"完璧な夫に給料を突き返した朝" 第11話
目のにあるのは、純然たる算数の問題だった。 どれだけ言葉を取り繕おうと、引き算の答えがマイナスである事実は変わらない。
「どうするかも含めて、あなたが決めるのよ」
私は淡々と答えた。
「あなたの料座には、今、万円丸々入っているわ。には宅ローンとのローン、それにあなたのカード代が落ちる。それを優先するのか、それとも別の支払いに回すのか。残りのでどうやって末まで暮らすのか……全部、あなたが考えて」
「そんなこと言ったって! 母さんの旅代だって、もう旅会社に今に払う約束になってるんだぞ!? 今から払わないなんて言ったら、母さん、発狂するぞ……!」 「発狂させてあげればいいじゃない」 「なっ……!」 「おがないんだから。ない袖は振れない。それを伝えるのが、の主の役目でしょう?」
私は背を向け、キッチンのかりを消した。
「今夜はもう寝るわ。夕飯の噌炒め、レンジで温めてべてね。あ、の朝からは、あなたが計簿をつけてね。レシートはそこに溜めておくから」
「待てよ、朋美! おい! 朋美!」
背から追いかけてくる痛な声を無して、私は寝に入り、内側からしっかりと鍵をかけた。 暗のでベッドに横たわると、リビングからガタガタと子を引く音や、ボソボソとを抱えて唸る亮介の声が、壁越しに微かに聞こえてきた。
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、私が毎晩、でわってきた孤独と絶望。 井の目を睨みつけながら、「どうやっておを面しよう」「どうやってお義母さんに角をてずに断ろう」と胃をキリキリ痛め続けてきた。
それを今、あの男がたった数、わっているだけだ。 同など、ミリも湧いてこなかった。
*
翌朝、リビングの空気は氷点にまでえ切っていた。
テーブルのには、昨夜の噌炒めがつかずのまま、ラップをかけられてえ固まっていた。 亮介はソファに座ったまま、充血した目でスマートフォンの画面をスクロールしていた。 ワイシャツには着替えておらず、昨夜の部着のまま。 元には、何枚も計算をきなぐった裏が丸めて捨てられていた。
「……おはよう」
私が声をかけても、亮介はピクリとも反応しなかった。 ただ、震える指先で画面をタップし、アプリの残と、メモ帳の数字を見比べている。
私は何も言わず、朝の準備を始めた。 トーストを焼き、目玉焼きをつ作る。健太の分と、私の分だ。
「おい」
く、しわがれた声がソファからんできた。
「俺の朝飯は?」 「蔵庫に納豆と卵があるわ。パンもあるから、自分で焼いて」 「……なんでだよ。いつも作ってくれてただろ」 「費の予算をまだもらっていないからよ」
私はフライパンを洗いながら、肩越しに言った。
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「分の費と用品代、最でもに万千円は必だって、昨覧にいたはずよ。そのおを活費用の座に入れてくれない限り、私は買いしにけないわ。今ある材は、私が先のおで買ったもの。今から先、何を買って何を作ればいいのか、計の管理者が決めてくれないとけないの」
「屁理屈言うなよ!」
亮介がちがった。 だが、その元は微かにふらついていた。
「万から、ローンの万千との万千、カードの万千を引いたら、もう万千円しか残らないんだぞ!? 母さんの仕送りと旅代をしたら万だ! それだけで円も残らないんだよ! 費の万千円なんて、どこからせって言うんだ!」 「だから、昨言ったじゃない。誰を断るの? って」
私はトーストを皿に乗せ、健太の席に置いた。
「お義母さんの旅代万を断れば、費はるわよ。それとも、健太の特訓代万を払うために、お義母さんへの仕送りをゼロにする? それとも、あなたのを放して、売却益で補填する?」 「を放す……!? ふざけるな! あれを売ったら、休のゴルフや送り迎えはどうするんだよ!」 「でけばいいじゃない」 「男がミニバンも持てないなんて、惨めすぎるだろ!」
どこまでも、自分のプライド。自分の世体。 この期に及んで、まだ何つ放そうとしない。
その、寝から健太がてきた。 制にを包み、カバンを肩にかけている。
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