"大晦日、義実家の60億円計画を知った" 第3話
父・茂は言も発することなく、即座にアクセルを踏み込んだ。ヘッドライトを点けないまま、宅の細いを抜け、幹線にた瞬、烈なハロゲンのがのうアスファルトを照らしした。
助席の母・恵子が振り返り、私の両を固く握りしめた。 「、無事だったのね……! 怪はない?」
「……丈夫。お母さん、お父さん、ごめんなさい。晦の夜にこんなことになって……」 私の声は、極度の緊張と寒さで掠れていた。 バックミラー越しに父の線がぶ。現役代、何百もの荒くれ員を束ねてきた創業経営者の、剃刀のような鋭い。
「。あので、何をにした」
私は斎ので聞いた言句を、を交えずに淡々と報告した。 けの代表権奪。吉実エステートのホテル発への正融資。そして、億円の預を無断で担保に入れる計画。 父は方を凝したまま、ギリッと奥歯を鳴らした。ステアリングを握る両の甲に、青い筋が浮きがる。
「……の会社の資産を、己の放漫経営の穴埋めに使う気か。しかも、実印を盗んで偽造類を仕てるつもりだったとはな。盗っ猛々しいにも程がある」
「お父さん。のさんは、具体に何て言ってきたの?」
「今の午過ぎだ」父がい声で答える。「信託の内最終営業が終わり、帳簿の締め作業をしていたさんの元へ、幸君から内線が入ったそうだ。
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『の午半に、代表権変更に伴う印鑑届と、法の担保差入に関する事相談で伺いたい』とな。さんは『会や社の同席はあるのか』と尋ねたが、幸君は『妻は体調を崩しているので、委任状と印鑑証を持参する』と答えたらしい」
「……完全に、私を排除して既成事実を作る気だったのね」 私の背筋を、たい汗がツーと流れ落ちた。 もしさんが、父の現役代からの恩義をじて個に携帯へ話をくれていなかったら。 もし末始の引き継ぎの混乱に乗じ、若い別の員が事務に類を受け取ってしまっていたら。 けの数で、黒川アセットの座は完全に幸の支配に置かれ、億円の預には巨額の根抵当権が設定されていたはずだ。
「、どうするつもりだ」 父の問いに、私はバッグから青い液晶画面を持つ方形のプラスチック端末――セキュリティトークンを取りした。
「今すぐ、全権限をロックする。そして――かせる預はすべて、吉実のの届かない全な別へ退避させるわ」
「全額か?」 「ええ。円たりとも、あのハイエナどもに触れさせない」
計の針は、午を回ろうとしていた。 通常の窓やオンラインバンキングは、とっくに末始のメンテナンスに入っている。しかし、残数億円を超えるプライベート・バンキング部の法には、融犯罪や資産紛失に備えた「対応の緊急保全デスク」
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が用されている。
私はスマートフォンの画面に、帳の裏表にメモしてあった専用の直通番号を打ち込んだ。 子音がツーツーと鳴り、回目のコールで、な男性オペレーターの応答があった。
『はい。都信託、法資産特別セキュリティデスクでございます』
「夜分遅くに申し訳ありません。株式会社黒川アセット・代表取締役の黒川です。法番号は〇……」 私は記憶している桁の法番号と、実質支配者の個報を淀みなく告げた。
「緊急事態が発しました。当社の代表権の正移転、ならびに法座の正引きしのな予兆を確認しました。今直ちに、当社の全座に対する権限変更の止、ならびに資移の緊急指図をお願いします」
『代表取締役の黒川様ですね。本確認の続きに入ります。お元のトークンに表示されているワンタイムパスワード、ならびに第登録暗証番号をご入力ください』
端末のボタンを押し、ランダムに成された桁の数字を読みげる。 さらに、父の、会社設の資本払込座の支名など、本以には絶対にり得ないのセキュリティチェックをクリアした。
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