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"夫の毒膳と孫の告発〜元科捜研妻の科学鑑定〜" 第1話

私の名は、岩田礼子。今で歳になる。

夫の国彦、そして歳になる孫の陽太とで暮らしている。

私はかつて、学で分析化学を専攻した、民の科学捜査研究所に研究員として勤務していた。指紋の採取から微な繊維片の鑑定、微量な毒物や薬物の成分分析に至るまで、事件の背に隠された科学真実をのに晒す仕事に誇りを持っていた。しかし、国彦との結婚をに惜しまれつつも研究所を退職し、それ以来はずっと専業主婦として庭を守り、夫を支えるを選んだのだった。

今で歳になる夫の国彦は、若い頃は産会社の営業マンとして昼夜を問わずバリバリと働いていた。当たりが良く、誠実な仕事ぶりが顧客からも社内からもく評価されていたが、歳という節目を迎えた、自らの力を試したいと発起して独し、個経営の産仲介会社をちげた。

国彦はとても面倒見の良い性格で、仕事だけでなく域の自治会活や清掃ボランティアなどにも積極に汗を流していた。隣の民たちからの評判も極めて良く、毎朝笑顔で挨拶を交わす私たち夫婦の姿を見て、所の々は誰もがを揃えて「岩田さんところは理のおしどり夫婦だね」と噂していたものだった。

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そんな私たちのには、息子の唯(ただひと)がいた。

今でも唯のことをいすと、胸の奥がきりきりと締め付けられるように痛む。

唯は太陽のようにるい性格で、学の成績も優秀、運神経も抜群という、親の目から見ても自の息子だった。幼い頃から父親の背を見て育ち、「いつかは父さんの会社を継いで、もっときくするんだ」と誇らしげに語っていた。学では迷わず経済学部へと学し、産取引の基礎や経営学をに学んでいた。

学を卒業すると同に、唯は代からの同級であった結(ゆい)さんと結婚した。

結さんは控えめでらしく、いつも細やかな気配りを忘れない、唯にはもったいないほどの素らしい女性だった。唯が国彦の産会社に入社し、の営業マンになろうと必に修を積む々を、結さんは献に支え続けた。

そして結婚からが過ぎた頃、のに待望の男の子がまれた。それが孫の陽太だった。

初孫を腕に抱いた国彦の破顔した笑顔、幸せそうに微笑みう唯と結さん。

まさに、私たちの庭は幸福の絶頂にあった。この穏やかな温もりが、いつまでも続いていくものと信じて疑わなかった。

あのを迎えるまでは。

忘れもしない、の初のことだった。

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昼がり、居で陽太のためのベビーを畳んでいた私のスマートフォンが、けたたましく鳴り響いた。画面を見れば、見らぬ局番からの着信だった。胸騒ぎを覚えながら通話ボタンを押すと、受話器の向こうから緊迫した女性の声がび込んできた。

『岩田唯さんのご族でしょうか? 息子さんご夫婦が速で事故に遭われ、たった今、救急搬送されてきました。至急、病院へ来てください!』

受話器を取り落としそうになるを必で抑え、私は事務所にいた国彦に連絡を入れた。国彦もまた血相を変えてをばして戻り、で震えながら指定された総病院へと向かった。

しかし、案内された病の扉をけた先に待っていたのは、無な現実だった。

たいベッドのに並んで横たわり、顔にい布をかけられた唯と結さんの姿があったのだ。

医師からの説は、あまりにも残酷だった。

休を利用し、族で結さんの実へ帰省した帰りだったという。トンネルので発した型トラックの玉突き事故に、運悪く巻き込まれてしまったのだ。

唯は運転席でハンドルを握ったまま即状態であり、部座席に座っていた結さんは、自分の体を折り曲げてチャイルドシートの陽太を覆い隠し、盾のようにかばいながら命を落としていたという。

「……陽太は? 私たちの孫はどこですか!?」

泣き崩れる私の問いに、護師が案内してくれたのは児科のナースステーションだった。

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