"義弟嫁の「セレブ家族」に隠された十二年前の秘密" 第10話
成瀬夫妻の逮捕と志からの絶縁状送付から、週が経過した。
都内部の造アパート。畳の万ので、真澄はボサボサの髪のまま、スマートフォンの画面を貪るように見つめていた。 テーブルのには、コンビニの空き容器と、督促状の。 消費者融社からの返済求、賃滞納によるち退き通告、そして志の代理弁護士から送られてきた婚協議。
「ふざけるな……ふざけるなよ! どいつもこいつも、私を見しやがって!」
真澄は缶酎ハイを気に煽り、空き缶を壁に投げつけた。 父親の成瀬博と母親の芳は、すでに京検によって業務横領罪で起訴されていた。かつて横領した千百万円はアメリカの違法カジノと放蕩ですでに銭も残っておらず、弁護士すら国選しかつけられない状態だった。
「パパもママも役たず! 志のやつも、貧乏のくせに私を捨てるなんて……絶対に許さない!」 彼女ののには、反省の文字など欠片もしなかった。 あるのはただつ――「どうやって再びをに入れ、あの傲な兄夫婦と元夫を見返してやるか」という、歪んだ執だけだった。
真澄が縋り付いたのは、夜の会員制マッチングアプリだった。 かつてアメリカで撮った加だらけの写真をアイコンにし、プロフィールには『育ちの元令嬢/現はに都内滞/本物の紳士との会いを希望』とき連ねる。
広告
何もの男からメッセージが届く、彼女の目を引いたのは、ひときわ眩しいプロフィールを持つ男だった。
【KEIGO(32)/ドバイ・港拠点の投資ファンド代表/資産数億円/フェラーリ複数台所】
男のタイムラインには、超層ビルのペントハウスから見ろす夜景、プライベートジェットの内、級シャンパンのタワーがこれ見よがしに並べられていた。 真澄の渇ききった脳髄に、ドロリとした歓がった。
「これよ……! これこそが、私のステージにふさわしい本物の男よ!」
即座にメッセージを送り、の夜、本の級ホテルのラウンジで会う約束を取り付けた。 真澄は持ちのクレジットカードのキャッシング枠を限界まで使い、派なブランドもののワンピースを買い、美容院で髪をセットして待ちわせ所へと向かった。
ラウンジの奥のVIPシートに座っていたのは、仕ての良いイタリア製スーツを着こなした、焼けした端正な顔ちの男だった。 「初めまして、真澄さん。KEIGOです」 男の柔らかな笑顔と、首にる数千万円クラスのパテック・フィリップの計。 真澄は瞬で毒気を抜かれ、甘ったるい声で擦り寄った。
「KEIGOさん、お会いできて栄です! 私、アメリカ育ちだから、本のスケールのさい男たちには本当にうんざりしていて……」
広告
「分かりますよ。真澄さんのような洗練された女性には、京の空気は窮屈でしょう」
KEIGOは巧みな話術で真澄を褒めちぎり、ドン・ペリニヨンを惜しげもなく注文した。 級なアルコールに酔いしれ、自分が再び「選ばれたセレブ」になったと錯覚する真澄。 しかし、会話がを過ぎた頃、男のから甘美な「ビジネスの誘い」が滑り込んできた。
「実はね、真澄さん。今、ドバイの王族関係者だけが参加できる、極秘の暗号資産アービトラージの枠がつだけ空いているんだ」 「暗号資産……?」
KEIGOはスマートフォンの画面を差しした。 そこには、次で数百万単位の利益が自で加算されていく、信じがたい管理画面が映しされていた。
「最投資額は千万円からなんだけど……真澄さんになら、僕の個枠を特別に半分譲ってもいい。百万円を預けてくれれば、ヶには倍の千百万円になって戻ってくるよ」
千百万円。 その言葉を聞いた瞬、真澄の理性のタガは完全にれった。
「ご、百万円……! でも、私、今ちょうど元の資産を別の規模な事業に回していて……」 見栄を張ってごもる真澄に対し、KEIGOは優雅に微笑み、優しくそのを握りしめた。
「丈夫ですよ。真澄さんの信用力なら、僕の提携している民のフィナンシャルデスクを通せば、無担保で即百万円の特別融資枠がりますから。
広告
おすすめ作品
-
完結第26話
特上寿司と、消えた妻の半年
3月31日22時、激務を終えて帰宅した私の席にあったのは、冷え切った白米一杯だけだった。目の前で1万8900円の特上寿司を頬張る夫と義母は、「反省したらおかずをあげる」と大笑いする。家計の大半を私が支えているにもかかわらず、9ヶ月間も「罰」として食事を奪われ、夫は横で嘲笑っていた。だが二人は知らない。私が半年かけて集めた出前明細の履歴と、義母が隠し持っていた一枚の申告書の存在を。「じゃあ、外で食べてきます」――二度と振り返らずにドアを閉めた夜、経理の私が仕掛けた冷徹な清算が幕を開ける。嫁姑|夫婦4.0万字5 418 -
完結第34話
妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真
