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"母の還暦祝いで家を奪おうとした夫" 第21話

「ゆか、はただするもんじゃない。はっきりときるものだよ」

私は頷いた。

母はさらに付け加えた。

「でもね、自分を苦い薬みたいに煎じ詰めちゃだめだよ」

彼女はいつもの調子で言った。

「べるはべ、寝るは寝る」

彼女は力く断言した。

「価値のない男のために、自分の命まで削るんじゃないよ」

あまりにもを射た言葉に、私はわず笑ってしまった。

私が笑うのを見て、母も堵したようだった。

「そうそう」

母はるく言った。

「今は私が主役なんだから。私も泣かないし、あんたも泣いちゃだめよ」

彼女は冗談めかして言った。

「化粧が崩れてブスになるから」

私は笑って返した。

「私、すっぴんよ」

母は呆れた顔をした。

「なら尚更泣いちゃだめ。ただでさえなんだから」

私は母の冗談に呆れて笑った。

階段をりていると、買い物から帰ってきた所のさんが母の着飾った姿を見て褒めてくれた。

「きよ子さん、今は段と綺麗だね」

彼女は羨ましそうに言った。

「あんな派な宴会をいてくれるなんて、本当にいいお婿さんだね」

母は微笑んだ。

「娘が親孝なだけですよ」

さんは瞬キョトンとしたが、すぐに笑った。

「どっちも同じさ。同じ」

私は母のを引きながら、歩きした。

母が私の元でさく呟くのが聞こえた。

「同じじゃないわ」

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マンションの入りには、すでに配アプリで呼んだが待っていた。

レオのではない。

、レオから回着信があったが、私は無した。

回目の着信が鳴った、母がちらりと見て言った。

「なさい」

母は窓のを見ながら言った。

「幕ががるから台を壊しちゃ、つまらないからね」

私は話にた。

レオの声は極度に緊張していた。

「どこにいるんだ?」

彼は焦ったように言った。

「会にはもうが集まってるのに、なんで話にないんだ?」

私は静に答えた。

「母に靴を試着させてたの」

彼はしを置き、声を柔らかくした。

「ゆか、今は頼むから揉め事は起こさないでくれ」

彼は懇願した。

「お義母さんの誕なんだ。みんなで楽しく過ごそう」

私は母を見た。

母はしい靴の触を確かめるようにを向いていた。

聞こえないふりをしていたが、その背筋はピンと伸びていた。

私は話の向こうに言った。

「して。今は絶対に賑やかなになるから」

レオは秒ほど沈黙した。

「どういうだ?」

私はふっと笑った。

「言葉通りのよ」

話を切り、スマートフォンをマナーモードにした。

窓のでは、がしずつ賑わいを増していた。

駅へ向かう通勤の々が赤信号でを止める。

それぞれの常がきしている。

を買うがいて、言い争いをするがいて、ケーキの箱を切そうに抱えて歩くがいる。

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私の結婚活が崩れ落ちても、世界は止まることなく回り続けている。

それが残酷にえると同に、なぜかとてもできた。

ホテルのエントランスに着くと、階段のでレオがっているのが見えた。

彼は番仕ての良いスーツを着ていた。

迎えのスタッフに笑顔を振り撒いている。

私と母を見つけると、すぐに階段を駆けりた。

母のを引こうと、を伸ばした。

母はそのを取らなかった。

笑顔で、こう言ったのだ。

「レオ君、今はご苦労様」

空に取り残された彼のは、すぐに自然な作で引っ込められた。

彼は作り笑いを浮かべた。

「いえいえ、当然のことですから」

私は横にち、彼がまたスーツの袖を直すのを見ていた。

ホテルのロビーは煌びやかなに包まれていた。

宴会が始まるから、そこにはよくる賑わいの匂いが漂っていた。

親戚たちの挨拶の声、ウェイターの音、グラスや皿がぶつかるい音。

それらが混ざりい、しずつを帯びていく鍋のようだ。

ええ、今のこの鍋は違いなく沸騰する。

私が無理やり誰かのを押し込むわけではない。

彼ら自が自らのを突っ込んでくるのだから。

ホテルの宴会は広く、円卓がつ並んでいた。

母が昔から華の賑やかな皿料理が好きだったからと、レオが選んだ会だった。

赤いテーブルクロスが華やかで、るい照はの顔のじわまで映しすほどだ。

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