"愛人の妊娠を信じた夫と15年前の無精子症診断書" 第30話
午3、パートの仕事が終わる頃、にはしだけがい始めていた。
初だ。
私はの裏をて、静かにりてくるいをのひらで受け止めた。
たいは私ののぬくもりで瞬にして溶け、透な滴へと変わっていく。
それはまるで、私ののにこびりついていた過のしみや憎しみが、静かに浄化されていくような覚だった。
歩の階段を登り、私はきく呼吸をした。
たい空気が肺の奥まで入り込み、私の細胞のつつをしくまれ変わらせていく。
空を見げる。
いのの切れから、筋の柔らかな夕が差し込んできた。
そのはまるでこれからの私のを優しく祝福してくれているかのように、温かく、そして力かった。
私はもう振り返らない。
奪われた15を嘆くのではなく、これから訪れる30、40のしい未来を、自分のためだけにきていくのだ。
ポケットのでスマートフォンがく震えた。
画面を見ると、しい職の同僚たちから、今週末の忘会の誘いのメッセージが届いていた。
私は自然とこぼれる笑みを抑えきれないまま、指をかして返信を打った。
『はい。んで参加させていただきます。楽しみにしていますね』
メッセージを送信し、私は再び歩きした。
取りは驚くほど軽く、私のにはどこまでも広く自由なが続いている。
広告
おすすめ作品
-
完結第11話
五十万円の便利妻
義父の四十九日を終えた日曜の朝、商社の係長へ昇進した夫から緑の離婚届を突きつけられた。「腰を壊したお前は出世の邪魔。手切れ金50万で出て行け」。4年間、排泄の世話まで一人で背負い続けた私を、夫は「無償の介護要員」として切り捨てたのだ。愛人とタワマンへ移る気満々の夫。だが、冷え切った私の手元には、四年間の一切を記した【介護日誌】と、義母から託された反撃の鍵が握られていた。因果応報|裡切られた|介護|金銭問題|不倫1.7万字5 14 -
完結第10話
四十二歳の妊婦を捨てた機長と二十年後の息子
42歳でようやく授かった命を告げた日、15年間連れ添った夫・翔は喜ぶどころか、「今更妊娠?」と冷たく言い放った。さらに彼が選んでいたのは、私より15歳若い後輩CA・結衣。探偵の調査でホテルへ入る決定的な証拠を掴んだ私に、翔は「若い女の方がいい」「勝手に産むなら自分で育てろ」と離婚届を突きつけ、養育費すら拒んだ。不妊治療の苦しみも、夫婦で重ねた15年も、彼には何の価値もなかったのだ。傷つきながらも、私はお腹の子を守るため離婚を受け入れ、母として一人で生き抜くことを決意する。それから20年――空港で再会した翔の前に、パイロットの制服をまとった一人の青年が現れる。かつて捨てた命がどんな未来を掴んだのか知った瞬間、翔の顔から余裕が消えていく――。不倫1.5万字5 55