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"夫の毒膳と孫の告発〜元科捜研妻の科学鑑定〜" 第5話

くれぐれも無理をしていちゃ駄目だぞ。……蔵庫のに、作り置きの料理をたくさん作って入れてあるからな。今は礼子の好物の筑煮を鍋いっぱいに作っておいた。欲がなくても、ちゃんとべるんだぞ」

国彦は料理教へ真面目に通い続けた甲斐あって、今ではプロ顔負けの煮物や汁料理を作れるようになっていた。張でを空けるには、必ずこうして私の好物を何品も作り置きしてくれるのが習慣だった。

「分かってるわ。いつも本当にありがとう。気をつけてってきてね」

夫を笑顔で見送った、私は陽太を所の主婦仲に預かってもらい、静まり返ったリビングのソファーで横になっていた。

相変わらずは鉛のようにく、の芯がずきずきと痛む。異常な喉の渇きを覚え、何度もをに含んだ。

(私の体は、体どうなってしまったのだろう……)

暗澹たるいで井を見つめていると、正午を告げる柱計のオルゴールが鳴り響いた。

胃の奥は苦しく、正直なところ欲などまったく湧かなかった。しかし、しでもお腹に何かを入れなければ体力が落ちる方だとい直し、私はふらつくでキッチンへ向かった。蔵庫から国彦が作ってくれた筑煮のタッパーを取りし、皿に盛って子レンジで温める。

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ダイニングテーブルの子に浅く腰掛け、箸をに取って、じっくりとの染みた鶏肉や蓮根をゆっくりとに運んだ。

そのだった。

カチリ、と界のスイッチが切られたかのように、目のが真っ暗になった。

が逆転したかのように周囲の景が激しく回転を始め、胸の底から猛烈な吐き気がせりがってくる。

「う、あ……っ!」

元を押さえ、鳴をげながら洗面所へ駆け込もうとした瞬、私の膝から完全に力が抜け落ち、いフローリングのへと派に倒れ込んでしまった。

体を起こそうと両をにつくが、まるで鉛の塊になったかのように腕が震え、指本持ちがらない。

気が狭まり、肺に空気が入ってこない。ぜいぜいと荒い喘鳴が喉から漏れる。

(国彦に……話を……)

助けを求めようと目を凝らしたが、スマートフォンは遥かのテーブルのに置かれたままで、伸ばした指先は空を切るばかりだった。

呼吸が浅くなり、界が急速にく濁っていく。

(ああ……私、このままんでしまうんだわ……)

暗が識をみ込み、私の覚は完全に途絶えた。

……ふと、肌に触れるシーツのたさと、微かな械音で識が浮した。

い瞼を必に押しげると、そこは病院のい井だった。

点滴の針が刺さった私ののすぐ隣で、さな温もりが私の指をぎゅっと握りしめていた。

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陽太だった。

「おばあちゃん……! おばあちゃん、だいじょうぶ!?」

泣き腫らした瞳で私を見つめる孫の顔に、私は掠れた声を絞りした。

「陽太……? どうして、ここに……」

「僕ね、幼稚園から帰ってきたら、おばあちゃんがで倒れてかなくなってたの! だから……だから僕、先に教えてもらった通りに、話で救急を呼んだんだよ!」

さな肩を震わせ、しきれずにわっと声をげて泣きじゃくる陽太。

幼稚園で教わったばかりの緊急通報を、このさなで必に押し、私の命を救ってくれたのだ。

「陽太……ありがとう。配をかけて、本当にごめんなさいね……」

私は震えるで、泣きじゃくる孫のを優しく撫でた。

その、を翻して担当の内科医師が病へと入ってきた。医師のには、分いカルテと血液検査の結果表が握られていた。

「岩田さん、識が戻られましたね。……率直にお話ししますが、血液検査の結果、あなたの肝能の数値――特にガンマGTPなどが、通常ではあり得ないほどの異常な値を示しています。しかし、腹部のエコーやCT検査をっても、肝臓そのものに腫瘍や病変は見当たらないのです」

「それは……どういうことでしょうか?」

医師は眉根を寄せ、言葉を選ぶように慎に告げた。

「考えられる医学な能性としては、何らかの薬物や毒物――異物を継続に量摂取したことによる、急性の毒症状としかえません」

を疑う宣告に、私は息を呑んだ。

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