みかん小説
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"母を遠ざける姉の嘘" 第4話

と泣いて謝るしかなかっただろう。 今までの私なら、違いなくそうしていた。

けれど。

私のの奥には、先ほどの母の怯えた声が、鮮に残っていた。 『切って! 今すぐ切りなさい!』と鳴り散らし、受話器を無理やり奪い取った、美咲のあの乱暴な気配が。

あれは、妄に苦しむ母を宥める介護者の態度だっただろうか? あれは――自分の秘密を暴かれそうになって、パニックを起こしたの反応ではなかったか?

「お姉ちゃん」

私はたくなった自分の指を見つめながら、静かに言った。

「お母さん、話の奥で怯えてたよ。お姉ちゃんが入ってきた瞬鳴をあげてた」

「……はあ? 何言ってるのよ。私が乱暴に受話器を取ったから驚いただけよ。あんた、まさか私が虐待でもしてると疑ってるわけ?」

美咲の声に、嘲笑が混ざった。

「いい気なもんね。自分は京の綺麗なお部で、お洒落なを着て、たった万円のおを振り込むだけで『親孝してます』って顔をして。現をすするようないをしてる私の苦労もらないで、たった度の話で、私を悪者扱い?」

ズキリと、胸が痛んだ。 それは、この、私が自分自に向けて刺し続けてきた刃そのものだった。 美咲は、私がどこを突かれれば番痛がるかを、正確にっているのだ。

「悪者扱いなんてしてないよ。

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ただ――」

「もういいわ。これ以、あんたの相をしてるはないの。お母さんを落ち着かせて、眠薬をませなきゃいけないんだから。……千佳、度とお母さんに直接話しないで。これ以かき回されたら、私の精神がもたない。あんたにお母さんを殺す気がないなら、しく京にいなさい」

に通話が切られた。

元に広がる、完全な静寂。 私はスマホを握りしめたまま、しばらくの、微だにできなかった。

姉の言う通りなのだろうか? 母は本当に、認症の被害妄で、あんなことを言ったのだろうか? 私が抱いた違は、ただの「逃げた妹」の、な自己正当化に過ぎないのだろうか?

私はがり、パソコンをいた。 そして、スマートフォンのバックアップを取ってあるクラウドをき、過の美咲とのLINEの履歴を検索した。

画面に並ぶ、無数のメッセージの羅列。

『お盆だけど、幹線取れそうだから813から泊で帰ろうとうんだけど、どうかな?』 私が送ったメッセージ。それに対して、美咲からの返信。 『お母さん、最また眩暈がひどくて寝込んでるの。に入ってくるだけでストレスになるみたい。悪いけど、今回は慮して』

末。 『休繋げてめにお休み取れたよ。かきも伝うし、お正は顔見せにくね』 美咲からの返信。

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始はデイサービスも休みだから、私がずっと付きっきりなの。あんたが来ると、お母さんが無理してこうとして危険だから。京でゆっくりしてて』

。母の膝の術の。 『退院のお迎え、伝いにこうか?』 美咲からの返信。 『病院関係の続きは私が全部やったから丈夫。お母さん、術の経過が良くなくて神経衰なの。あんたの顔を見たら、余計に音吐いてリハビリがまなくなるから、来ないで』

スクロールする指が、徐々に震え始めた。

全部だ。 、私が「帰りたい」と言った数回、美咲はただの度も「帰っておいで」とは言わなかった。 理由はいつも同じ。「母の体調が悪い」「母が神経過敏になっている」「あんたが来ると刺激になる」。 まるで、判子で押したような定型文の拒絶。

そして、私はのアプリをいた。 毎、私の座から美咲の座へ振り込まれ続けた、万円、いや、分で百万を超える。 それに対する美咲からの返信も、履歴に残っていた。 『今分、確かに受け取ったわ。助かる』 『お母さんの薬代と、今壊れた湯器の修理代に回すね』

それだけだった。 そこには度も、「お母さんが千佳にお礼を言ってたよ」とか、「千佳からもらったストールをんで羽織ってたよ」という言葉はなかった。 母の写真が送られてきたことも、母からの言づてが届いたことも、この、ただの度もなかったのだ。

私は、息が止まりそうになるほどの寒気を覚えた。

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