みかん小説
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"棺の中の男を、夫は知らない" 第19話

費用の支払いや法続きは、すべて信託と弁護士を通じて滞りなくわれている。 澄子から浩平の携帯話に、度ほどいメッセージが届くことがあったが、浩平がそれに返信することはなかった。 酷なようだが、それが共依という名の毒を完全に断ち切るための、唯の境界線だった。

「……兄貴」

浩平が、墓た。 仕て直したグレーのスーツを着た浩平の横顔は、あの葬儀ののやつれた面はなく、精悍で、穏やかなの男の顔になっていた。

彼は内ポケットから線の束を取りし、をつけた。 そして、煙を両で引き寄せながら、く、げた。

のあの葬儀の。 祭壇ので私が遮り、あげることができなかった本の線の歳を経て、ようやく、あるべき所で、あるべきによって向けられたのだ。

「遅くなって、ごめん」

浩平のから、掠れた声がこぼれた。

「俺……ちゃんとを向いてるよ。ゆみと緒に、俺たちので歩いてる。もう度と、誰かのせいにして逃げたりしない」

の周りを、よいがサラサラと吹き抜けていった。 の葉が擦れう音が、まるで「それでいいんだ」と笑う兄の囁きのように聞こえた。

浩平ががり、私を振り返った。 その顔には、会った頃よりもずっとくて優しい、確かな微笑みが浮かんでいた。

「帰ろうか、ゆみ」

「ええ」

浩平が私のを握った。 そのきなのひらは、温かく、力かった。 私たちは並んで歩きし、霊園の坂っていった。

漏れが、私たちのく先のるく照らしている。 もうろを振り返る必はなかった。 かつて兄が命を賭して押ししてくれたそのを、私たちは今、自分たちの志で、歩、確かに踏みしめて歩んでいた。

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