"愛人の妊娠を信じた夫と15年前の無精子症診断書" 第20話
テーブルの央に滑りた1枚のカラー写真。
そこに映っているのは、派なを着た若い男女がを寄せってピースサインをしている姿だった。
女性の方は健が運命の相と呼んだ20歳の、鈴美。
そしてその隣で笑っている茶髪の若い男の顔を見て、最初に声を荒げたのはナナだった。
「え?達也?」
ナナは目を丸くして、い入るように写真を見つめた。
「なんで達也が、みかちゃんと緒に映ってるの?」
健もまた、怪訝そうな顔で眉をひそめている。
「ナナ。この男をっているのか?誰だ、こいつは?」
健の問いかけに、私は静かに、しかし酷な事実を告げた。
「あなたがらないのも無理はありません。この男性は、ナナが半ほどから交際している達也という恋です」
私の言葉に、リビングの空気がピリッと張り詰めた。
親族たちが戸惑ったように顔を見わせている。
私はさらに言葉をねた。
「そして彼は、鈴美と2ほどから同棲している事実の夫でもあります」
私は健を真っ直ぐに見た。
「つまりあなた達は、この若い詐欺師のカップルに見事にで騙されていたんですよ」
健の顔が真っ赤になった。
「な、なんだと!?」
健はちがり、テーブルを激しく叩いた。
「ふざけるな!美は俺をしているんだ!彼女のお腹には俺のしい命が宿っているんだぞ!」
広告
健は必で現実から目を背けようと声を張りげた。
ナナもパニックに陥ったように首を横に激しく振っている。
「嘘だ!達也は私と結婚するって言ってたもん!」
ナナは私を睨みつけた。
「ママが私を困らせるために、そんな嘘をついているんでしょう!」
私は取り乱す2の姿を、ただややかに見ろしていた。
15私を嘲笑い、政婦として搾取してきた夫と娘のれな末。
彼らは自分の欲望と見栄に目が眩み、づいてきた甘い罠に自らび込んでいったのだ。
私はクリアファイルから先に渡された分い報告を取りした。
「嘘かどうかは、この調査報告を見れば分かります。弁護士を通して興信所に依頼し、彼らの素を全て調べげました」
私は報告をテーブルに広げた。
「達也と美は、づるになりそうな裕福な庭の娘に狙いを定めていたんです。そしてナナにづきブランド品を買わせることで、背にいる財布の持ち主であるあなたに辿り着いた」
私の言葉は、静かなリビングにたい刃のように響き渡った。
私は健を指差した。
「彼らは最初から、あなたから額の慰謝料と財産を巻きげるつもりでした。美が妊娠しているというのも、おそらくその計画の部でしょう」
健は唾をばしながら言い返した。
広告
「嘘だ!俺はエコー写真も見たんだ!あれは絶対に俺と美の子供なんだよ!」
健はなおも自分のプライドにしがみつこうとした。
私はさくため息をついた。
トートバッグの奥から、あの古びた茶い封筒を取りした。
12彼が斎の机の奥底に隠し続けていた、最の秘密である。
「あなたがそう言うとって、これを持ってきました」
私は封筒を健のに突きした。
「12、私とあなたが妊治療専のクリニックで受けた検査結果の報告です」
私がその封筒をテーブルに置いた瞬、健の顔から瞬にして全ての血の気が引いた。
先ほどまでのりに満ちた表は完全に消えった。
恐怖でをパクパクと閉させている。
彼は震えるを伸ばし、その封筒をひったくろうとした。
しかしそれよりく、隣に座っていた義姉の恵子が封筒をに取った。
「ちょっと健、何なのこれ。そんなに慌てて」
恵子は封筒から1枚の用を引きした。
そこに印字された文字を読みげた。
「精液検査報告。総所見……絶対無精子症……?」
恵子は目を黒させ、信じられないという顔で健を見た。
「健、あんた……子供が作れない体だったの?」
その言葉に、義母の子がい鳴をげた。
親族たちのに、先ほどとは比べ物にならないほどのくたい衝撃がった。
健は半狂乱になって類を奪い返そうとした。
「返せ!それは俺のものだ!見るな!」
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
五十万円の便利妻
義父の四十九日を終えた日曜の朝、商社の係長へ昇進した夫から緑の離婚届を突きつけられた。「腰を壊したお前は出世の邪魔。手切れ金50万で出て行け」。4年間、排泄の世話まで一人で背負い続けた私を、夫は「無償の介護要員」として切り捨てたのだ。愛人とタワマンへ移る気満々の夫。だが、冷え切った私の手元には、四年間の一切を記した【介護日誌】と、義母から託された反撃の鍵が握られていた。因果応報|裡切られた|介護|金銭問題|不倫1.7万字5 14 -
完結第10話
四十二歳の妊婦を捨てた機長と二十年後の息子
42歳でようやく授かった命を告げた日、15年間連れ添った夫・翔は喜ぶどころか、「今更妊娠?」と冷たく言い放った。さらに彼が選んでいたのは、私より15歳若い後輩CA・結衣。探偵の調査でホテルへ入る決定的な証拠を掴んだ私に、翔は「若い女の方がいい」「勝手に産むなら自分で育てろ」と離婚届を突きつけ、養育費すら拒んだ。不妊治療の苦しみも、夫婦で重ねた15年も、彼には何の価値もなかったのだ。傷つきながらも、私はお腹の子を守るため離婚を受け入れ、母として一人で生き抜くことを決意する。それから20年――空港で再会した翔の前に、パイロットの制服をまとった一人の青年が現れる。かつて捨てた命がどんな未来を掴んだのか知った瞬間、翔の顔から余裕が消えていく――。不倫1.5万字5 55