みかん小説
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"妹のドレスを二十センチ切った" 第3話

だが、私は最初から、健さんの言葉の端々に漂う「ある違」を拭えずにいた。

『俺は気にしないよ』 その言葉は、裏を返せば『気にするのが普通だが、俺は寛だから許してあげる』という優越の裏返しではないのか。

その疑は、半、両の顔わせがわれたから、加速度をつけて現実のものとなっていった。

さんの母親――加奈子さんは、常に穏やかな笑みを絶やさない、いわゆる「品な奥様」だった。 美玖のを取り、「変だったわねぇ」「美玖さんは健にはもったいないくらいらしいお嬢さんよ」と慈しむように言った。 だが、結婚式の話が具体化するにつれ、加奈子さんからの「ご提案」という名の求が、じわじわと、しかし確実に美玖の尊厳を削り取っていった。

最初は、会の変更だった。 美玖と健さんがで見つけてきた、なガーデンウェディングができるゲストハウス。 「あそこは階段もいですし、芝はヒールが埋まって歩きにくいでしょう? 美玖さんのに負担がかかってはいけませんから」 加奈子さんの鶴の声で、格式だけはあるが窓のない、老舗ホテルの密閉された宴会に変更された。

次は、装だった。 お直しで着るはずだった、膝丈のモダンなモダンサシェドレス。 「健の会社の司の方々も勢いらっしゃいますから、お里がれるようないものはね。

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美玖さんのためにも、品格のある最級のミカドシルクのフルオーダードレスを、私どもの方でプレゼントさせていただきますわ」 そうして届いたのが、首元からの甲までを隙なく覆い、パニエを何にも仕込んだ、あのキロの甲冑のようなドレスだった。

さらに、式の婦による各テーブルへの挨拶回りは「美玖さんが疲れてしまうから」という名目でカットされた。 砂の席は、婦の元が完全に隠れるよう、まで届く特注の分いテーブルクロスで覆われることになった。 記写真のち位置に至るまで、美玖が常に健さんの半歩ろに隠れ、がカメラの角に入るよう、綿密な指示が作られていた。

母は、そのすべてを「あちらのご配慮」として盲目に受け入れた。 「ありがたいじゃないの。あんな派なおが、美玖ののことをそこまで気遣ってくださるなんて。普通なら破談にされたっておかしくないのよ?」

母は美玖に、そう言い聞かせ続けた。 美玖もまた、引きつった笑顔で「うん、健さんもお義母様も、本当に優しいの」と繰り返していた。

だが、昨夜。 式をに控えた過ぎ、私の部にやってきた美玖の様子は、どう見ても幸せな嫁のそれ猛烈にかけれていた。

美玖はめきったカモミールティーのマグカップを両で握りしめ、私のベッドの端に腰掛けていた。

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その指先は刻みに震えていた。

「お姉ちゃん……」

「何? いんだから、もう寝なさい」

「あのね……今、最終の打ちわせのあと、お義母様に呼ばれたの」

美玖は線を落とし、パジャマのズボンのから、の傷痕をく、爪がくなるほど握りしめた。

「『はね、健の昇に関わる事なお客様がたくさんいらっしゃるのよ』って。『美玖さんのことは、族として本当に切にっているけれど……余計な同や詮索をされるのは、健にとっても、あなたにとってもでしょう?』って」

「……それで?」

「『だから、式の最は絶対にがったり、裾を持ちげたりしないでね。座っているも、を引いて、布の奥に隠しておきなさい。それが、みんなのためなのよ』って……笑いながら、を撫でられたの」

美玖の目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ち、シーツを濡らした。

「私ね、嬉しかったの。健さんが私を選んでくれた、やっと普通の女の子に戻れるんだってった。でも違った。私は、健さんの寛さを引きたせるための『な妻』で……健さんの台に傷をつけちゃいけない『隠すべき欠陥品』なんだよ」

「美玖……」

「わかってるの。わかってるよ。でも、ここで私がすれば、全部うまくいくの。健さんの顔もつし、お母さんもする。たった、あのいドレスのを隠して、置物みたいに座っていれば、私は『名の若奥様』になれるんだから……」

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