"大晦日、義実家の60億円計画を知った" 第4話
『……確認いたしました。黒川社ご本であることを認証いたしました。現、当の当座預、普通預、ならびに定期預の全勘定に、緊急保全フラグを設定いたします。これにより、社ご本の対面での実印押印および印鑑証の提示がない限り、いかなる代理からの照会、変更、もシステム完全に遮断されます』
「ありがとうございます。ですが、それだけではりません」 私は窓の、混じりののを疾するのフロントガラスを見つめながら、氷のような声で告げた。
「現、普通預座にある流資億千万円。これを全額、当社の第取引である菱UFJの本法座へ、即振込指図をしてください」
話の向こうで、オペレーターが息を呑む気配がした。
『し、社……億を超える資の送ですか……?』 オペレーターの声に、隠しきれない揺がった。無理もない。晦の夜過ぎに、個資産管理会社が億円以の現を発でへ逃がすなど、員で度遭遇するかどうかの異常事態だ。
「ええ。今すぐです。夜バッチで予約を入れ、の営業始番、午零分零秒で着するようにロックしてください」
『かしこまりました。……ですが、黒川アセット様の当における主資産は、定期預億円となっております。
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こちらは満期が来のまで残っており、現点で途解約をわれますと、約定利率が幅に落し、途解約ペナルティとして数千万円規模の受取利息が消滅することになりますが……』
「構いません」 私は迷いなく言い放った。 「失われる利息が千万だろうが千万だろうが、元本の億円がの借の担保に差し入れられるリスクに比べれば、のようなものです。定期預全の途解約予約を入れ、解約は元本・利息ともに、普通預と同じく菱UFJの座へ全額スライドさせてください」
『……承いたしました。そこまで断固たるご志であれば、当デスクの責任において、取直轄の緊急決済ラインをちげます。……担当のシニアマネージャーを別回線でお呼びしいたしますので、々お待ちいただけますでしょうか』
保留音が流れる内。 助席の母が、胸のでを組み、祈るように目を閉じている。 運転席の父が、バックミラー越しに私を瞥した。
「。本当に、これでいいんだな。……これをやれば、幸君との婚姻関係は完全に破綻する。吉実とのは、燼に帰すぞ」
「お父さん」 私は膝ので握りしめた拳を震わせながら、を見据えた。 「あのたちは、私のをしていたんじゃない。お父さんが残してくれたこの億円を奪うために、、私に『お利な嫁』を演じさせていただけよ。
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……晦の夜に、夫が父親と緒になって、妻の財産を騙し取る算段をして笑っているのよ? そんな男に、私のの何秒たりとも渡すわけにはいかない」
父は数秒沈黙し、やがて太い声でく言った。 「……よし。腹を括ったな。おがその覚悟なら、親父として、黒川アセットの創業者として、全全霊でおを守る」
カチリ、と保留音が切れた。 受話器の向こうから聞こえてきたのは、息を切らしたさんの声だった。自宅から緊急システムへリモートログインしたのだろう。
『社! です。……変なことになりましたね。先ほど、幸様からの話の録音記録を本部のコンプライアンス統括部へ回しました。らかに、代表権の詐称および正引きしの企図と認定されました』
「さん、夜分に本当にごめんなさい」
『いえ、にってよかったです。もしの朝、私が支に勤するのわずかな隙に、幸様が偽造類を窓へ持ち込んでいたら……窓の若が受理してしまい、保全続きがに回っていた能性は否定できませんでした。……今、私の元で、億千万円の送指図、ならびに億円の定期預の途解約・全額送指図の承認キーを押しました』
カタカタカタ、ッターン。 激しいキータッチの音が響く。
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