みかん小説
本棚

"援助し続けた兄が隠していた二年間" 第2話

事故のあとに転職した。

料はい。

が悪いから仕事を選べない。

それだけを信じていた。

「疑えって言いたい?」

「違うよ」

美咲は首を振った。

「助けること自体は反対してない。でも、うちのおでもあるから、何に必なのかは分かっていた方がいいとう」

正論だった。

それでも私は、兄を疑うこと自体が裏切りのようにじていた。

「あいつ、さい頃ずっと俺を守ってくれたんだ」

「ってる」

「事故に遭って、仕事も変わって、今しんどいんだとう」

「うん」

「だからもうしだけ」

美咲はしばらく私を見た。

「その“もうし”がいつまでなのか、度で決めよう」

その言葉だけが妙に残った。

半が過ぎた頃、美咲が計簿を私のへ置いた。

兄へ送った額を計すると、百万円だった。

私は何度計算し直しても、数字が変わらなかった。

百万円。

私たちが数かけて貯めたの半だった。

「ここ半だけで万円」

美咲が言った。

「直、うちも余裕ないよ」

分かっていた。

それでも、そのの夜も兄から話が来た。

「今だけ万頼む。来から本当に減らすから」

私はスマートフォンを握りながら、しばらく何も言えなかった。

すると兄は、いつもの言葉を使った。

「俺にはおしかいないんだよ」

その言で、また送ってしまった。

転は、何の触れもない平の午に来た。

広告

仕事、休憩でスマートフォンを見ると、美咲から画が件送られていた。

文章はかった。

《直、これ健司さんだよね?》

再した。

最初に映っていたのは、見慣れた元の商だった。美咲は税理士事務所の顧客先へ類を届けるため、たまたま私の実くまでっていたらしい。

画面の側からの男が歩いてくる。

紺の着。

黒いズボン。

く刈った髪。

兄だった。

私は無識に画面へ顔をづけた。

杖を持っていない。

それだけなら、まだ何とも言えなかった。

事故からく経っている。調子が良いは杖なしで歩けるようになったのかもしれない。本からも「しずつ良くはなっている」と聞いたことがある。

しかし画の兄は、私が像していた歩き方とは違った。

交差点の信号が点滅すると、りにい速さで横断歩を渡った。

そのまま何事もなかったように階段を段がり、パチンコの入へ入っていった。

画はそこで終わっていた。

私は回見た。

回目は途で止めた。

すぐ美咲へ話した。

「これ、いつ?」

「分くらい」

「本当に健司?」

「私も最初は自信なかった。でもくを通ったに顔見た。健司さんだったよ」

「杖は?」

「持ってなかった」

「からりたところは?」

「見てない。気づいたには歩いてた」

美咲はそこで言葉を選んだ。

広告

「直、これだけでが悪くないって決めつけたら駄目だよ。痛みってによるだろうし、歩けることと仕事ができることも別だから」

私はし驚いた。

疑っていた美咲の方が静だった。

「じゃあ何で撮ったの?」

「に健司さん、“杖がないと所のスーパーにもけない”って言ってたでしょう」

確かに言っていた。

しかもか、「タクシー代がかかる」として万円を送っている。

「それと……」

美咲が続けた。

「今、平の午だよ」

兄は私に、は部品会社で働いていると言っていた。

体調のいいに歩けたことより、そちらの方が気になった。

私はそのの夜、兄へ話した。

「今、仕事休みだった?」

「何で?」

「いや、ちょっと聞いただけ」

瞬、があった。

「午でがった。が痛くて」

「そうなんだ」

「何だよ」

「別に」

私は画のことを言わなかった。

話を切ったあと、美咲へ話した。

「が痛くて午で帰ったって」

美咲は何も言わず、私のスマートフォンを見た。

私はもう度画を再した。

が痛くて退した男が、りで横断歩を渡り、階段をっている。

それでも、まだ決めつけるのはいとった。

兄を信じたい気持ちが、そうわせていたのかもしれない。

そこで美咲が計簿を持ってきた。

「じゃあ、歩けるかどうかじゃなくて、おの方を回確認しよう」

半分の送記録が並んでいる。

その番に、美咲が赤いペンでつの項目へ丸をつけていた。

《装具作り直し 万円》

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: