"夫の毒膳と孫の告発〜元科捜研妻の科学鑑定〜" 第9話
と好を寄せられ、は急速にい関係へと堕ちていったのだという。
やがて子は国彦に本気になり、「く奥さんと別れて結婚してほしい」と迫るようになった。
「そんな理由で……私たちを殺そうとしたの? 別れたいなら、普通に婚を切りせばよかったじゃない!」
私の正論に対し、国彦はあざ笑うように首を横に振った。
「馬鹿を言え! ができたから婚してくれなんて言ってみろ、おは違いなく巨額の慰謝料を請求してくるだろうが! それに財産分与だって発する! そんなを払ったら、俺の元に何が残るんだよ! だがな……おが病気でんでくれれば、慰謝料どころか、額の命保険が俺の懐に転がり込んでくるんだよ! そのがあれば、子とで優雅にをやり直せるはずだったんだ!」
国彦のから次々とびす勝極まりないに、私は激しい嫌悪と吐き気すら覚えた。
国彦は子と結婚したいで、私が毎んでいたサプリメントの錠剤を取りし、表面に眠薬の末をごく微量ずつ擦り込み、徐々に衰させようと企てていたのだ。しかし、の体はそう簡単には崩壊せず、何経っても私がなないことに痺れを切らした夫は、今回の張を奇貨として、作り置きの筑煮のに致量の眠薬を気にぶち込み、完全犯罪を完遂させようとしたのだという。
広告
「……陽太の遺産も、目当てだったのね」
私がたく言い放つと、国彦はぎくりとを張らせた。
「陽太がいなくなれば……唯たちが遺した財産は、法定代理である俺のものになるからな。がなきゃ、子が俺かられていっちまうんだよ!」
国彦は子の歓を買うため、ブランド物のバッグや級ジュエリーを湯のように買い与えていたという。最初は自分の会社の売から面していたが、若いに溺れて仕事を蔑ろにした結果、産仲介の事業は急速に傾き、借だけが膨れがっていった。
それでも子を放したくない国彦は、唯夫婦が陽太のために遺した額の遺産と保険に目をつけたのだ。成するまで私たちが管理することになっていた陽太名義の信託座から、国彦は私の実印を無断で持ちし、すでに数百万円ものを横領して使い込んでいたのである。
「おがもっとく素直にんでいれば、陽太のにまでをつけずに済んだんだよ!」
「狂ってるわ……。あなたは完全に正気を失っている」
国彦の惑に反して私がななかったことで、国彦は自らの老いに焦りを募らせていた。最、料理教の周辺で子の周りに若い男のがチラつき始め、焦燥に駆られた国彦は、刻もくをに入れるため、今回の凶に及んだのだという。
広告
「おさえねば、保険は全部俺のものだ。そうすりゃ、子は永に俺のものになるんだよ!」
「目を覚ましなさい! あなたは、その子という女に都よく利用され、騙されているだけなのよ!」
「うるさい! 子は唯をくした俺のの傷を埋めてくれた唯の女なんだ! 俺には子が必なんだよ!」
国彦は叫ぶと同に、ポケットのに隠し持っていた果物ナイフを気に引き抜いた。
の刃先が、内の蛍灯のを鈍く反射する。
「何をする気なの……!?」
「こうするしかないんだよ……! おをここで刺し殺して、病気を苦にして自ら命を絶ったことに偽装してやる!」
「やめて! 来ないで!」
私は叫びながらずさりしたが、背にはすぐにい壁が迫っていた。逃げはどこにもない。
国彦は目を血らせ、鬼のような形相で刃物を振りげ、私に向かって突してきた。
引く薬物の響で鉛のようにい私の体は、とっさに横へをかわすことすらできなかった。
の恐怖が脳裏をよぎり、私は固く目を閉じた。
(ここまでなの……? 陽太……!)
