みかん小説
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"妹のドレスを二十センチ切った" 第4話

美玖はそう言って、泣きながら笑ったのだ。 その壊れそうな笑顔を見た瞬、私の胸ので、何かが音をてて弾けんだ。

――ふざけるな。

なぜ、き延びた傷を恥じなければならない? なぜ、の世体のために、息を止めて隠れ続けなければならない? そしてなぜ、実の族である母までもが、その共犯者になって娘に首輪をはめているのか。

美玖が部て、が寝静まった半。 私は具箱から、き父が仕だった頃に使っていた、きくて切れの鋭い裁ち鋏を取りした。

そして今、目のにあるのは、無残に切り落とされたセンチの布と、取り返しのつかない現実だった。

「どうするのよ……どうするのよこれぇ!」

母は半狂乱になりながら、に散らばった布の端切れをかき集め、ドレスの切りに押し当てていた。 「針……針と糸を持ってこなきゃ! 裏から縫いわせれば、目には分からないかもしれないわ!」

「無駄よ」 私はややかに言い捨てた。 「そのはバイアスに裁断されてる。素が針を入れたら、糸が引きつれて余計にボロボロになるだけ。それに、何千個もの極ビーズの刺繍はどうするの? 切った瞬に糸が抜けて、に散らばったでしょう」

母はハッとを見回した。 その通りだった。繊細な絹糸で留められていたビーズやパールは、切断された箇所から解け、広範囲にわたって脱落していた。

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縫いわせたところで、そこには決定な「継ぎ接ぎの傷痕」が醜く残るだけだ。

「あんたのせいよ……! あんたが美玖のをめちゃくちゃにしたのよ!」 母が私にびかかろうとした。

「お母さん、やめて!」

を揺るがすような叫び声をげたのは、美玖だった。

母のきが止まる。 私も美玖を見た。

美玖はからがっていた。 泣き腫らして真っ赤になった目。乱れた髪。 だが、その線は、母でもドレスでもなく、真っ直ぐに私に向けられていた。

「お姉ちゃん。満した?」

その声は、驚くほどたく、かった。

「これで、私の結婚式は台無しよ。お姉ちゃんの言う通り、健さんのお母様はこれを見て激するでしょうね。健さんも失望する。式はパニックになって、親戚や会社のたちので、私は恥を晒すことになる」

「美玖、私は――」

「言わないで!」 美玖が激昂し、サイドテーブルにあったティッシュボックスを私に向かって投げつけた。 角が私の肩に当たり、に落ちる。

「私のためにやったなんて、絶対に言わないで! 反吐がる! お姉ちゃんはただ、自分が正しいって証したかっただけでしょ?! 『な妹を救ってやる正義の姉』に酔っ払ってるだけでしょ?!」

胸を、素で抉られたような衝撃があった。 言葉がなかった。

「私だって悔しかったよ! 隠せって言われて、見せるなって言われて、惨めでにそうだったよ! でもね、それが私の選んだ妥協なの! 世のには、しなきゃに入らない幸せだってあるの! あの痛くて、醜いを抱えて、それでも並みにされて、綺麗なで暮らすための代償なら、私はんで払うつもりだったの!」

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美玖は歩、私に詰め寄った。 そのパジャマの裾から、引きつれた赤の皮膚が覗いていた。

「それを……お姉ちゃんが勝に引きちぎったのよ。私の覚悟も、私の計算も、私がみ込んだ屈辱も、全部で踏みにじったの! 『選択肢をあげる』? 冗談じゃない! お姉ちゃんがやってることは、あのお義母様と同じよ! 私のから、勝に私のき方を決めてるだけじゃない!」

息ができなかった。 喉の奥がカラカラに乾き、たい汗が背を伝った。

美玖の言う通りだった。 私は、健の傲さにりを燃やしていたはずだった。 だが、その段として私が選んだのは、「妹のドレスを夜に無断で切り刻む」という、暴力な現状変更だった。

『隠すな、堂々と見せろ』 それは、私のエゴだったのではないか? 傷を晒してきる覚悟のないに、無理やりを剥ぎ取って戦に放りすような、残酷な独善だったのではないか?

「……ごめん」

その言しか、てこなかった。 私の声は、けないほど震えていた。

美玖は私から線を逸らし、え切ったリビングの計を見げた。

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