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"夫の毒膳と孫の告発〜元科捜研妻の科学鑑定〜" 第3話

「国彦、あのサプリメント、すごく効いているみたい。体がなんだかとても楽になったわ」

朝の片付けをしながら報告すると、聞を読んでいた国彦は鏡の奥の目を細め、嬉しそうに破顔した。

「そうか! 効果があって本当によかったよ。陽太もまださいんだから、礼子にはまだまだ元気できしてもらわないとな」

「ありがとう。あなたのその気持ちが、何よりの薬よ」

息子ので誰よりもく傷ついているはずの夫が、こうして私の健康を第に気遣ってくれている。その優しさに、私はの底から謝していた。

それからしばらく経ったあるの夜、夕を終えてくつろいでいた、国彦が改まった表で切りしてきた。

「なあ礼子、俺、料理教に通ってみようとうんだ」

突然の宣言に、私は驚いて湯呑みを持つを止めた。

「料理教? あなたが? 急にどうしたの?」

国彦は照れくさそうにを掻きながら、穏やかな笑顔を作って見せた。

「俺が料理を作れるようになったら、礼子とでできる楽しみも増えるだろう? それに、礼子の体が辛い、事だって分担して伝ってやれる。……俺も何かしいことを始めて、唯たちのことをしでも向きに乗り越えたいんだよ」

夫の向きな気持ちを邪魔する理由など、どこにもなかった。定を過ぎて個事業を営む夫が、しい趣を見つけ、庭を支えようとしてくれているのだ。

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「とってもいいとうわ。これからは、あなたの作った美しい料理がべられるのね。楽しみにしているわ」

「ああ、任せとけ!」

国彦は頼もしげに胸を叩いた。

その翌週から、国彦は週に度、内にある気の個料理教へ定期に通うようになった。包丁を握ったことすらなかった夫だが、教に通う仲たちと会話を交わしながら、しずつ料理の腕をげていくことにいびと充実を覚えているようだった。

週末になれば、教で習ってきたばかりの季節の煮物や汁物を台所で腕によりをかけて作り、私と陽太のに誇らしげに並べてくれた。

「おじいちゃんの作ったごはん、おいしい!」

陽太がの周りをタレで汚しながら無邪気にび、私も笑顔で箸をめる。

息子のという暗いを乗り越え、私たちは再び、で温かく穏やかな毎を取り戻しつつあるように見えていた。

しかし――平穏なはくは続かなかった。

国彦が料理教に通い始めて半ほどが過ぎた頃から、私の体調は再び、目に見えて悪化の途を辿り始めたのだ。

「礼子、サプリメントはちゃんとんでるか?」

居で青ざめて横たわる私を覗き込み、国彦は配そうに眉をひそめて尋ねてきた。

「ええ……毎欠かさずんでいるわよ」

「途でやめたらもっと悪くなるかもしれないから、ちゃんと信じてみ続けるんだぞ。

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また体に良さそうなものを見つけたら、しく買ってきてやるからな」

、分析化学の現にを置いていた私は、医薬品やサプリメントを期にわたって連続用することで、体内に薬物耐性が形成され、効果がれてしまう現象があることを識としてっていた。だからこそ、に体調がぶり返しただけなのだろうと自分を納得させ、夫の言う通りにサプリメントを真面目にみ続けたのだった。

だが、さらに半が経過した頃には、私の体はかつてないほどの異常事態に陥っていた。

朝からにいがち込めたような朦朧とした覚が続き、考が全くまとまらない。ひどいには、肢の筋肉から完全に力が抜け落ち、ベッドから自力で起きがることすらできなくなった。突発な激しい吐き気と胃の痙攣に襲われ、トイレへ駆け込むことも常茶飯事となった。

らかに、以の「労」による目眩とは性質が異なっていた。

再び病院へ駆け込み、入りな検査を依頼したが、やはり内臓や脳のCT画像には目った病変は見つからず、医師たちは首をかしげるばかりだった。

そんな絶望な状況にあっても、国彦の献ぶりは周囲から見ても完璧だった。

自宅にいるはんで台所にち、掃除や洗濯などの事を積極に引き受け、寝たきりの私を甲斐甲斐しく病してくれた。

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