"廃屋を買った兄妹と、床下に眠る父の秘密" 第3話
コン、コン、コン。
空は目を覚ました。
隣では陽斗が眠っている。
かとった。
しして、
コン、コン、コン。
また回。
台所の方向だった。
空は携帯話のライトをつけ、廊へた。
からので古いはあちこち鳴る。
だがこの音は違った。
定の隔。
回。
止まる。
また回。
台所へづくと、音は途切れた。
の濃い板のへを置く。
たい。
をづけた。
何も聞こえない。
「ネズミかな」
自分へ言い聞かせ、部へ戻った。
翌晩も同じだった。
午零分。
回。
。
回。
目には空は計と回数を記録した。
音は波がく打ち寄せているには鳴らない。
波が引いて静かになった数秒を選ぶように聞こえる。
偶然とはえなかった。
昼、空は板を詳しく調べた。
枚だけしい釘で固定されている。
端にはい傷。
度剥がしたことがある。
だが釘抜きも具もない。
それより気になったのは、台所の流し台の奥だった。
壁との境目に、細い黒い線がある。
指を差し込むと、さな属片に触れた。
引っ張る。
錆びた名札だった。
《浜ロジスティクス 施設管理部》
空のが止まった。
父が働いていた会社。
制の胸にも同じ会社名が刺繍されていた。
なぜこの廃からてくるのか。
その夜、空は初めて父の茶い封筒をいた。
には通帳でも遺言でもなく、数字ばかりかれたが枚入っていた。
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会社名。
付。
桁から桁の額。
名の略称。
さらに裏には、父の字でいメモがある。
《瀬さんに渡す。もし連絡が取れなければ、鍵は潮見の》
潮見。
今、自分たちがんでいる区。
空は箱から真鍮の鍵を取りした。
偶然ではない。
父はこのをっていた。
しかも鍵まで持っていた。
翌朝、千代へ聞いた。
「この、昔、浜ロジスティクスが使っていたことありますか」
千代の顔が変わった。
「どこでその名を」
「のから名札がました」
千代はのを度確認し、引き戸を閉めた。
「昔ね、このを会社のが借りてた期がある」
「誰ですか」
「偉いじゃないよ。類を保管する所だとか言ってた」
「いつ頃?」
「もうくかね」
千代はそこまで言って黙った。
空は続きを待った。
「の夜の事も、その会社のが来てた」
「どうして今まで言わなかったんですか」
「関わりたくなかったからだよ」
千代ははっきり言った。
「その事のあと、、この辺の男が方になった」
「誰が?」
「会社の経理にいただって聞いた」
その夜。
空は音が鳴るから台所に座っていた。
午分。
コン、コン、コン。
空は板を見つめた。
い切って、自分も拳で回叩いた。
コン、コン、コン。
秒。
何もない。
やっぱり気のせいか。
そうった瞬。
から、
コン。
コン。
今度は回だけ返ってきた。
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空の全から血の気が引いた。
これは鳴りではない。
何かが、こちらの音を聞いて答えた。
翌朝、空はへ休みの連絡を入れた。
陽斗を千代のへ預け、「のを修理する」とだけ説する。千代は空の顔をじっと見たが、何も聞かず陽斗へジュースを渡した。
空はホームセンターでい釘抜きと槌を買った。
残は万千円になった。
台所へ戻り、の濃い板の釘を本ずつ抜く。
枚目を持ちげた瞬。
から湿った気が吹きがった。
製のさなハッチが現れた。
そこには錆びた京錠がついている。
空は父の真鍮の鍵を差し込んだ。
度目は回らない。
錆を落とし、もう度押し込む。
カチッ。
乾いた音とともに、鍵が回った。
空はけなくなった。
父の鍵だ。
違いなく、こののへ続く鍵だった。
ハッチをく。
にはが通れるほどの梯子があり、暗い空が続いている。
「誰かいますか」
返事はない。
ライトを向ける。
古い類箱。
空の筒。
毛布。
そして奥に、のが見えた。
空は息を呑んだ。
「丈夫ですか!」
男だった。
代くらい。
髭が伸び、頬がこけている。
首には包帯代わりの布が巻かれていた。
んでいるのかとった。
だがライトが顔へ当たると、瞼がいた。
「……誰だ」
「このを買った者です」
男の目がきくいた。
「買った?」
「はい」
「今、何だ」
空は戸惑った。
「令です」
男は苦しそうに息を吐いた。
「か……」
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