その瞬だった。
「警察だ! くな!!」
号とともにリビングのドアが勢いよく蹴破られ、数の制警官と私刑事が崩のように突入してきた。
「うわあっ!?」
国彦が驚愕してきを止めた刹、先の屈な警察官名が国彦の腕を掴んでねじげ、畳み掛けるようにへと組み伏せた。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
義母が突然、結婚指輪をくれた
夫が亡くなった日、義母は「もう家族じゃない」と私と娘を雨の中に追い出した。それから二年、一度の連絡もなかった義母が娘の小学校入学を控えた夕暮れ、四十年間外さなかった結婚指輪を私の指に無理やり嵌めて頭を下げた。翌日、親族が集まる祝いの席で和解を受け入れようとした私の前で、義母は冷たい笑みを浮かべ、夫が生前に娘の氏の変更書類を用意していたのではないかと問い詰めてきた。私の手の中で箸が止まった。裡切られた|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|修羅場3.5万字5 23 -
完結第25話
祖父が私に遺した最後の拒否権
亡くなった祖父の果園を三千二百万円で売却するため、東京で働く私は十年ぶりに実家へ呼び戻された。生活苦に喘ぐ父と妹の結婚資金のため、名義を持つ父は契約を急いでいたが、司法書士が出したのは「長孫である私の書面同意がなければ売却は無効」という祖父の遺言だった。早く終わらせようとペンを握った私は、ふと買い手企業がここを何にするつもりなのか尋ねた。山を削り大型トラックの夜間中継所にすると聞かされた瞬間、私は手元のペンを静かに机へと置いた。祖父母と孫|相続|親子関係|金銭問題3.7万字5 6 -
完結第19話
完璧な夫に給料を突き返した朝
毎月二十五日、夫は手取り四十五万円の給料を一円も引かずに私の口座へ振り込み、親戚の前で完璧な夫として称賛されている。だがその裏で、私は息子の塾代を払うために結婚五周年の指輪を買取店へ持ち込んでいた。固定費と夫のカード代だけで毎月赤字が続き、私の独身時代の貯金も底をついた。翌朝、いつも通り振り込まれた四十五万円の通知を見つめた私は、その全額をそのまま夫の口座へ送金し、スマートフォンの画面を伏せた。嫁姑|夫婦|金銭問題|修羅場2.9万字5 29 -
完結第18話
「この子は俺の子じゃない」
二十六時間に及ぶ難産を終え、産室を出た私を待っていたのは双方の両親の涙と祝福だった。だが壁際に立つ夫は一歩も近寄らず、「この子は俺の子じゃない」と冷たく言い放った。色めき立つ義父母から不倫を激しく追及される中、私の口から咄嗟に出たのは無実を叫ぶ声ではなく、「今日だけは言わない約束でしょ」という悲鳴だった。冷え切った目で私を見下ろす夫の手が、私のカーディガンの前立てにかかる。裡切られた|兄弟姉妹|夫婦|修羅場2.7万字5 26 -
完結第15話
五人の元彼と三万一千円
結婚式当日の朝、ホテルのフロントに差出人不明の現金書留が五通届いた。中身はすべて、三万一千四百八十円という奇妙な端数のご祝儀だった。面識のない私の歴代の元彼五人からだと気づき、私は血の気を引かせて金庫への保管を頼み込む。だが、不審に思った夫が私の手提げから抜き取ったのは、三週間前に私がその五人へ同額を送金した明細だった。親族紹介まであと十五分、夫は控え室の鍵を閉め、冷たい目で私を見下ろした。夫婦|裡の顔|金銭問題|修羅場2.2万字5 31 -
完結第24話
妻の手術翌朝、七通の解約通知
妻が胆嚢ポリープの手術で入院した日、私は仕事を優先し「自分で処理しろ」と見舞いを断った。だが翌朝、私の携帯にマンションの駐車場、クレジットカード、父のデイサービスを含む七通の解約通知が立て続けに届く。カードは店頭で弾かれ、ビルのゲート前で立ち往生した私は、妻の報復を確信して病室のドアを乱暴に開けた。点滴に繋がれた妻は、今すぐ元に戻せと詰め寄る私の目の前で、スマートフォンの画面を静かに伏せた。怒り|夫婦|介護|修羅場3.7万字5 94 -
完結第25話
義母の合鍵が入らない
結婚五年目、情緒不安定を理由に義母に家の合鍵を預けさせられた。夫は母を庇い、私に我慢を重ねるよう笑って求めた。義母の無断侵入は続き、私の大切な机まで雨のベランダへ放り出されたが、私は一度も怒鳴らなかった。一ヶ月後、いつものように合鍵で入ろうとした義母の前に現れたのは、鍵穴すら存在しない最新の電子錠だった。激怒して電話をかけてきた義母に対し、今まで母に逆らったことのなかった夫が「僕が鍵を変えた」と告げた。嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場3.8万字5 203 -
完結第18話
診察室に入れなかった私
妊娠七ヶ月、甲斐甲斐しく尽くす夫の言葉に従い、私は毎回待合室で温かい茶を飲んで待っていた。「異常なし」と笑う夫を疑ったことはない。だが夫が仕事で不在となり、初めて一人で診察室に入ると、医師は冷徹な面持ちで私を見据えた。向けられたパソコンの画面には、私が頑なに治療を拒み、夫が必死に説得したという記録が三回連続で並んでいた。その三回とも、私は一度も診察室に足を踏み入れていない。裡切られた|夫婦|裡の顔|修羅場2.8万字5 1365 -
完結第25話
一度も抱かれなかった娘
出産翌日に姿を消した妻の代わりに、私は男手一つで娘を育ててきた。「母親は抱っこも拒んで逃げた」と言い聞かせ続けて五年。カルテの保管期限が切れ、産院に呼び出された私の前に置かれたのは、妻が失踪直前に提出した母子同室申請書と一枚のガーゼだった。申請書の最下段には私の拒否印が押されており、持ち帰った鞄からこぼれ落ちた布を拾い上げた五歳の娘は、ピンクの刺繍を指でなぞりながら私を見上げた。夫婦|真相|行方不明|親子関係3.8万字5 95 -
完結第21話
十年前に死んでいた夫
病に倒れた夫を十三年間看取り、質素な火葬を終えた私は、医療記録の精算のため大久保総合病院の窓口へ向かった。だが職員から告げられたのは、データベースに夫の名はなく、提示した診察券は十年前に死亡した二十代の別人の番号だという宣告だった。半乱心で戻ったアパートを捜索するも、夫名義の保険証も免許証も通帳すら一枚も見当たらない。十三年間私の隣で息をしていた男の痕跡が、この世のどこにも存在しない現実に立ち尽くした。ミステリー|夫婦|介護|修羅場3.1万字5 2642