"100人宴会を潰した義妹に、店主の私が請求書を出した日" 第8話
「言い逃れはできません」
嵐税理士が、静かに別の類を提示した。
「本午、域振興財団の法務担当課と面談し、助成の交付申請および振込先座の原本証を受理いたしました。振込先は、藤本リエ様、あなたの個普通預座です。さらに、添付されていた『魚』の推薦状の跡は、菜緒様のものではなく、あなたの跡と完全に致することが鑑定の所見として提されています」
「リエ! あんた、これ本当なの!?」
母親の松代が目を剥き、娘のの腕を掴んだ。松代はこれまで「菜緒さんがリエをいじめて法なキャンセル料を請求している」と信じ込まされていたのだ。
「ち、違うのよ、お母さん! 私は同窓会を盛りげようとして……!」
「盛りげるために、私のを毒のだと触れ回ったの?」
菜緒の声が、徹に響いた。
菜緒はバッグから、今朝保健所から交付されたばかりの検査結果通と、昨の夜に健が燃やそうとした『キャンセルポリシー同』の原本を机のに並べた。角がし煤けたそのを見た瞬、リエの目が絶望に見かれた。
「あなたが昨夜、駅の公衆話から保健所に虚偽の通報を入れたことも、通話記録の発信照会によって警察の活全課へ被害届を提する準備がんでいます。偽計業務妨害罪、印私文偽造、そして詐欺罪。
広告
……リエさん、これがあなたが『内の甘え』でやってきたことの全貌よ」
リエはガタガタと震え始め、助けを求めるように兄の健へと線を投げた。
「お兄ちゃん! 助けてよ! お兄ちゃんだって、あの燃やして証拠隠滅してくれるって言ったじゃない! 全部お兄ちゃんが認めてくれたからやったのに!!」
会議にいた全員の線が、斉に健へと突き刺さった。
健の顔が、恐怖と恥辱で赤黒く膨れがった。妹を庇うために自らが犯した愚が、公ので妹自のから暴されたのだ。
「……ふざけるな」
健のから、く絞りすような声が漏れた。
「え……?」
「ふざけるな、リエ!!」健がちがり、パイプ子を蹴倒して鳴り散らした。「俺はおに騙されてたんだ! おが『同窓会の準備でし判子が必だ』って泣きつくから信じたのに、俺の妻のを潰そうとしてただと!? もうおの顔なんて見たくもない! 勝にしろ!!」
醜悪な責任の擦り付けいが、え切った会議に霊した。
千佳はややかな差しでその景を見つめ、卓のバインダーを閉じた。
「幹事会としての決定を通告します。着万円、および助成万円の全額を、今週曜までに同窓会および財団の指定座へ返還すること。返還がなされない、直ちに業務横領および詐欺罪で所轄署へ刑事告訴をいます。
広告
……そして、魚様へのキャンセル損害万千円については、あなた個の責任として今すぐ解決しなさい」
リエはそのにへたり込み、両で顔を覆って声をげて泣きじゃくった。母親の松代も、もはや娘を庇う言葉を持たず、ただただ蒼な顔で震えていた。
会議での断罪劇が終わった翌の曜、事態は健の職にまでびした。
健が勤める信用庫の本部コンプライアンス統括部から、内線で呼びしがかかったのだ。査問のい扉の向こうで待っていたのは、事担当常務と法務課だった。
「藤本君、君の妹さんが関与している域振興助成の正受事件について、財団側から当信の本部へ事実確認の照会が入っている」
事常務が机のに置いたのは、リエの個座の取引照会だった。
「妹さんの座は当信の支にある。そして、その正受の続きにおいて、君が当信の員としての信用を利用し、実印や元確認の便宜を図ったのではないかという疑いが持たれているのだ。さらに昨晩、君が妻の経営する舗で証拠隠滅を図ろうとした現を目撃されたという報告も届いている」
「ち、違います! 私は妹に騙されていただけで、犯罪に加担する気など切ありませんでした!」
健は青ざめて弁したが、常務の目は極ののようにえ切っていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第34話
妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真
妻・美保の葬儀が終わった夜、修二の結婚指輪を外したのは、亡き妻の母・麗子だった。「もう美保に隠す必要はないでしょう」と唇を寄せたその瞬間、娘・咲から1枚の写真が届く。そこには半年前の病院で抱き合う修二と麗子、そしてガラス越しに2人を見つめる病衣姿の美保が写っていた。 闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、修二はいつしか自分の弱さを理解してくれる義母へ逃げ込み、越えてはならない境界を越えていた。しかも麗子は「美保も知っていた」「私がいなくなったら修二さんを1人にしないでと頼まれた」と主張し、その証拠となる録音まであるという。 だが翌朝、咲が告げたのは「お母さんの声を最後まで聞いて」という一言。 亡き妻が本当に残した言葉を前に、2人が都合よく信じてきた“許し”が崩れ始める――。夫婦|修羅場5.1万字5 612 -
完結第16話
四十九日の追放、母の隠し遺言
