"夫に捨てられた盲目の妻が隠していた秘密" 第6話
バタン! とな玄関ドアが閉ざされ、ペントハウスには、すべてを奪われ、文字通り無文となった拓也だけが取り残された。
だが、静まり返ったリビングの片隅――拓也のジャケットのポケットから、微かな子音が漏れしていた。 それは、咲がサービスエリアで拓也にしがみついた際、ポケットの奥くに滑り込ませていた、超型のワイヤレス盗聴器からの通信音だった。
そして次の瞬、誰もいないはずのペントハウスの壁に埋め込まれた百インチの巨モニターが、バチッと音をてて勝に点灯した――。
「……ひっ!?」
にいつくばっていた拓也は、突如としてリビングの壁面に広がった青いに鳴をげた。 砂嵐の画面が数秒ノイズをらせた、鮮なフルHDの映像がスピーカーからの音量とともに再され始めたのだ。
そこに映しされていたのは――でもない、拓也自の自宅リビングの景だった。
『おい、目暗! 邪魔なんだよ、どけッ!』
画面のの拓也が、杖をついておずおずと廊を歩く咲の元へ向かって、乱暴に製のダイニングチェアを蹴りばしている。 激しい衝突音とともに、無防備な咲がへ激突し、擦りむいた膝から血を流す々しい映像。 画面のの拓也は、それを見て嘲笑いながら、缶ビールを喉へ流し込んでいた。
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さらに、映像は次々と切り替わる。
蔵庫の奥で腐りかけて異臭を放つ残飯を皿に盛り、 『ほらよ、特製ディナーだ。目が見えねえおには、級フレンチとゴミのの違いなんて分かんねえだろ? 謝してえよ』 と、怯える咲の元へ無理やりねじ込もうとする拓也の醜悪なアップ。
浴の脱所で、咲が探りでを探している隙に、背から湯のシャワーを元へ浴びせかけ、驚いて転倒する姿を指差して笑いする拓也の姿。
すべて、過にわたって拓也が「誰も見ていない密」でってきた、咲に対する湿で残虐な虐待の決定瞬だった。
「な……なんだこれ……!? 盗撮だ……! 誰がこんなものを……!?」
拓也は激しい吐き気を催しながら、ずさりした。 映像のは、すべてタイムスタンプとして画面のに刻印されている。 これが警察や検察、あるいはマスコミに渡れば、傷害罪、保護責任者遺棄罪、ドメスティック・バイオレンス防止法違反――言い逃れの余などミリもしない。
「クソッ! あのクソジジイか!? 親父が興信所を使って俺の部に隠しカメラを仕掛けてやがったのか!?」
拓也はを抱え、を転げ回った。 父親がきており、会社と座を握られている以、この証拠映像を使われたら発で刑務所きだ。
だが――極限のパニックの、拓也の濁った脳裏に、起回の悪魔の閃きがった。
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「……待てよ。まだだ……まだ俺には、あの切り札がある!」
拓也は青ざめた顔に、再び醜悪な嘲笑を無理やり張り付かせた。 震えるでに落ちていたスマートフォンを拾いげ、先ほど切断された吉夫の番号へと、狂ったように発信ボタンを押した。
コール音が回。 カチャリと受話器ががった。
『……何の用だ、拓也』 話にたのは、え切った父親の声。
「へへ……へへへっ! 親父、さぞかし俺を追い詰めた気になってしきってるだろうがな、そうはいかないぜ!」 拓也はちがり、胸を張って声で喚きてた。
「おらが俺の部を盗撮して脅そうとしてる証拠は分かってんだよ! だがな、俺を警察に突きしてみろ! 咲の実のあの……おの好きな嫁の両親が遺した、あの築浅の等の軒! 今、誰の名義になってるか忘れたわけじゃねえだろうな!?」
話の向こうが、ピタリと沈黙した。 その沈黙を「揺」と受け取った拓也は、狂乱して言葉を畳み掛けた。
「の、俺が『固定資産税の続きをしてやる』って言って、あの目暗女のを取って無理やり実印を押させたんだよ! あの実の所権移転登記は、完全に俺の単独名義になってるんだ! 権利も実印も、今、俺の元にある!」
拓也は自分のビジネスバッグの奥底へを突っ込み、厳に封印されていた分い茶封筒の触りを確認した。
「の朝番で、悪徳なげに束文で売りばして、を入れてっ端微に解体させてやるよ! 両親とのいのが瓦礫になる音、あの女のにしっかり聞かせてやれ! 嫌なら今すぐ座の凍結を解除して、億円を全額戻せ! 虐待の映像データも全部消しろ! さもないと、あのを跡形もなく燃やしてやるぞ!!」
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