妻・美保の葬儀が終わった夜、修二の結婚指輪を外したのは、亡き妻の母・麗子だった。「もう美保に隠す必要はないでしょう」と唇を寄せたその瞬間、娘・咲から1枚の写真が届く。そこには半年前の病院で抱き合う修二と麗子、そしてガラス越しに2人を見つめる病衣姿の美保が写っていた。 闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、修二はいつしか自分の弱さを理解してくれる義母へ逃げ込み、越えてはならない境界を越えていた。しかも麗子は「美保も知っていた」「私がいなくなったら修二さんを1人にしないでと頼まれた」と主張し、その証拠となる録音まであるという。 だが翌朝、咲が告げたのは「お母さんの声を最後まで聞いて」という一言。 亡き妻が本当に残した言葉を前に、2人が都合よく信じてきた“許し”が崩れ始める――。夫婦|修羅場5.1万字5 609 -
完結第16話
四十九日の追放、母の隠し遺言
「十年世話しただけの妹に、実家の取り分はないわ」 母の四十九日、喪服の兄夫婦は親族の前で澄子を指差し、台所の冷えた板の間へ追いやった。信金を辞め10年間、720万円の私財を投じて母を看取った澄子に、兄は「今週中に出て行け」と冷酷に通告する。 母のキャッシュカードは7年前から兄が独占し、消えた年金は1240万円。 家財すべてが二束三文で業者に売り払われようとする中、母が50年愛用した古い足踏みミシンの奥底から、厳重に隠された「ある物」が滑り落ちた。 「その言葉、そっくりそのままお返しします」 あの日からちょうど49日後、審判の幕が上がる――。兄弟姉妹|修羅場2.3万字5 432 -
完結第27話
妻を追い出した翌朝、7枚のブラックカードが止まった
結婚3年目の夜、美桜が帰宅すると、夫・達也は若い愛人と義両親を囲み、離婚届を突きつけてきた。「無能で地味な女」「1円も稼げない寄生虫」と嘲られ、慰謝料もなく豪邸から追い出される。 だが4人は知らなかった。美桜の正体は、世界経済を動かす巨大グループの総帥。倒産寸前だった達也の会社を救い、資金も仕事も与え、彼を“天才社長”に見せていたのは全て美桜だった。 さらに豪邸も別荘も、7枚のブラックカードも、達也自身の資産ではなく美桜の法人名義。 離婚届が受理された瞬間、美桜は静かに全カードを停止し、豪邸の退去手続きと会社への特別監査を開始する。 勝ち誇っていた一家がまだ知らない、本当の“無一文”への転落が始まろうとしていた――。修羅場|熟年離婚4.0万字5 285 -
完結第22話
夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉
深夜2時、救急外来で夜勤中の看護師・佐藤み咲のもとへ、交通事故で重傷を負った男女2人が搬送されてきた。シーツの下にいたのは、夫・拓也と義姉・麗子。しかも2人は、決して「姉弟愛」では説明できない姿で倒れていた。 み咲は5年間、看護師という仕事を見下す夫と、「子供も産めない」と侮辱する麗子、その2人を庇い続ける義母・里子に耐えてきた。 それでも彼女は感情を捨て、看護師として2人の命を救うことを選ぶ。 だが、惨状を目にした義母まで「全部あなたのせい」とみ咲を罵倒した瞬間、最後の迷いは消えた。 何年も残してきた暴言の記録と証拠を武器に、奪われ続けた人生を取り戻す反撃が静かに始まる――。夫婦|修羅場|不倫3.3万字5 2748 -
完結第11話
貧乏老人を嘲笑った行員の末路
「あんな貧乏臭い爺い、適当にあしらっとけばいいのに」ボストンバッグを抱えた老人に、新入行員は嘲笑の声を浴びせ、エリート課長代理は別の窓口へ強制的に追い返した。母親の入院費のため百万を引き出しに来ただけの、よれよれのジャケットを着た年寄り――。だが、彼こそが全日本経済の裏を牛耳るクオンホールディングスの会長・久音次郎その人だった。侮辱に耐えかねた新人の篠崎水希が一人で抗議する中、老人が静かに古びたバッグの金具を閉じた瞬間、端末の画面で一千万円、一億円と出金通知の数字が狂ったように跳ね上がり始めた。絶望の淵に立たされた傲慢な行員たちの運命を決定づける、驚愕の審判の行方は――。職場逆転|修羅場1.6万字5 1861 -
完結第19話
深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児
心臓の不整脈で消防士を辞め、故郷の民宿「緑海荘」へ戻った27歳の相馬蒼太。 ある深夜2時、隣家から突然途切れた赤ん坊の泣き声に異変を感じて駆けつけると、物置のような暗い部屋で、全身に青あざを負った4歳のひなが、痩せた妹メイを必死に抱いていた。 「泣いたらまた叩かれるんですか?」――その一言に、蒼太は2人を必ず守ると決意する。民宿へ連れ帰り、常連客の旅行ライター・りんや両親と共に食事と温かな寝床を与え、児童相談所へ連絡。 しかし保護の朝、ひなは「お兄ちゃんと離れたくない」と蒼太の服を握りしめる。初めて見る海の前で、ようやく声を上げて泣いた少女を前に、蒼太とりんは“助ける”だけでは終われない未来を選び始める――。親子関係|修羅場2.8万字5 251