「十年世話しただけの妹に、実家の取り分はないわ」 母の四十九日、喪服の兄夫婦は親族の前で澄子を指差し、台所の冷えた板の間へ追いやった。信金を辞め10年間、720万円の私財を投じて母を看取った澄子に、兄は「今週中に出て行け」と冷酷に通告する。 母のキャッシュカードは7年前から兄が独占し、消えた年金は1240万円。 家財すべてが二束三文で業者に売り払われようとする中、母が50年愛用した古い足踏みミシンの奥底から、厳重に隠された「ある物」が滑り落ちた。 「その言葉、そっくりそのままお返しします」 あの日からちょうど49日後、審判の幕が上がる――。兄弟姉妹|修羅場2.3万字5 434 -
完結第27話
妻を追い出した翌朝、7枚のブラックカードが止まった
結婚3年目の夜、美桜が帰宅すると、夫・達也は若い愛人と義両親を囲み、離婚届を突きつけてきた。「無能で地味な女」「1円も稼げない寄生虫」と嘲られ、慰謝料もなく豪邸から追い出される。 だが4人は知らなかった。美桜の正体は、世界経済を動かす巨大グループの総帥。倒産寸前だった達也の会社を救い、資金も仕事も与え、彼を“天才社長”に見せていたのは全て美桜だった。 さらに豪邸も別荘も、7枚のブラックカードも、達也自身の資産ではなく美桜の法人名義。 離婚届が受理された瞬間、美桜は静かに全カードを停止し、豪邸の退去手続きと会社への特別監査を開始する。 勝ち誇っていた一家がまだ知らない、本当の“無一文”への転落が始まろうとしていた――。修羅場|熟年離婚4.0万字5 285 -
完結第15話
全盲の義母が言い当てた味噌汁の色
「お味噌、白味噌に変えたでしょう?」。11年前の事故で全盲になったはずの義母・かず子が、漆塗りの椀を抱えて微笑んだ。亡き実母への後悔から、365日欠かさず介護と手料理を捧げてきた嫁の私。だが翌朝、ゴミ袋の底から現れたのは、手つかずのまま無残に捨てられた私の料理と、1万8千円の銀座高級寿司やフレンチのデリバリーレシート30枚だった。夫は「お前の味付けが悪い」と冷笑し取り合わない。孤立無援の中、弁護士の助言を得た私はある罠を仕掛ける。そして勝手口の前で義母が放った「ある一言」で、11年間の嘘が音を立てて崩れ去る――。嫁姑|真相2.3万字5 3039 -
完結第22話
夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉
深夜2時、救急外来で夜勤中の看護師・佐藤み咲のもとへ、交通事故で重傷を負った男女2人が搬送されてきた。シーツの下にいたのは、夫・拓也と義姉・麗子。しかも2人は、決して「姉弟愛」では説明できない姿で倒れていた。 み咲は5年間、看護師という仕事を見下す夫と、「子供も産めない」と侮辱する麗子、その2人を庇い続ける義母・里子に耐えてきた。 それでも彼女は感情を捨て、看護師として2人の命を救うことを選ぶ。 だが、惨状を目にした義母まで「全部あなたのせい」とみ咲を罵倒した瞬間、最後の迷いは消えた。 何年も残してきた暴言の記録と証拠を武器に、奪われ続けた人生を取り戻す反撃が静かに始まる――。夫婦|修羅場|不倫3.3万字5 2848 -
完結第11話
貧乏老人を嘲笑った行員の末路
「あんな貧乏臭い爺い、適当にあしらっとけばいいのに」ボストンバッグを抱えた老人に、新入行員は嘲笑の声を浴びせ、エリート課長代理は別の窓口へ強制的に追い返した。母親の入院費のため百万を引き出しに来ただけの、よれよれのジャケットを着た年寄り――。だが、彼こそが全日本経済の裏を牛耳るクオンホールディングスの会長・久音次郎その人だった。侮辱に耐えかねた新人の篠崎水希が一人で抗議する中、老人が静かに古びたバッグの金具を閉じた瞬間、端末の画面で一千万円、一億円と出金通知の数字が狂ったように跳ね上がり始めた。絶望の淵に立たされた傲慢な行員たちの運命を決定づける、驚愕の審判の行方は――。職場逆転|修羅場1.6万字5 1861 -
完結第19話
深夜2時、隣家の物置で赤ん坊を抱く4歳児
心臓の不整脈で消防士を辞め、故郷の民宿「緑海荘」へ戻った27歳の相馬蒼太。 ある深夜2時、隣家から突然途切れた赤ん坊の泣き声に異変を感じて駆けつけると、物置のような暗い部屋で、全身に青あざを負った4歳のひなが、痩せた妹メイを必死に抱いていた。 「泣いたらまた叩かれるんですか?」――その一言に、蒼太は2人を必ず守ると決意する。民宿へ連れ帰り、常連客の旅行ライター・りんや両親と共に食事と温かな寝床を与え、児童相談所へ連絡。 しかし保護の朝、ひなは「お兄ちゃんと離れたくない」と蒼太の服を握りしめる。初めて見る海の前で、ようやく声を上げて泣いた少女を前に、蒼太とりんは“助ける”だけでは終われない未来を選び始める――。親子関係|修羅場2.8万字5 251 -
完結第10話
洋食屋の絆と、高級寿司屋の逆転
岡田悠斗は、高校生の時に両親を交通事故で亡くし、高卒の自動車整備士として働きながら、三歳下の妹・真央をたった一人で大学の法学部まで育て上げた。真央は猛勉強の末に難関の司法試験を突破し、弁護士として初任給をもらう。悠斗への感謝を込めて予約した高級寿司屋の席で、悠斗の職場の傲慢な上司・西村が偶然居合わせ、「工場で油まみれになって働く底辺の作業員」と悠斗と真央を激しく侮辱する。絶望と怒りが交錯する中、隣の席に座っていた一人の客が立ち上がり、西村を冷徹に一喝する。その男の正体は、かつて両親の営む洋食屋「ひまわり」で無銭の少年時代に助けられた大手IT企業の社長・藤井宗介だった。過去の恩返しと、血を分けた兄妹の絆が奇跡を引き起こす感動のヒューマンドラマ。兄弟姉妹|修羅場1.5万字5 641