の終わってしまった母性を弔い続けた。

が、杏の葉を黄く染めげていた。

私は駅の古い雑居ビルにある、さな法律事務所のドアをけた。 事務員として働き始めて、が経っていた。 料は以の半分以だったが、類のファイリングと話番という単調な作業は、擦り切れた私のしずつ落ち着かせてくれていた。

昼休み、私はくの公園のベンチで、コンビニのサンドイッチをべていた。

ポケットのでスマートフォンがさく震えた。 画面を見ると、健太からのメッセージだった。

『マンションの更類が届いてたから、転送した。名義変更の続き、来週のう予定だけど、丈夫か?』

事務で、い文面。 だが、そこには以のような刺々しい空気はなかった。

私たちは、度か度、事務な連絡を取りっている。 まだ婚届はしていない。 だが、元に戻ることもないだろう。 お互いに、あのの傷跡を眺めながら、それぞれの速度で自分ので歩き直している途だった。

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なら丈夫です。よろしくお願いします』

く返信を打ち、送信ボタンを押した。

公園の砂の方から、甲い笑い声が聞こえてきた。

目を向けると、若い母親が、よちよち歩きを始めたばかりのさな男の子のを引いて歩いていた。 男の子が転びそうになると、母親が慌てて抱きげ、お尻の砂を払って笑いっている。

私の胸の奥が、ほんのしだけチクリと痛んだ。 だが、もう以のような、世界を焼き尽くすほどの黒い嫉妬は湧いてこなかった。

、母から枚の写真が送られてきていた。 実の縁側で、首がすわり、ふっくらと太ももを丸くした悠が、葵の膝ので笑っている写真だった。 葵の顔には、夜泣きでやつれたいクマがあったが、その元は穏やかに引き結ばれていた。 写真の裏には、母の几帳面な字で言だけ添えられていた。

『悠は、よく笑う子に育っています』

それだけだった。 「会いに来なさい」とも、「許した」ともかれていなかった。 だが、その写真が送られてきたこと自体が、私と族を繋ぐ、髪の毛本ほどの細い、けれど確かな糸だった。

私はベンチからがった。 コンビニのゴミを分別してゴミ箱に捨て、空を見げた。

ひとつない、の空。

が吹き抜けていく。 私の平らなお腹ののニットを、涼しいが優しく撫でて通り過ぎていく。

私はもう、嘘の腹を抱えていない。 誰のも奪わず、誰の命も騙し取らず、この空っぽの体のまま、自分の面を踏みしめてっている。

計を見る。昼休みが終わるだった。

私は呼吸をひとつして、事務所へ向かって歩きした。 濃いは、ようやくれていた。

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