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"義母が突然、結婚指輪をくれた" 第15話

野葵になりなさい。……誰の具にもならず、誰の代わりにもならず、おきたいように、自由に笑ってきてくれ。パパは、どこにいても、ずっとおとママを守っているから――』

プツリ、と音声が切れた。

に、完全な沈黙が戻った。 聞こえるのは、私の抑えきれない嗚咽と、くを音だけだった。

「……ママ、泣かないで」

葵が私の膝にすがりつき、さな温かいで私の頬の涙を拭ってくれた。

「パパね、いつもあおいにこう言ってたよ。『ママを泣かせちゃダメだぞ』って。だから、あおい、泣かないよ」

私は葵を抱きしめ、声を押し殺して泣いた。 夫は、すべてを分かっていたのだ。 自分がんだ、義母がどうくか。神崎のが幼い娘にどんな呪いをかけようとするか。 だからこそ、彼は最の力を振り絞って、娘のさなに、この「解毒剤」を埋め込んでいたのだ。

翌朝。。 亮介の回忌の命

空はく垂れこめたに覆われ、たいの嵐を予させるが吹き荒れていた。 の桜の蕾はまだく閉ざされ、寒の戻りによる気がアスファルトをたくやしていた。

私は黒のシンプルなワンピースにを包み、葵にもきちんとした紺のカーディガンを着せた。 バッグのには、亮介がき遺したあの『氏の変更申』の原本、そして、あの茶のテディベアを入れた。

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神崎の菩提寺は、を見ろす丘のにある、を誇る名刹だった。 をくぐり、苔むした段を登っていく。 葵は私の度もさず、しっかりと自分の段を踏みしめていた。

の最奥、ひときわく盛られた敷に、神崎の歴代の墓ち並んでいた。 黒御で作られた巨な墓の正面には、あのランドセルの具と同じ『抱き茗荷』の紋がく彫り込まれている。

すでに、墓にはが集まっていた。 喪を着た親戚たち。叔母の恵子、本老格である伯父の雄、そしてその央に、漆黒の級な喪を包んだ義母・芳っていた。

私たちが砂利を踏みしめてづいていくと、親戚たちの線が斉にこちらに向けられた。 昨夜の話やメッセージの悪をそのまま煮詰めたような、酷で侮蔑線だった。

「……よくもまあ、のこのこと顔をせたものね」

叔母の恵子が、眉を吊りげて吐き捨てるように言った。

「昨の今で、どんな神経をしているのかしら。お姉さんが良かれとって用してくださったお祝いを、から投げ捨てるように突き返したんですって? 恩らずにも程があるわ」

「そうだよ、奈緒さん」

の伯父である雄が、太い眉を顰めててきた。

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神崎の族ので最も権威を振りかざす、元議会議員の老だった。

「亮介の回忌のに、親族のを乱すような真似をして、恥ずかしいとはわんのか。神崎の血を引く孫を、母親ので連れろうなど、言語断だ。んだ亮介に対して、申し訳ないという気持ちが微もないのかね!」

親戚たちが々に頷き、私を取り囲むようにいを詰めてきた。 逃げを塞ぐような、圧迫に満ちた包囲網。

そので、義母の芳は静かに線の煙を見つめていた。 昨夜の取り乱した姿はどこへやら、完璧にえられた髪と徹な表で、私を値踏みするように見ろしている。

「奈緒さん」

義母の声は、墓たい空気を切り裂くようにく響いた。

「昨のあなたの非礼は、親戚同のりを買いました。でもね、私は亮介の母親です。息子の命に、あなたを警察汰にしたり、法廷で恥をかかせたりしたいわけではありません」

義母は歩、私へとづいてきた。 そのには、昨私が突き返したはずの、あのの婚戒が入ったのジュエリーケースが握られていた。

「もう度だけ、チャンスをあげます。この指輪を受け取りなさい。そして、族の皆様ので、亮介の墓で誓いなさい。葵を神崎の跡取りとして育て、決して名を汚さないと。

……そうすれば、昨の無礼も、過の過ちも、すべてに流してあげます」

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