"廃屋を買った兄妹と、床下に眠る父の秘密" 第10話
パスポートは残っている。
だけが港で見つかった。
「逃げた?」
空が聞くと、倉田は首を振った。
「まだ分からない」
数。
潮見のに、通の封筒が届いた。
差なし。
には父の族写真。
盗まれた箱に入っていたものだった。
写真の裏に赤いペンで。
《残りも返してほしければ、で来い》
所は、
港湾倉庫B-4。
以の空なら、でったかもしれない。
父の写真を取り戻したい。
箱を返してほしい。
へ直接聞きたい。
なぜ父を殺したのか。
だが空は封筒を持って倉田のところへった。
「きたいです」
「ではかせません」
「分かってます」
倉田がし驚いた。
空は続けた。
「でも、相は私がで来るとってる。そのい込みは使えるといます」
県警と相談し、接触は捜査側主導でうことになった。
危険なら止。
空自が勝に録音を取りにくのではない。
倉庫周辺には捜査員が配置された。
空は型マイクをつけたが、それは警察側の正式な順に従ったものだった。
午。
倉庫B-4。
内部は暗い。
「さん」
空が呼ぶ。
奥から男がてきた。
スーツではない。
作業着。
髪も乱れている。
かつて会社の副社として写真に載っていた男とは別のようだった。
には父の箱。
「か」
「はい」
「警察は?」
「呼んでません」
は空を見つめた。
「輔に似てるな」
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その言葉だけで吐き気がした。
「箱、返してください」
「先にデータをせ」
「何の」
「とぼけるな。瀬の資料だ」
「もう警察にあります」
の顔が歪んだ。
「嘘だ」
「本当です」
「だったらおは何しに来た」
空は父の写真を見た。
「聞きたいことがあります」
「何だ」
「父に、怖くなかったんですか」
が怪訝な顔をした。
「は?」
「を殺すって決めた」
は数秒黙った。
そして笑った。
「俺が殺したって証拠があるのか」
「あります」
「健の話だけだろ」
「備会社も話してます」
「健が勝にやった」
空は続けた。
「じゃあ事故翌の百万円は?」
「貸しただ」
「メッセージの『終わったら300』は?」
の目がいた。
空は見逃さなかった。
「らないふりするんですね」
「子どもが調子に乗るな」
が歩づいた。
「おの父親もそうだった。何もらない現の運転のくせに、正義だけで首を突っ込んできた」
空の喉が震えた。
だが言葉は止めない。
「だから殺した?」
は答えない。
「瀬さんも?」
「黙れ」
「父のに細させた?」
「黙れ!」
が箱をへ叩きつけた。
古い腕計がびした。
ガラスが割れる。
空の胸の奥で何かが切れそうになった。
その、が吐き捨てた。
「あいつが翌朝警察へくと言わなければ、何もする必はなかったんだ!」
空はかなかった。
自も、自分が何を言ったか気づいた。
で物音。
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「警察だ! くな!」
が逃げようとした。
裏へる。
しかしそこにも捜査員がいた。
数秒。
男はへ押さえつけられた。
空は箱へづいた。
腕計を拾う。
針は止まっている。
写真の角も折れていた。
それでも残っていた。
空は初めて、そので声をげて泣いた。
勝ったからではない。
終わったからでもない。
ようやく父の箱を、自分のへ戻せたからだった。
の逮捕、潮見のは再び詳しく調べられた。
には瀬を監禁した痕跡だけではなく、さらに古い類が残っていた。壁の裏からはの取引台帳、廃棄されたはずの契約、複数の会社印のコピーが見つかった。
このは単なる類保管所ではなかった。
正取引の資料をに隠し、必がなくなれば処分するための所として使われていた。
に千代が見た夜の事も、そのためだった。
のは元々、漁具や保を置くための貯蔵庫。
会社関係者が京錠と換気を追加し、から閉じられるよう改造した。
「こんな所を万円で買ったんだね」
千代が呆れたように言った。
空は苦笑した。
「らなかったから買えたんだといます」
最初は幸の象徴だった。
漏り。
黴。
軋む。
夜の音。
けれど、このがなければ瀬は助からなかった。
父の録音も見つからなかった。
の指紋や古い帳簿も残っていなかった。
陽斗が縁側で言った。
「この、悪いじゃなかったね」
「うん」
「怖いが使ってただけ?」
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