みかん小説
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"完璧な夫に給料を突き返した朝" 第2話

私が着ているカーディガンも、もう何に買ったかせない。袖のゴムは伸びきって、だらしなく首に溜まっていた。

「志保」 「何?」 「亮介さんが、お料を全額私に渡してくれるから……だから私、円もおがないの」

志保がぽかんとけた。 まるで、国語を急に聞かされたかのような顔をしている。

「……は? 何言ってんの? 全額もらってるなら、番おがあるはずじゃん」 「違うのよ」

息を吸い込むと、肺の奥がひりひりと痛んだ。 この、誰にも言えなかった言葉。 実の親にも、「贅沢な悩みだ」「旦さんに謝しなさい」と蹴されるのが怖くて、ずっと喉の奥に押し込んできたのような本音。

「亮介さんはね、『全部渡した』っていう事実だけを作って、あとは全部、私に丸投げしてるの」

志保はまだ理解できないようで、眉をひそめたまま私を見つめている。

「全額渡すから、のローンも、の維持費も、健太の教育費も、義実への仕送りも、親戚の冠婚葬祭も、亮介さん自み代も、全部そのから『おのやりくりでせ』って言うのよ」 「えっ……でも、取り万あるんでしょ? それだけあれば、普通に暮らせるんじゃ……」 「普通の内訳ならね。でも、うちは違うの」

私は指を折って、毎私のをすり減らしている数字を並べた。

「まず、に亮介さんが『男のだ』って言って郊に買ったマンションのローンが千円。

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亮介さんが通勤と見栄のために買ったミニバンのローンが万円。ガソリン代と駐代、保険で千円。健太の塾代と学用品、学の引き落としで毎千円。……ここまでは、まだいいの。子どものいる庭なら、どこも似たようなものだから」

志保が唾をみ込む。

「問題は、その先。亮介さん、お義母さんに毎万円の仕送りを『親孝』として勝に約束してきたの。それに加えて、亮介さんのクレジットカードの請求。毎のゴルフ、同僚とのみ代、輩へのおごり、ちょっとしたブランド物の物……平均して万から万。先なんて、しいドライバーを買ったとかで万だった」 「……ちょっと待って。それ、したら……」 「そう。固定費と亮介さんの費だけで、万なんてとっくに超えてるのよ」

喫茶の静かな内に、私のえ切った声だけが落ちていく。

「そこに、分の費と、費と、用品代と、通信費がかかる。どんなに切り詰めても、毎でも万から万の赤字がるの。それが、ここ何もずっと続いてる」 「え……じゃあ、今までどうやって払ってたの……?」 「私の、独代の貯

志保の息が止まった。

「結婚する、私が事務職をやって必に貯めた万円。……今、最万円が底をついたわ」

テーブルのの茶封筒が、異様に々しく見えた。

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「亮介さんは、自分がいくら使っているかもらない。ろうともしない。だって、通帳を見てないから。万円を私の座に入れた瞬、彼のでは『今族を養う義務を完璧に果たした聖』になってるの。同僚にも、親戚にも、お義母さんにも、胸を張って『うちは料を全部妻に渡してるから、財布の紐はあいつが握ってるんですよ』って言えるのよ」

私の声が、しずつ震えを帯びていく。 りなのか、けなさなのか、自分でもわからない。

「お義母さんが『しい掃除が欲しい』って言えば、亮介さんは『朋美に言っておくよ!』って良い顔をする。親戚の甥っ子の入学祝いも、『朋美、奮発してやってくれよな』って笑って言う。会社のみ会で『今はおのおごりだな』って煽られれば、『うちは嫁が厳しいからな〜』って笑いながら、私のカードで全額切るの」

志保の顔から、血の気が引いていくのがわかった。

「……亮介さんは、度も『おがないから諦める』っていう惨めな役をやったことがないのよ」 「お姉ちゃん……」 「全部、私の役目。『今は厳しいから無理です』ってお義母さんに言って、『ケチな嫁』ってを叩かれるのも私。健太に『今は参考冊だけにして』ってげるのも私。亮介さんがで気持ちよくバラまいた約束を、最に全部断って、みんなからい目で見られるのは……全部、私なの」

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