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"教室の最後列に座る元教員" 第16話

真の教育者だったのは、私ではない。

卒で、にまみれ、油に汚れながら、息子の犯した罪から目を背けずに抱きしめた、あの父親のほうだった。

私は暗い指導に崩れ落ち、濡れたスラックスを握りしめながら、声もせずに泣き続けた。

夜のは容赦なくり注ぎ、私がかけて築きげてきた偽りの誇りを、跡形もなく押し流していった。

のあのの夜から、私は自宅の奥ので、まるで世からを隠すようにしてを迎えていた。

の壁に並んでいた表彰状や謝状は、すべてして押し入れの底に仕い込んだ。

額縁がされたあとのい壁には、角い焼けの跡だけが、くっきりと残っていた。、私が「非の打ち所のない教師」としてきてきたとい込んでいた証拠は、ただの汚れた壁のシミに過ぎなかったのだと、その空を見るたびに突きつけられた。

寒波が押し寄せたの半ば、松教諭から度だけ、携帯話にい連絡があった。

君の処分が決まったという報告だった。

集会での公表は見送られ、無期の庭謹慎と特別指導、そしてまでの学処分。警察への被害届は、盗まれた現が全額そので返還されたこと、そして備品の弁護と損害賠償について健さんが全額を括で弁償する誓約を提したことで、鑑別所への送致は免れ、庭裁判所の保護観察処分にとどまったという。

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「……健さんが、翌朝番にに来られたんです」

の松教諭の声は、どこか茫然としていた。

「作業着のまま、割れた顕微鏡台の定価を調べげて、現で百万円を机のに置かれました。どこから面したのかは分かりません。おそらく、勤め先の料の借りか、借をしてかき集めたのだといます。……そして、悠君を連れて、割れた理科準備の窓ガラスの清掃と、の補修作業を、親子だけでやらせてくれと頼み込まれました」

受話器を握る私の指先が、痛いほどくなった。

「学側は最初、業者に頼むからと断ったのですが……健さんはに両をついてげ続けました。『息子に、自分が壊したもののさをで覚えさせたい。親の俺も緒に汗を流さなきゃ、あいつは度とがれない』と。……柴田先。私、教員になってになりますが、あんなの背を見たのは、初めてでした」

通話が終わったあと、私は受話器を置いたまま、え切った畳のに座り込んでいた。

万円。

卒で、にまみれ、油にまみれてトラックのに潜り続けてきた男にとって、それがどれほどの血と汗の結晶であるか。

君は、息子の罪から逃げなかった。

「あいつは悪くない」「学の偏見だ」などというっぽい逃げを息子のに差しすこともせず、その過ちのすべてを己の肉体とで引き受け、息子とともにをかぶるを選んだのだ。

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それに比べて、私はどうだったのか。

のあの、私は自分の昇任と教師としての体面を守るために、健君に「頃のいが悪かった」と言い放って切り捨てた。

そして、今度は「あのの過ちを正す派な教育者」という自己満の仮面を被るために、罪を犯した悠君を無理やり「無実の犠牲者」に仕げようとした。

君の言った通りだった。

私は悠君を見てなどいなかった。健君の苦闘も見ていなかった。

私はただ、自分のの終わりに「私は違っていなかった」「私は徒を救った」という免罪符が欲しくて、あの親子の現実をで踏み荒らしていただけだったのだ。

け、旬。

で最も寒さが厳しくなる寒のの朝、私はのウールコートを着てた。

今度は、菓子袋も、産も持たなかった。

ただ、自分の老いたで、もう度あの所へかなければならなかった。許しを請うためではない。健君に「もう来ないでくれ」と罵倒されるためであり、私自の傲な目を、今度こそ現実のに晒すためだった。

沿いのバスりると、の乾いたが容赦なく吹きつけてきた。

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